安倍晋三首相の国会答弁
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「アメリカ合衆国下院121号決議」の記事における「安倍晋三首相の国会答弁」の解説
河野談話見直しを提言する民主党有志の「慰安婦問題と南京事件の真実を検証する会」が2007年3月に設立され、同会の要請に応じる形で安倍首相が3月に吉田証言などにも触れながら「(従軍慰安婦の)強制性を示す客観的な証拠はなかった」「広い意味での強制性はあったけれども、狭い意味での強制性はなかった」と国会答弁した。 この答弁に対してイギリスのエコノミスト紙が、安倍首相が「女性たち(慰安婦)はうそつきだと述べた」と報じた他、韓国・中国・台湾・フィリピン、アメリカ合衆国のメディアが首相を批判した。アメリカのワシントン・ポスト紙社説(2007年3月24日付)は、北朝鮮による日本人拉致問題に対する姿勢とは対照的であるとして安倍を「二枚舌」と批判し、またノリミツ・オオニシニューヨーク・タイムズ東京支局長などが日本政府の動きを批判するなど、アメリカの主要各紙が日本政府のこの問題に対する態度が不誠実であるとして批判した。安倍首相訪米前の2007年4月18日、日本の戦争責任資料センターの吉見義明、林博史、女たちの戦争と平和資料館館長の西野瑠美子らが日本外国特派員協会で慰安婦問題に関する記者会見を開き、海外の記者に向けて日本国の加害者責任を強く宣伝した。 決議案可決を阻止するために日米関係を重要視する安倍首相は4月末の訪米時、ブッシュ大統領や議会関係者らに「おわび」を表明することで5月に予定されていた採決は見送られていた。4月に安倍晋三首相の訪米に合わせて韓国系市民を中心とする団体が同紙に「従軍慰安婦の真実」と題した全面広告を出していた。 安倍晋三首相は河野談話に否定的だったが2007年3月には国際世論の動向を見つつ、当初の強硬姿勢を修正し国会答弁で慰安婦への「同情とおわび」に言及した。また4月には米誌ニューズウィーク紙の取材で、従軍慰安婦問題について「人間として心から同情する。首相として大変申し訳なく思っている」「彼女たちが慰安婦として存在しなければならなかった状況につき、我々は責任がある」と述べた。一方、日本では安倍政権の対応を『弱腰』として批判する意見も出た。 地方紙が相次ぎ安倍批判に加わった米国の下院議会では、決議案の採択を阻止しようとしていた国務省が、安倍発言に対する批判の高まりを受け、議員らの説得を中止してしまった。当時の国家安全保障会議の関係者は、決議案への反対を取り付けた議員の全員が、安倍発言の後、賛成に回ってしまったと語った。
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