14代目 S21#型(2012年 - 2018年)
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「トヨタ・クラウン」の記事における「14代目 S21#型(2012年 - 2018年)」の解説
2012年12月発売型のキャッチコピーは「CROWN Re BORN」。シリーズは先代に引き続き2構成。先代の「ロイヤルサルーンシリーズ」は廉価グレード「ロイヤル」の新設に伴って「ロイヤルシリーズ」に戻されるとともに、3.0 L車を廃止。これにより、シリーズ最上級グレードの「ロイヤルサルーンG」も2.5 Lとなった。 「アスリートシリーズ」は継続設定となった3.5 L車(「アスリートS」・「アスリートG」に設定)に組み合わされる「Super ECT」が6速から8速に多段化され、パドルシフト付となった(同時にブリッピングも搭載)。また、先代では独立シリーズとして展開していたハイブリッドモデルは「ロイヤル」、「アスリート」両シリーズに設定される形で編入。エンジンは排気量を3.5 L(2GR-FSE型)から2.5 Lにダウンサイジングし、カムリに搭載されている2AR-FXE型をベースに新世代直噴技術「D-4S」を搭載して直噴化、縦置きとした新開発の直列4気筒・2AR-FSE型に変更(4気筒エンジンは10代目の2.4 Lディーゼルで途絶えて以降、久々の採用となる。また3.5 Lハイブリッドは後にマジェスタシリーズに搭載された)。これに、300 N・mの最大トルクを持つモーターを組み合わせた「後輪駆動車専用ハイブリッドシステム」としたことでV6・3.0 Lガソリン車に匹敵する動力性能を持つとともに、JC08モードにおける燃費性能を14.0 km/Lから23.2 km/Lに大幅向上。さらに、顧客の拡大やハイブリッドカーのさらなる普及を視野に、車両本体価格の大幅値下げを行った(540万円〜620万円→410万円〜543万円)。 先代からプラットフォームをキャリーオーバーし、エクステリアは基本部分をキープコンセプトとしつつも、フロントマスクを刷新。フロントはバンパーレベルまで回り込む大型のラジエーターグリルを全車に装着するが、ロイヤルシリーズが車名の由来でもある「王冠」を意識してデザインされている反面、アスリートシリーズはそれに加えて稲妻のような切れ込みを下部に加えることでスピード感を演出。今までのクラウンから逸脱した仕上がりとなった、また、ヘッドライトには両シリーズともLEDクリアランスランプを採用した。 インテリアには新たに「トヨタマルチオペレーションタッチ」が採用され、エアコンや前席シートヒーター、全車に標準装備となる「ドライブモードセレクト」等を全てここから操作できるようになっていると同時に、運転席ドアオープン時にはグラフィックが点灯してドライバーを迎える「おもてなし演出」も搭載されている。また、ハイブリッド車全車にはステアリングヒーターを標準装備としている。また、下位グレードのロイヤルとアスリートはオーディオレスが標準となり、ロイヤルサルーンとアスリートS(3.5 Lを除く)ではレス設定が可能になった(2016年8月の一部改良でこの設定は廃止)。先代ハイブリッドシリーズで採用されていたファイングラフィックメーターは今回は採用されていない。 安全装備についてはいずれもトヨタ車初となる、最大30 km/h程度減速し、衝突を回避あるいは衝突の被害を軽減する新型プリクラッシュセーフティシステム、過度のアクセルワークによる衝突や障害物との接触を未然に防ぐ「インテリジェントクリアランスソナー(ICS)」、シフト誤操作や急発進などによる事故を未然に防ぐ「ドライブスタートコントロール(DSC)」、夜間にハイビームを保持しつつ、前方車両に当たる部分を自動遮光して良好な前方視界を確保する「アダプティブハイビームシステム(AHS)」がグレードに応じて設定される一方で、ハイブリッド車全車に衝突時の歩行者頭部の衝撃緩和を促すポップアップフード(ボンネット)を標準装備した。 今回のフルモデルチェンジを機に、パーキングブレーキは「作動」に加え、「解除」も足踏み式に変更された。 発表会ではピンクのクラウンが登場し、公式ホームページのトップ写真にも「※ボディカラーは、2013年末に発売を予定している特別色です」と記載されていた。ピンク色のボディカラーは『ドラえもん』に登場するひみつ道具の「どこでもドア」をモチーフとしている。 2012年12月25日に公式発表し、同日より販売開始。ハイブリッド車は2013年1月下旬より生産開始された。 同年7月26日に、前述のピンクのクラウンに関して、同年9月1日から30日までの1か月限定で注文の受付を行うと発表。そして、同年8月30日に特別仕様車「アスリートG"ReBORN PINK(リボーン ピンク)"」・「アスリートG i-Four"ReBORN PINK"」として公式発表された。