各種企業の対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 06:04 UTC 版)
「2022年ロシアのウクライナ侵攻による経済的影響」の記事における「各種企業の対応」の解説
米国のイェール大学経営大学院の調査では、ロシア事業の撤退・縮小を決めた外国企業は2022年4月時点ので750社を超える。 各国の企業経営者ら要人が集まる世界経済フォーラムは2022年総会(ダボス会議)でロシアの参加資格を停止し、前年までロシアが投資誘致に使っていた施設はロシアの戦争犯罪展示に転用された。さらにウクライナの大統領ウォロディミル・ゼレンスキーは2022年5月23日にオンライン参加して「企業ブランドが戦争犯罪と結びついてはならない」とロシアからの企業撤退と貿易停止、経済制裁の加速を要請した。 2月27日BPは、19.75%保有していたロシア石油大手ロスネフチの株を売却し、ロスネフチと手がけてきたロシア国内での合弁事業も解消しロシアから事実上撤退することを発表した。また、BPのCEOのバーナード・ルーニー(英語版)および前CEOのボブ・ダドリー(英語版)はロスネフチの取締役を即時辞任した。 2月28日Netflixは、ロシア国営放送を同国のサービスに追加する計画はないと明らかにした。 ABボルボは、ロシアでの生産と販売を全て停止したと発表した。ボルボ・カーズもロシアへの自動車の出荷を停止した。 ダイムラー・トラックは、ロシアで現地商用車大手カマズとの合弁事業の凍結を発表した。 ゼネラルモーターズは、ロシア向けの自動車輸出を当面停止すると発表した。 マスターカードは、同社の決済網からロシアの複数の銀行を排除したと発表した。また、ウクライナの人道的支援のために200万ドルを寄付することを明らかにした。3月5日、ロシアにおけるカード決済事業の停止を発表した。 シェルは、ロシア・サハリン沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」からの撤退を発表。 エクイノールは、ロシアの合弁事業からの撤退を開始すると発表した。 エリクソンは、ロシアへの製品などの納入を全て停止することを明らかにした。 フィンランドの酒類販売独占企業のアルコは、店頭とオンラインでロシア製アルコール飲料の販売を停止した。 ロシア連邦中央銀行は、経済制裁の影響によるルーブルの急落を受けた緊急措置として、政策金利を従来の約2倍の20%に利上げすることを発表した。 3月1日Visaは3月1日までに、同社の決済網からロシアの複数の銀行を排除したと発表した。また、ウクライナの人道的支援のために200万ドルを寄付することを明らかにした。3月5日、ロシアにおけるカード決済事業の停止を発表した。 Appleは3月1日までに、ロシアでの同社製品の全ての販売を停止した。ロシア以外の国では、アップストアからロシア政府系メディアの「RT」「スプートニク」のアプリを削除した。 ナイキは3月1日までに、ロシア国内で自社サイトでの商品販売を停止した。3月3日、ロシア国内の全店舗を一時閉鎖すると発表。 フォード・モーターは、ロシアの合弁工場での商用車の生産を停止すると発表した。 BMWは、ロシアでの自動車生産とロシアへの輸出を停止すると発表した。 ハーレーダビッドソンは、ロシア事業とロシアへの輸出を停止したと発表した。 ジャガーランドローバーは、ロシアへの輸出を停止したと発表した。 エクソンモービルは、ロシア・サハリン沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン1」から撤退するため、操業停止に向けたプロセスを開始したと発表した。 トタルエナジーズは、ロシアでの事業を継続すると発表する一方で、「今後はロシアでの新規プロジェクトに資金を提供しない」と表明した。また、この日の声明で「欧州諸国による対ロシア制裁を支持する。自社のロシアでの活動への影響に関係なく、制裁活動を履行する」と述べた。 ボーイングは、ロシアの航空会社への部品・メンテナンス・技術サポートを停止したと発表した。 YouTubeは、ロシア政府系メディアの「RT」「スプートニク」の公式チャンネルを欧州域内で視聴できない措置を取ったと明らかにした。 アディダスは、ロシアサッカー連合とのパートナーシップを解消した。 ノルウェーの酒類専売公社のヴィンモノポレットは、国内の酒店からロシア産アルコール飲料を撤去すると発表した。 3月2日Spotifyは、ロシアの事務所を無期限に閉鎖すると発表した。 H&Mは、ロシアでの全ての販売を一時的に停止すると発表した。 トヨタ自動車は、部品の調達や物流に悪影響が出ていることから3月4日からサンクトペテルブルクにあるロシア工場を当面生産停止することを決定した。 