安倍発言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 09:24 UTC 版)
安倍晋三首相は2006年の組閣後、2007年3月1日に「旧日本軍の強制性を裏付ける証言は存在していない」と発言、3月5日には対日決議案は「客観的事実に基づいていない」と述べた。安倍首相は他方で当時の慰安婦の経済状況について考慮すべきこと、斡旋業者が「事実上強制していたケースもあった。広義の解釈では強制性があった」とも発言した。この安倍発言は国内外で大きな波紋を呼び、ワシントンポストは「二枚舌」と批判した。対日非難決議案の動きについて麻生太郎外務大臣は3月11日のフジテレビ番組で北朝鮮、韓国、中国などによる日米離間(分断)の反日工作と指摘した。3月31日には元慰安婦へ補償を行なってきたアジア女性基金が解散。またアルジャジーラは「アメリカ合衆国は日本と中国・韓国との間に問題を作り出そうとしている」と報じた。 安倍内閣は、2007年3月16日付で、「河野談話をこれからも継承していく」としつつ、「官憲が家に押し入って人さらいのごとく連れて行くという強制性、狭義の強制性を裏付ける証言はなかった」とし、「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった」とする政府答弁書を閣議決定した。また第二次安倍内閣においては、総裁選から衆議院選挙を経て一貫して「河野談話の見直し・改変」を唱えていたが、2013年5月24日、「安倍内閣の閣議決定は河野談話を引き継いでいる」と辻元清美の質問主意書には応えている。 2007年4月3日、米議会調査局報告書で日本軍は朝鮮半島での直接の徴集を行っていないこと、これまでに日本は謝罪や賠償努力を行なってきたことを指摘して、これ以上の賠償要求を行うことに疑問を呈した。安倍首相は4月27日に初訪米し「私の真意が正しく伝わっていない」と、また慰安婦が当時苦しい状況にあったことに「心から同情する」と述べた。前日の4月26日にはワシントン・ポストに在米韓国人団体が「日本は全面的な責任をとったことは一度もない」と意見広告を掲載していた。
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