ハイブリッド車の「アスリートG」とガソリン・四輪駆動車の「アスリートG i-Four」をベースとしており、インテリアにおいては本革シート表皮、ドアオーナメント、センターコンソール、フロントセンターアームレスト、シートベルト、インストルメントパネルアッパーに特別設定のホワイトを採用し、ブラックの内装色との組み合わせによりより明快なコントラストを生み出したほか、演出家のテリー伊藤がカラーコーディネートを手掛け、メーター指針とスイッチ(ハイブリッド車はパワースイッチ、ガソリン車はエンジンスタートスイッチ)にピンクを、ステアリングオーナメント・スマートキー/カードキー・HDDナビゲーションオープニング画面の各王冠マークにはピンクさし色を、ドアアームレスト・インストルメントパネルサイド・ステアリングホイールにはピンクステッチをそれぞれ施すことで、上質で特別感がある室内空間とした。なお、特別設定色のボディカラーは「モモタロウ(カラーコード:3T4)」という名称がつけられた。生産は同年12月より開始予定で、納車開始のタイミングは仕様・地域により異なる。 同年9月9日に「クラウンマジェスタ」が6代目にフルモデルチェンジされたが、これまでの派生車種の位置づけからシリーズ名(「マジェスタシリーズ」)の位置づけに変わったことで3構成となった(6代目「マジェスタ」は「ロイヤル」をベースにホイールベースを延長したものである)。 同年10月2日に、9月末で受注受付を終了した特別仕様車「ReBORN PINK」について、約650台の受注があったことを発表。うち、約9割以上にあたる約610台がハイブリッド車の「アスリートG"ReBORN PINK"」であった。 2014年7月9日、トルセンLSD付トランスファーと新開発のハイブリッドトランスミッションを採用した、トヨタとしては初となるハイブリッドフルタイム四輪駆動車を設定。「ロイヤル」シリーズには「ロイヤル Four」・「ロイヤルサルーン Four」・「ロイヤルサルーンG Four」、「アスリート」シリーズには「アスリート Four」・「アスリートS Four」・「アスリートG Four」の各3グレードが用意される(なお、「マジェスタ」シリーズにも同日「マジェスタ Four」が設定された)。併せて、特別仕様車「Black Style」を発売。ハイブリッド車の「ロイヤルサルーン」・「ロイヤルサルーン Four」・「アスリートS」・「アスリートS Four」をベースに、「ロイヤルサルーン/ロイヤルサルーン Four」ではフロントグリルの格子部分をブラックに、フレームなどのメッキ部分をスモーク加飾にそれぞれ変更し、内装色をブラックに統一することで上質さを表現。一方、「アスリートS/アスリートS Four」では、フロントグリルの格子部分をピアノブラック塗装に変更し、ブラックスパッタリング工法(銀白色の金属であるクロム原子を真空中で付着させる工法)塗装を施した18インチアルミホイールを特別装備。オプションで専用本革シート(テラロッサ)を設定した。また、「Black Style」全車共通で雨滴感応式オートワイパーや自動防眩インナーミラーも特別装備した(オーディオレス選択時を除く)。 2015年1月7日、2014年7月30日から放映されているテレビCMに登場している空色及び若草色のクラウンについて、2015年4月1日から1か月間の期間限定で注文の受付を行うことを発表。そして、2015年3月25日に誕生60周年記念特別仕様車「アスリートS/アスリートS Four"空色edition"」・「アスリートS/アスリートS Four"若草色edition"」として公式発表した。ハイブリッド車の「アスリートS」・「アスリートS Four」をベースに、特別仕様車「Black Style」に採用されているブラック塗装(格子部分)とスモークメッキ枠を施したフロントグリルやブラックスパッタリング工法により塗装を施した専用18インチアルミホイールに加え、ボディカラーに「空色(カラーコード:8V7)」・「若草色(カラーコード:6W5)」(正式名称は「ルミナスグリーンマイカメタリック」)を特別色として設定したほか、内装は本革シート表皮&ドアトリム、インストルメントパネルアッパー、シートベルト、センターコンソール&オーディオカバー、フロントセンターアームレストをホワイトで統一し、ステッチもボディカラーに合わせて「空色」又は「若草色」のステッチを施した。装備面ではドライバーサポートパッケージ(雨滴感応式オートワイパー・自動防眩インナーミラー)とラゲージドアイージークローザーを装備した。なお、生産開始は同年6月を予定しており、「ReBORN PINK」の時と同様、納車開始のタイミングは仕様や地域によって異なる。なお、第56回中日クラウンズでは、「アスリートS"空色edition"」が優勝副賞、「アスリートS"若草色edition"」が17番ホールのホールインワン賞の賞品としてそれぞれ用意された。 2015年8月、ここまでの新車登録台数の累計が14万9638台。2015年10月1日、マイナーチェンジ。「アスリート」シリーズはフロントグリルに立体メッシュ形状を採用すると共に、グリル枠は低重心を強調するためフロントバンパー下端まで伸ばし、グリル両側のバンパーはコーナーへの張り出しと後方へ向かう立体的な造形とした。ヘッドランプは1灯の光源でハイビームとロービームの切り替えが可能なBi-Beam LEDヘッドランプに変更し、デイライト機能付面発光LEDクリアランスランプを追加。リアランプは一回り大きなリング形状となり、内装にはメノウ積層柄加飾パネルを採用した。「日本生まれ・日本育ちの高級車」を強調すべく、キャッチコピーは「CROWN JAPAN!」