3月3日Googleは、ロシアでのオンライン広告の販売を停止したと発表した。検索サービスやYouTube、提携関係にある外部のコンテンツ提供者も対象に含まれるとした。 イケアは、ロシアとベラルーシでの全ての輸出入を停止するほか、ロシアでの生産も一時的に停止すると発表した。 3月4日マイクロソフトは、ロシアでの全製品およびサービスの新規販売を停止すると発表した。 Steamで配信されている「Book of Demons」「Goldmine」「Ebony Spire:Heresy」「Space Mercs」の4タイトルの配信者は、ロシア向け価格を日本円で約6900円~約1500万円に値上げした。 任天堂は、ロシア向けニンテンドーeショップがメンテナンスモードに入った事を明らかにした。任天堂は「ロシア向けニンテンドーeショップが使用している決済サービスがルーブルでの支払い処理を停止したため」と説明している。 ミシュランは、ミシュランガイドでのロシアのレストランの推薦を全面停止した。 エルメスは、ロシアの店舗を一時閉鎖し、同国での全ての商業活動を停止すると表明した。 アドビは、ロシア国内におけるサービス停止および商品の販売停止を発表した。あわせて、ロシア国営メディアから同社のクラウドサービスへのアクセスを停止した。 PayPalは、ロシアでのサービスを停止すると発表した。 トヨタ自動車は、サンクトペテルブルク工場での車両生産およびロシア国内での完成車輸入を停止した。 パナソニックは、グループとしてロシアへの家電の出荷を原則停止すると発表した。 3月5日インディテックスは、ロシアにある全502店舗を一時休業した。オンラインでの販売も停止した。 3月6日アメリカン・エキスプレスは、ロシアでの事業を停止すると発表した。ベラルーシでのすべての事業も停止した。 中国系動画投稿アプリ「TikTok」は、ロシアでの動画サービスを一時停止すると発表した。 Netflixは、ロシアでの全サービスを停止した。 住信SBIネット銀行が24日に予定していた東京証券取引所へのIPOの延期を決定した。その後、同行はウクライナ情勢や市場動向の変化などを理由として、上場や株式売り出しを見合わせることを7日に発表した。 3月7日アメリカの格付会社ムーディーズは3月7日までに、ロシアの信用格付けを下から2番目の「Ca」(デフォルトに陥っているか、それに近い状態にある)に引き下げると発表した。 ロンドン貴金属市場協会(LBMA)は、ロシアの貴金属精錬業者6社の認定を停止したと発表した。 リーバイスは、ロシアでの一時休業を発表した。 ファーストリテイリングは、ロシア国内50店舗で運営するユニクロについて、当面の営業継続を明言した。同社広報は、CEOの柳井正の「衣料は生活必需品」であり「ロシアの人々も我々と同じように生きる権利がある」と述べたことを明らかにした。各国のロシアへの経済制裁を受けての同社の方針に批判の声も上がり、不買運動を呼び掛ける意見もあった。同社は約11億5千万円の寄付や衣服の提供などウクライナへの支援を表明したが、業界大手のインディテックスとH&Mがロシアでの事業一時停止を決定していることからも議論となり、3月10日に方向転換し、ロシアでの事業一時停止を発表、1週間~10日ほどの準備期間を経て、ロシア国内の全50店舗の営業を休止した。 3月8日JCBは、ロシアでのクレジットカード決済サービスを日本時間の14日から停止すると発表した。ロシア国内で発行されたJCBカードは同国内では使えるが、国外では使えなくなる。ロシア国外で発行されたカードはロシアで使用できない。 シェルは、ロシア事業を全面的に終了すると発表。 マクドナルドは、ロシアでの事業を停止すると発表した。同社の声明では、ロシア国内にいる6万2千人の従業員に対して給与は引き続き支払うとしている。同年5月16日、マクドナルドはロシアから完全に撤退することを決定した。5月27日、マクドナルドがロシア国内の店舗をロシアにおけるフランチャイザーであるアレクサンドル・ゴボルに売却すると報じられた。6月12日、モスクワ市内の15店舗が「フクースナ・イ・トーチカ」という新しいブランドで営業を再開した。 スターバックスは、商品の出荷を含め、ロシア事業を全面停止すると発表した。 コカ・コーラは、ロシアでの事業を停止すると発表した。 ペプシコは、ロシアでの飲料販売を停止すると発表した。ただし、牛乳などの乳製品や粉ミルク、ベビーフードなど生活必需品の販売は継続するとした。 Amazon Web Servicesは3月8日までに、ロシアとベラルーシにおけるクラウドサービスの新規契約を停止したと発表した。 ヤム・ブランズは、新規投資を凍結し、展開するケンタッキー・フライド・チキン (KFC) のロシア国内の約1000店舗のうち約70店舗の直営店の営業停止を発表した。