がか座
名称:がか座
学名:pictor
小分類:南半球
日本で観測できる時期:日本からはほとんど見えません
見ごろの季節:冬(20時正中は1月中旬)
18世紀にフランスの天文学者ラカーユによって創設された星座です。南半球にある星座なので本州などからは見えませんが、南へ行けば、全天で2番目に明るい星、りゅうこつ座のカノープスのすぐ隣に、逆A型の星座の形を見つけることができるでしょう。絵を描くときに絵を立てかけておく、イーゼル(画架)をかたどったものだとされています。この星座も、多くの南半球の星座と同じく見た目はぱっとしません。しかし、最近この星座のベータ星(2番目に明るい星で、地球から約78光年の距離にある)に地球と同じような惑星があることが予測されており、天文学者たちの注目を集めています。
1.見つけ方のポイント
がか座は、りゅうこつ座とかじき座にはさまれた星座です。りゅうこつ座の1等星で全天で2番目に明るい星、カノープスのすぐ西どなりにあるので、それを目印にすれば良いでしょう。南中する頃には、3等星以下の星がカノープスの隣で、逆Aの形に並んでいるのが見つかります。
2.神話の内容について
がか座は、18世紀のフランスの天文学者N・L・ラカーユ(1713〜62年)が、1750年代に作った星座です。彼の発表した南天星図の中に書かれたもので、画家がキャンバスを架けておくイーゼル(画架)をかたどったものです。最初は、ラテン語でEquuleusPictoris(エクウレウス・ピクトーリス)、「画架の馬」と名付けられました。「画架の馬」とは、画家の前に立つ馬、すなわちイーゼルを指します。神話とはまったく関係ありません。ラカーユは、アフリカ大陸の南端、現在の南アフリカ共和国のケープタウンに住み、南天の星の研究を行いました。
3.同じ時期に見える星座について
南の空に昇る頃には、北にははと座やちょうこくぐ座やうさぎ座、東にはとも座やりゅうこつ座を見ることができます。また、西にはかじき座やみずへび座、南にはカメレオン座やとびうお座、てーぶるさん座などを一緒に見ることができます。
4.主要都市での観測について
本州などでは全体を見ることができませんが、沖縄より南へ行けば、全体を見ることができます。
※参考文献:「星座クラブ」沼澤茂美著(誠文堂新光社)、「星のポケットブック」(誠文堂新光社)、「星座天体観測図鑑」藤井旭著(成美堂出版)、「星座・夜空の四季」小学館の学習百科図鑑、「星座博物館・春」、「同・夏」、「同・秋」、「同・冬」、「同・星座旅行」瀬川昌男著(ぎょうせい)、「星空ガイド」沼澤茂美、脇屋奈々代著(ナツメ社)
がか座
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/26 17:48 UTC 版)
Pictor | |
---|---|
属格形 | Pictoris |
略符 | Pic |
発音 | [ˈpɪktər]、属格:/pɪkˈtɔərɨs/ |
象徴 | イーゼル |
概略位置:赤経 | 04h 32m 52.3s - 06h 52m 02.7s[1] |
概略位置:赤緯 | -42.80° - -64.15°[1] |
広さ | 247平方度[2] (59位) |
主要恒星数 | 3 |
バイエル符号/ フラムスティード番号 を持つ恒星数 | 15 |
系外惑星が確認されている恒星数 | 2 |
3.0等より明るい恒星数 | 0 |
10パーセク以内にある恒星数 | 2 |
最輝星 | α Pic(+3.30等) |
最も近い星 | カプタイン星;(12.75光年) |
メシエ天体数 | 無し |
流星群 | 無し |
隣接する星座 | ちょうこくぐ座 りゅうこつ座 はと座 かじき座 とも座 とびうお座 |
がか座(がかざ、画架座、Pictor)は、現代の88星座の1つ。18世紀半ばに考案された新しい星座で、イーゼル(画架)をモチーフとしている[注 1]。日本では北大東村以南で全体を見ることができるが、領域が狭く明るい星もないことから目立たない星座である。
主な天体
恒星
2022年4月現在、国際天文学連合 (IAU) が認証した固有名を持つ恒星は1つもない[3]。
- α星:見かけの明るさ3.30等の3等星[4]。がか座で最も明るい恒星。
- β星:見かけの明るさ3.86等の4等星[5]。1983年にデブリ円盤が発見、2008年には太陽系外惑星が望遠鏡による撮像から発見された。2023年現在2つの太陽系外惑星の存在が確認されている[6][7]。
- カプタイン星:見かけの明るさ8.85等の赤色矮星[8]。太陽系から約12.83 光年の距離にあり、バーナード星に次いで全天で2番目に大きな固有運動を持つ恒星として知られる。2014年には2つの太陽系外惑星の発見が発表されたが、2023年現在その存否について議論が分かれている[9][10]。
星団・星雲・銀河
- NGC 1705:銀河。
- がか座A:電波銀河。中心部から吹き出すジェットが確認されており、超大質量ブラックホールが存在すると考えられている。
由来と歴史
がか座は、18世紀中頃にフランスの天文学者ニコラ・ルイ・ド・ラカーユによって考案された。1756年に刊行された『Histoire de l'Académie royale des sciences』に掲載されたラカーユの星図の中で、画架とパレットがセットとなった姿と「画架とパレット」という意味の「le Chevalet et la Palette」という名称が描かれたのが初出である[11][12][13]。のちの1763年にラカーユが刊行した著書『Coelum australe stelliferum』に掲載された第2版の星図では、ラテン語化された「Equuleus Pictorius」と呼称が変更されている[11][14]。1801年にヨハン・ボーデが刊行した『ウラノグラフィア』では、「画家の棚」という意味の「Pluteum Pictoris」と記載された。