と変更し、「アスリートS」系と「アスリートG」系のパッケージオプションとして、「天空ソラ(ピュアブルーメタリック)」・「胡桃クルミ(ブラウンマイカメタリック)」・「茜色アカネイロ(オレンジメタリック)」・「紺碧アオ(ダークブルーマイカ)」など、日本の伝統的な言葉や詩を基にした名称を採用した新ボディカラー12色を用意し、熟練者による手吹き塗装を部分的に施して色調整を行ったほか、インテリアカラーは白・黒・こがねの3色を新規設定した「ジャパンカラーセレクションパッケージ」を設定。グレード体系も一部替わり、従来の2.5 Lガソリン・2WD車に替わり、ツインスクロールターボチャージャーを採用した2.0 L直噴ターボエンジンの8AR-FTS型を搭載した「アスリート-T」・「アスリートS-T」・「アスリートG-T」を新設。燃費性能にも優れており、平成27年度燃費基準を達成している。「ロイヤル」シリーズはフロントバンパーに厚みを持たせ、ロアグリルを一層低くするとともに、中央部から両サイドに伸びてフォグランプを囲むようにクローム加飾を配置した。内装には立体感ある細かい木目調をベースにした格子調パネルを採用し、内装色にブラックを新設定した。併せて、「アスリート」シリーズ・「ロイヤル」シリーズ共通で構造用接着剤の採用やスポット溶接の打ち増しによるボディ接合部の剛性強化を行い、ショックアブソーバーやブッシュなどのサスペンションのチューニング最適化も行ったほか、760 MHzの専用周波数を活用し、路車間通信システム(DSSS)や車車間通信システム(CVSS)で構成されるITS Connectを世界初採用したほか、ブラインドスポットモニターやインテリジェントパーキングアシスト(イージーセット機能・駐車空間認識機能・ハンドルセレクト機能付)も採用した。 2016年8月29日、トヨタ店創立70周年記念特別仕様車「J-FRONTIER」を発売。「アスリートS-T」、「アスリートS」、「アスリートS Four」をベースに、フロントグリルとリアライセンスガーニッシュにサテンメッキ仕様、本革巻き4本スポークステアリングホイールにブラックレイヤーウッド(本木目)をそれぞれ採用するとともに、シート表皮は「ウルトラスエード」と本革のコンビシートを採用。内装色は特別設定色の「モスグレー」を採用した。併せて、一部改良も行い、歩行者検知機能付衝突回避支援型プリクラッシュセーフティやレーダークルーズコントロール、オートマチックハイビーム(ロイヤルサルーンG及びアスリートG/G-Tはアダプティブハイビームシステム)、レーンディパーチャーアラートで構成された衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を全車標準装備した。また、「ITS Connect」はこれまで設定が無かった「ロイヤル」「アスリート」でも装備可能になり、「ロイヤルサルーン」及び「アスリートS」に設定されていたオーディオレス仕様は本変更で廃止された。 2017年8月28日、特別仕様車「J-FRONTIER Limited」を発売。前年に発売された「J-FRONTIER」をリファインして設定されるもので、フロントグリルを漆黒メッキに、特別設定の内装色を「アイアンブラック」にそれぞれ変更。これに加え、フロントフォグランプベゼルをブラックに変更し、インパネ・ドアトリム・センターコンソール・シフトノブにブラックレイヤーウッド調加飾を、アクセルペダルとブレーキペダルにアルミペダルをそれぞれ施し、アクセルペダル踏み間違い時の衝突被害軽減に寄与するインテリジェントクリアランスソナーを追加。また、「アスリートS"J-FRONTIER Limited"」と「アスリートS Four"J-FRONTIER Limited"」はフロントの王冠エンブレム・Bi-Beam LEDヘッドランプ(オートレベリング機構付)・リアライセンス・LEDリアコンビネーションガーニッシュをダークスモークメッキに、LEDリアコンビネーションランプのエクステンションサイド部をブラックにそれぞれ変更。「アスリートS-T"J-FRONTIER Limited"」はリアバンパーロアスポイラーをブラックに変更し、前席シートヒーターを特別装備した。 2018年4月26日をもってオーダーストップとなり、その約1か月後に生産終了。後述する15代目へのフルモデルチェンジまでの間は在庫分販売となった。なお、パトカー仕様については2020年末まで継続生産された。 2012年型 アスリート前部 2012年型 アスリート後部 2012年型 ロイヤルサルーン室内 トヨタマルチオペレーションタッチ アスリートG"ReBORN PINK"(写真は市販予定仕様) アスリートG"ReBORN PINK"(写真は市販仕様) アスリートG"ReBORN PINK"(市販仕様・後部) アスリートG"ReBORN PINK"(市販仕様・インパネ) アスリートG"ReBORN PINK"(市販仕様・フロントシート) アスリートS"若草色エディション"(2015年箱根駅伝広報車) アスリートS"空色エディション" ハイブリッドモデルのエンジンルーム(2AR-FSE) パトカー(千葉県警察仕様) 2014年広州モーターショーでの中国仕様クラウン
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