日本政府の動き
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「ISILによる日本人拘束事件」の記事における「日本政府の動き」の解説
2014年8月16日夕方、湯川がシリアで拘束されたのを受け、在ヨルダン日本国大使館内で執務する馬越正之駐シリア臨時代理大使を本部長とする現地対策本部が設置された。 2015年1月20日にISILにより動画が公開されて以降、日本政府は、事件の概要の公表及び、多方面へ協力を要請している。安倍首相は1月20日午後、訪問先のイスラエルでISILの批判を行ったが、その際に首相がイスラエルの国旗の前に立ち演説する形で放送が行われた点について、松富重夫駐イスラエル大使のミスであるとの指摘がなされ、同大使は翌年異動となった。また安倍首相は、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバース大統領とラマッラーの大統領府で会談し協力を要請した後、当初予定を変更して戻ったエルサレムで、エジプトのアブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領、ヨルダン国王アブドゥッラー2世と相次いで電話会談して協力を要請するとともに、内閣総理大臣官邸地下にある内閣危機管理センターに官邸対策室を、ヨルダンの首都アンマンにある在ヨルダン日本国大使館に現地対策本部を、外務省本省に緊急対策本部を、警視庁に公安対策本部をそれぞれ設置し、またテロの発生を警戒して政府機関、空港などの警備強化を行った。その後帰国の予定を1時間15分早め、20日夜にベン・グリオン国際空港から日本国政府専用機で東京国際空港に向かったが、それに先立ち、夕方に内閣総理大臣臨時代理を務める麻生太郎副総理が中心となり、菅義偉内閣官房長官などが出席する関係閣僚会議が開催された。同日、中谷元防衛大臣がロンドンの夕食会でイギリスのマイケル・ファロン(英語版)国防大臣に対し支援を求めた。ヨーロッパ歴訪中の岸田文雄外務大臣は訪問先のロンドンでアメリカのジョン・ケリー米国務長官、フランスのローラン・ファビウス外務・国際開発大臣と電話会談して協力を要請した。その後ベルギーで、ドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイアー外相にも電話会談で協力を要請した。安倍総理大臣に同行してイスラエルを訪れていた中山泰秀外務副大臣が現地対策本部長に就任し、20日夕方に着任した。 1月21日に安倍首相が帰国し、関係閣僚会議を開催。拘束されている邦人が後藤と湯川であることを確認。現地対策本部本部長の中山外務副大臣がヨルダン国王のアブドゥッラー2世と会談し、協力を要請したのち、中山外務副大臣から安倍首相に、電話で会談内容の報告がなされた。ヨルダンに警察庁警備局国際テロリズム対策課国際テロリズム緊急展開班(TRT-2)が追加派遣された。岸田外務大臣が、イタリアのパオロ・ジェンティローニ外相と電話会談し協力を要請した後、ロンドンでフィリップ・ハモンド外務・英連邦大臣と、ブリュッセルの北大西洋条約機構本部でイェンス・ストルテンベルグ事務総長と、それぞれ会談し支援を要請した。 1月22日、安倍首相はオーストラリアのトニー・アボット首相、イギリスのキャメロン首相と電話会談し、双方から出来る限りの支援を取り付けた。中谷防衛大臣もヘーゲルアメリカ合衆国国防長官と電話会談し、協力要請を行ったほか、日米防衛協力のための指針見直しや普天間基地移設問題での協力を確認した。また同日、岡村善文国連次席大使がニューヨークで開催された国連総会の非公式会合で演説し、国際社会の協力を求めた。 1月23日、閣僚懇談会ののち、事件発生後初の国家安全保障会議が開催された。中谷防衛大臣が、ヘーゲル国防長官と電話会談及び、防衛省でのキャロライン・ケネディ駐日アメリカ合衆国大使との会談を行った。ISILの設定した期限を迎えるにあたり、中山外務副大臣がヨルダンでの宿泊先ホテル前で行った記者会見で、「職員は2人の思いをくんで、夜通し努力を続けている。」「無事な解放を祈りながら精いっぱい最後までやっていきたい。」とし、解放に向けて部族長やイマームと連絡をとるなどしていることを明らかにした。日本政府による対応は、(1)シリア周辺国であるトルコ、ヨルダンなどとの協力、(2)米英による情報提供及び(3)地元有力者による仲介の三面からなるものであるとされる。 1月24日午後5時35分、安倍首相がヨルダン国王のアブドゥッラー2世と、事件発生後2度目の電話会談を行い、これに岸田外相及び菅官房長官も参加して、協議を行った。中山外務副大臣が、報道陣の前には現れないまま、頻繁に車で大使館を出入りしたため、何らかの情勢の変化があったのではないかとの観測が流れた。 