一部店舗を営業停止としたのは、多くの店舗がフランチャイズ店で、迅速に営業停止を実施出来ないためと説明された。また、同社が展開するピザハットも約50店舗はフランチャイズ店で迅速な営業停止が出来ない一方、新規契約は凍結すると発表。 ロレアルは、ロシアの店舗を一時閉鎖し、同国への投資を停止すると発表。それとともに「ロシアのウクライナ侵攻と同国での戦争を強く非難する。この戦争でウクライナ人に甚大な苦しみがもたらされている」との声明を発表した。 イェール大学経営学部の副学科長の作成したリストでは、3月8日までに何らかの措置を取った企業や団体の数は200以上となった。 3月9日ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、新作ゲームソフト「グランツーリスモ7」を含むソフトウエアおよびハードウエアのロシアへの出荷をすべて停止すると発表した。ロシアでの「プレイステーションストア」の運営も停止する。 セイコーエプソンはロシアとベラルーシとの新規取引を停止した。 オムロンは、ロシアとウクライナ向け事業を前の週から停止していることを明らかにした。 3月10日リオ・ティントは、ロシアとの商業関係をすべて打ち切ると発表した。 ゴールドマン・サックスは、ロシア事業から撤退する計画を明らかにした。アメリカ金融大手のロシアからの撤退意向は初とみられる。 ソニー・ミュージックグループは、ロシアでの事業活動を停止したと発表。世界的な人道支援への協力を続けると述べた。 日立は、ウクライナの副首相の要請を受けてロシアでの事業を当面の間停止すると発表。 三菱電機は、ロシアでの事業を停止したと発表した。 3月11日花王は、ロシア向けの商品出荷を一部停止すると発表した。広告活動も中止する。紙おむつや生理用品の一部は子供や女性の生活に欠かせないため出荷を続けるとする。 ドイツ銀行は、ロシアでの事業を段階的に縮小すると発表した。新規事業も行わないと述べた。同行は前日までロシアからの完全撤退を拒んでいたが、投資家からの圧力が強まり、方針を転換した。 YouTubeは、ロシア国営メディアと関連するチャンネルをブロックし、世界中で見られなくなるよう措置を講じた。これらのチャンネルはヨーロッパですでに見られなくなっていたが、全世界に広げた。 Niantic, Inc.は、スマートフォンアプリ「Pokémon GO」のロシアとベラルーシでの提供を停止した。 半導体製造用ガス「ネオン」を生産するウクライナの主要メーカー、インガスとクライオインが操業を停止した。2社は、半導体製造に使われるレーザー光の生成に必要なネオンの世界供給の45~54%を生産している。 3月14日ブリヂストンは、18日からロシアの乗用車用タイヤ工場の稼働を停止すると発表した。新規の設備投資も凍結する。ロシア向けのタイヤ輸出は14日に停止した。 グルーポ・ビンボは、ロシアでの販売、新規投資、広告活動を停止すると発表した。 3月22日S&P グローバルは、ロシアとベラルーシの顧客に対し全商品のサービス提供を停止すると発表した。 3月23日ルノーは、モスクワ工場の操業停止を決めたと発表した。ウクライナのゼレンスキー大統領がこの日にフランスの国民議会で行ったオンライン演説を受けての判断とされる。ゼレンスキー大統領はルノーや小売り大手オーシャンなどを名指し、ロシアで活動を続けているフランス企業に「ロシアの兵器のスポンサーであることをやめるべきだ」と撤退するよう訴えた。 3月28日ハイネケンは、ロシアでの事業から撤退することを決めたと発表した。従業員1800人の給与は2022年末分まで支払うと約束した。 カールスバーグは、ロシアからの撤退を発表。同国での全事業を譲渡する意向を示した。 4月5日インテルは、ロシアでの事業を停止したと明らかにした。「インテルは国際社会と共にロシアによるウクライナとの戦争を非難する。また速やかな平和への復帰を求める」と表明した。 4月12日ノキアは、ロシア市場から撤退することを明らかにした。 4月20日インドのタタ・スチールは、ロシアとの取引を停止すると発表した。同社はロシア国内に拠点を設けていないが、製鋼工程で用いる石炭をロシアから輸入している。 ENEOSホールディングスの杉森務会長は、ロシア産の原油について「ウクライナ問題が解決されない限り、買うつもりはない」と述べた。代替として、当面はすでに取引のあるサウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェートなど中東地域からの調達を考えているという。
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