封印後のメディア露出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 22:22 UTC 版)
当初は商業誌へのサブタイトルも掲載を控えられていたものの、80年代以降は本作品の資料的なデータ(作品自体ではなく)が幾度も公表されている。 1980年 朝日ソノラマより出版された『宇宙船 Vol.2』のQ&Aコーナーで、第12話のサブタイトルと欠番に至る非常におおまかな経緯が、文字の大きさを他のQ&Aのものより小さくし、本の内側に目立たないようにして掲載された。 1983年 新英出版より出版された写真情報誌『スクランブルPHOTO』で、第12話のオープニングとスペル星人の写真がモノクロで紹介され、欠番に至る経緯と第12話のビデオテープが1本10万円前後で取引されているなどの記事が掲載された。 1983年 大阪で開催された日本SF大会で上映されたオープニングアニメーション『DAICON IV OPENING ANIMATION』の中で、スペル星人の姿が2度確認できる。 1984年 竹書房より出版された豪華本『ウルトラマン大事典』で、スペル星人の写真や第12話のフィルムストーリーが公開され、エピソードガイドにもあらすじなどが掲載された。 1984年 朝日ソノラマより出版された『ファンタスティックコレクション N0.35 ウルトラセブン グラフィティ』に、スペルUFOの見出しとともにスペル星人円盤のカラースチールが、第12話のタイトル、監督、脚本、監督、特殊技術、本放送日の情報とともに掲載された。 1986年から数年に渡り東映ビデオより発売されたウルトラセブンのビデオに同封されていた放映リストに、第12話のサブタイトル、スペル星人の名称、脚本、監督、本放送日が記載された。 1987年 講談社より出版された『ウルトラマン大全集II』の230pで、スペル星人の円盤の写真が掲載された。 1987年 講談社より出版された『メーキング・オブ・円谷ヒーロー 2 サイエンスヒーロー・ワールド』の147-149pで、橋本洋二・佐々木守・大木淳吉・池谷仙克による座談会の中で、第12話の欠番に至る経緯に言及している。 1987年夏、深夜から早朝にかけTBSで放送された『泉麻人のウルトラ倶楽部』では、ウルトラセブン放映分の第1回目の番組オープニング時の解説にて、泉が「諸事情により放映できない回があり、今回も残念ながら放映はできません」とあらかじめ断った上で「第12話を除く全話」が放送された。 1989年 バンダイビジュアルより発売された『レーザーディスク ウルトラセブン Vol.3』のライナーに「幻の第12話とは何か?」と題し、會川昇による第12話の解説(企画状況や欠番に至る顛末など)および詳細なストーリーが掲載された他、本編のフィルムも一部掲載された。 1991年 朝日ソノラマより出版された『ウルトラマン白書 第3版』で、注釈つきながら作品リストに第12話の情報が記載された。1987年発行の同書第2版に掲載されたリストには、第12話に関する情報は記載されていなかった。 1991年 太田出版より出版された『イカす!おたく天国』の著者、宅八郎と第12話監督の実相寺昭雄との対談にて第12話についての記事が掲載。この中で、実相寺は「抗議は自分や脚本の佐々木守のところには来ていない」「テーマは別のところにあった」「第12話について話すのはこの対談が初めてである」と明かしている。 1992年 JICC出版局(現・宝島社)より出版された『別冊宝島 怪獣学入門』の初版で、『「幻の12話」を20年間追い続けた男』と題し、第12話の欠番に至った経過(編集部取材・文)が掲載されたが、第2版からは『ゴジラ COMICの逆襲』(JICC出版局)の広告に差し替えられている。 1993年から1997年まで講談社のコミックボンボンに掲載された『ウルトラマン超闘士激伝』の中で、カネゴンやナックル星人の後ろに座っているモブキャラクターの観戦客としてスペル星人が描かれているのが確認できる(完全版第3巻 43p)。 1995年 三一書房より出版された佐々木守シナリオ集『故郷は地球』には、第12話のシナリオが完全に収録されている。佐々木は2003年の著書『戦後ヒーローの肖像 -『鐘のなる丘』から『ウルトラマン』へ』(岩波書店)内で第12話の封印経緯について触れ、抗議による欠番自体はやむを得ないとしながらも、「本放送を視聴していない」人々の抗議だったことは訝っていた。 1998年 朝日ソノラマより出版された 竹内博の編集による『ファンタスティックコレクション 空想特撮シリーズ ウルトラセブン アルバム』初版に、第12話の製作No、サブタイトル、スペル星人の名称、脚本、監督、本放送日が掲載され、裏表紙にはスペル星人の円盤のカラースチール写真と、本編のフィルムからスペル星人の飛行シーンが掲載された。ただし1999年の第2版ではスペル星人の飛行シーンのみ別スチールに差し替えられた。 2001年 8月3日付の朝日新聞は「幻紀行」のシリーズで、「封印の理由」「『差別』で論議 12話欠番に」「セブンに込めた願いは」などの見出しでこの問題を取り上げ、三浦宏の執筆によって欠番となった経緯を説明。佐々木や実相寺らの原爆反対を訴えたものと反論を載せ、アンヌ役のひし美ゆり子によるDVD化の提案と、広島平和記念資料館の元館長・高橋昭博にビデオを観てもらった上での「31年前に見ても差別だとは感じなかったはずで平和を願う気持ちが伝わる」というコメントを載せている。 