1月25日未明、人質1名が殺害された蓋然性が高まったことを受け、0時11分から菅内閣官房長官が緊急記者会見を開き「湯川遥菜氏と見られる邦人1名が殺害された写真を持つ後藤健二氏の写真が、インターネット上で配信されました。」と事態を説明した上で、「言語道断の許し難い暴挙であり、強く非難する。」と述べた。午前1時15分から関係閣僚会議が開催され、午前2時5分に安倍首相から「このようなテロ行為は言語道断の許しがたい暴挙であり、強い憤りを覚えます。断固として非難します。」との声明が出された。また24日には報道陣の前に姿を見せなかった中山外務副大臣が、外出先から在ヨルダン日本大使館の現地対策本部に戻って対応にあたり、午前9時ころに再び車で外出先に向かった。同日9時、NHK「日曜討論」に出演した安倍首相は、「(画像の)信憑性は高いと言わざるを得ない。」とし、湯川が殺害されたとの見方を示した上で、ISILがヨルダンで拘置されている死刑囚の釈放を人質解放の条件としていることに関し、「ヨルダンと緊密に連携して対応する」との考えを明らかにした。 1月25日、警視庁及び千葉県警察が、人質による強要行為等の処罰に関する法律違反(加重人質強要)の容疑で、現地の部族長らから情報を集めるなどの捜査を開始した。また警察庁が科学警察研究所で静止動画の分析を開始するとともに、各都道府県警察本部に対し、モスクや大使館、イスラム教徒が経営する店舗への嫌がらせ等を警戒するように指示を出した。午後3時20分、安倍首相が、訪印中のオバマ大統領と電話会談を行い、感謝の意を伝えるとともに、今後の協力を確認した。また菅官房長官と岸田外相が、ケネディ駐日アメリカ合衆国大使と電話会談した。 2013年1月に発生したアルジェリア人質事件などを想定して2014年7月に閣議決定した邦人救出を目的とした自衛隊法改正案について、1月29日の衆議院予算委員会で安倍首相は法案の成立に意欲を示した。ただし、ISILのケースは「その領域において権力が維持されている範囲」とはいえないため、対象外となる。ISILが活動するイラクやシリアなどの領域国が同意すれば、自衛隊の救出活動は「警察的な活動」として認められる可能性がある。なお朝日新聞によれば、政府の想定問答集の中で国家に準ずる組織かどうかについて「政府として判断していない」とされ、あいまいな扱いだと報道されているが、自民党は1月26日に「(イスラム国という呼び方は)あたかも日本が独立国家として承認している印象も与えかねない」として「ISIL(アイシル)」あるいは、「“いわゆる”イスラム国」との表現を使うことをすでに決めている。また、想定問答集では「『国家に準ずる組織』は存在しないとの考え方を基本とし」と明記されている。 2月1日、菅内閣官房長官は後藤殺害後の会見で、ISIL側と身代金の交渉は「全くしなかった」ことを明らかにした。安倍首相は「非道・卑劣極まりないテロ行為に強い怒りを覚える」「日本がテロに屈することは決してない。食糧支援、医療支援といった人道支援をさらに拡充していく。」などと述べた上で世界の指導者の協力への感謝を表明し、「ヨルダンのアブドラ国王には惜しみない支援をいただいた」と言及した。2月4日、菅はイスラム国がヨルダン軍パイロットを焼殺したことについて「一般の常識では考えられない許し難いテロ集団」と非難した。
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日本政府の動き
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幼保一体化とは、自民党政権下での幼保一元化と同じ構想のことであり、民主党政権では幼保一体化という言葉を使用していた。 2010年1月27日の参議院予算委員会の林久美子委員の質問に対し、鳩山由紀夫内閣総理大臣は、幼保一体化を進めるためにできる限り役所の一体化を行う方向で進めると答弁した。 また、仙谷由人内閣府特命担当大臣(行政刷新担当)は、幼保一体化を含め新たな次世代支援のために包括的・一元的な制度の構築を進めるために、2011年の通常国会までに所要の法案を提出し、利用者本位の保育制度に向けた抜本的な改革、イコールフッティングによる株式会社・NPOの参入促進、そして幼保一体化の推進を図る方針を明確にした。 民主党は、2009年に出されたマニフェストの中で、政策目的として「縦割り行政になっている子どもに関する施策を一本化し、質の高い保育の環境を整備する。」とし、具体策の一つで「子ども家庭省(仮称)」の設置を検討する事を掲げた。 自民党ではこども庁に幼稚園、保育園、認定こども園を一元化する方向で調整しているが、文部科学省や内閣府による縄張り争いにより踏み込めず、器作りが先行する形となっている。
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