1844年にイギリスの天文学者ジョン・ハーシェルは、フランシス・ベイリー宛の書簡の中で、Equuleus Pictorius を「Pictor」と短縮することを提案した[11][15]。それを受けたベイリーが、翌年の1845年に刊行した『British Association Catalogue』において「Pictor」と改めたことにより、以降この呼称が定着することとなった[11]。
1922年5月にローマで開催されたIAUの設立総会で現行の88星座が定められた際にそのうちの1つとして選定され、星座名は Pictor、略称はPicと正式に定められた[16]。新しい星座のため星座にまつわる神話や伝承はない。
呼称と方言
明治期より「畫架[注 2]」のちに「画架」という訳名が使われており、明治末期以降数度行われた星座の訳名見直しでも他の呼び名が採用されることはなかった[17][18][19]。漢字の読みは一貫して「ぐゎか」または「がか」とされているが、1928年(昭和3年)に天文同好会の編集により新光社から刊行された『天文年鑑』の第2号では「ゑかけ」という読みで紹介されていた[20]。これについて天文年鑑の編集に携わっていた山本一清は、東亜天文学会の会誌『天界』1934年8月号の「天文用語に關する私見と主張 (3)」という記事の中で耳に聞いただけでは解りかねる日本語や,漢語萬能時代の夢よりさめて,純粹な日本語(耳で聞いただけで解る日本語)を採用するといふ意味の撤底に於いて,一般に賛成して頂けるものだと思ふ.
[21]としており、自らが妥当と考える星座名の一覧でも「ゑかけ(畫架)」という邦訳を充てていた[22]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b “The Constellations”. 国際天文学連合. 2023年1月7日閲覧。
- ^ “星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
- ^ “IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2023年1月7日閲覧。
- ^ "alp Pic". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月20日閲覧。
- ^ "bet Pic". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月20日閲覧。
- ^ “Planet beta Pic b”. The Extrasolar Planets Encyclopaedia (2022年7月7日). 2023年1月7日閲覧。
- ^ “Planet beta Pic c”. The Extrasolar Planets Encyclopaedia (2021年9月25日). 2023年1月7日閲覧。
- ^ "HD 33793". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月20日閲覧。
- ^ “Planet Kapteyn's b”. The Extrasolar Planets Encyclopaedia (2019年6月14日). 2023年1月7日閲覧。
- ^ “Planet Kapteyn's c”. The Extrasolar Planets Encyclopaedia (2021年4月11日). 2023年1月7日閲覧。
- ^ a b c d Ridpath, Ian. “Star Tales - Pictor”. 2022年11月19日閲覧。
- ^ Ridpath, Ian. “Lacaille’s southern planisphere of 1756”. Star Tales. 2023年1月7日閲覧。
- ^ “Histoire de l'Académie royale des sciences” (フランス語). Gallica. 2023年1月7日閲覧。
- ^ “Coelum australe stelliferum / N. L. de Lacaille”. e-rara. 2023年1月7日閲覧。
- ^ “Extract (translated) from a letter from Professor Bessel to Sir J. F. W. Herschel, Bart. dated Königsberg, January 22, 1844”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society (Oxford University Press (OUP)) 6 (5): 62-64. (1844). Bibcode: 1844MNRAS...6...62.. doi:10.1093/mnras/6.5.62. ISSN 0035-8711.
- ^ Ridpath, Ian. “The IAU list of the 88 constellations and their abbreviations”. Star Tales. 2023年1月5日閲覧。
- ^ 「星座名」『天文月報』第2巻第11号、1910年2月、11頁、ISSN 0374-2466。
- ^ 学術研究会議 編「星座名」『天文術語集』1944年1月。doi:10.11501/1124236 。
- ^ 「星座名」『天文月報』第45巻第10号、1952年10月、13頁、ISSN 0374-2466。
- ^ 天文同好会 編『天文年鑑』2号、新光社、1928年6月、3-6頁。doi:10.11501/1138377 。
- ^ 山本一清「天文用語に關する私見と主張 (3)」『天界』第14巻第161号、東亜天文学会、1934年8月、406-411頁、doi:10.11501/3219882、ISSN 0287-6906。
- ^ 山本一清「天文用語に關する私見と主張 (4)」『天界』第14巻第162号、東亜天文学会、1934年9月、447-451頁、doi:10.11501/3219883、ISSN 0287-6906。
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