2002年 辰巳出版より出版された『ウルトラセブンISM』の71pで、本編班助監督を務めていた山本正孝が、12話のラストで夕陽をバックにキャストがシルエットで立つシーンのロケがキャストがセリフを言っているうちに夕陽が落ちてしまい1週間粘ったがうまくいかず、スタジオのホリゾントを使って撮影した などの詳細な裏話が掲載されている。 2002年以降 12話会より出版された『1/49計画 ウルトラセブン12話大全集』で、非公式ではあるが関連の資料や関係者インタビューを集めた記事が掲載された。現在までに第3弾まで発行されている。 2004年 太田出版より出版された『封印作品の謎』で、安藤健二による従来の特撮系書籍とは異なる角度からの取材にもとづき、第12話の問題の経緯の詳細が報告されている。 2004年 ファミリー劇場でウルトラセブンの再放送が行われた際、「ウルトラセブン第12話は永久欠番となっておりますので放送致しません。ご了承下さい。」というテロップが挿入された。 2005年 光文社より出版された写真情報誌『FLASH 11月22日号 No.890』の77-80pで 袋とじ企画「ウルトラセブン 封印された第12話ー遊星より愛をこめてー」と題し、スペル星人の写真(ただしアトラクションスーツは本編で使われたものではない)が掲載され、つづく81-83pで「闇に葬られたウルトラ怪獣を追え」と題し、放送から封印までの詳細な経緯や、竹内博、井川浩、ひし美ゆり子、スペル星人の人間体である佐竹三郎を演じた岩下浩、スペル星人の声を演じた谷津繁、熊谷健ほか当時の関係者らの証言やコメントを多数掲載。最初に抗議文を送った中島龍興と第12話の脚本を担当した佐々木守らによる再公開に向けての打開策をテーマとした対談メモなども掲載された。 2009年 ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントより出版された『昭和42年ウルトラセブン誕生』の56pで、第12話のアフレコが1967年10月5日に行われ、11月4日に完成していたことが記載されている。また最終頁には、第12話のサブタイトル、脚本、監督、放送日、視聴率が32.8%と記載された各話視聴率一覧の貼り紙の写真が修正されることなく掲載された。 2011年 講談社より出版された『ウルトラ怪獣DVDコレクション6 メトロン星人』のブックレットの18pで、スペル星人の写真が掲載されている雑誌の写真ページ(1968年 ぼくら3月号・同年 別冊少年マガジンお正月特大号)が掲載された。 2011年 洋泉社より出版された『ウルトラセブン研究読本』の319pで 第12話のサブタイトル、脚本、監督、特殊技術監督の氏名が掲載された。 2014年 7月19日〜8月31日 富山県立近代美術館において、『成田亨 美術/特撮/怪獣 ウルトラマン創造の原点』と題し、青森県立美術館所蔵の成田亨のデザイン画や彫刻・絵画作品とあわせ、未公開原画としてスペル星人のデザイン画の原画が初めて一般に公開された。デザイン画はかつて同人誌に掲載されたデザイン画の原本とみられ、模様のデザインもきちんと識別可能で同人誌ではかすれて消えていた部分まで識別可能な状態であったという。 一般公開されたデザイン画はかつて同人誌の直接取材に対し成田夫人が「こんなデザイン画はみたこともない。こんな宇宙人は成田のデザインではない」とのコメントを寄せていたものであったが、この展覧会では成田亨本人の手によるデザイン原画の一つとして展示された。またこの展覧会では成田夫人による基調講演も行われたが、スペル星人のデザイン画は図録には未収録となった。なお展示はされたが図録未収録のデザイン画はスペル星人だけでなく他にも多数あった。 2017年 小学館より出版された『アンヌ今昔物語』の70pで、第12話のサブタイトル、脚本、監督、特殊技術監督の氏名が掲載された上で、2004年2月25日にジェネオン エンタテインメントより発売されたDVD『ウルトラヒロイン伝説-アンヌからセブンへ』に収録されている監督の実相寺昭雄との対談の収録が2003年に行われたことにふれ、「DVDに収録はできなかったが、監督が12話についてお話されているくだりものこっているはず」「実相寺さんも早く封印といてほしいと願っていました」といったひし美ゆり子のコメントが掲載された。 2017年 復刊ドットコムより出版された『ウルトラセブン撮影日誌』の60〜71pで、当時平行して撮影されていた8話(制作No.10)とともに、12話(制作No.9)の本編班・特撮班の撮影日誌と、スペル星人人間体 佐竹三郎役で出演した岩下浩の名前が記載された日誌の原本写真などが掲載された。 2021年 小学館より出版された『ダンとアンヌとウルトラセブン』では12話の解説ページはなく、13話のページに「12話は欠番」という補足のみの扱いとなったが、118pで「今回の本で心残りなのは"49話コンプリート"できなかったことね」(ひし美ゆり子)「事情はあるだろうけど、何かの形で見てもらえたらと思うよ」(森次晃嗣)などのメインキャストによる異例の12話についてのコメントが掲載された。 近年の関連書籍では1991年に朝日ソノラマより出版された『ウルトラマン白書 第3版』で、注釈つきながら放映リストに加えられたのを見本に「第12話は欠番状態となっている」などと放映リストに記載しつつ注釈で非公開であることを断るという形式が定着し、全体的には円谷プロの監修による書籍では第12話のデータのみ掲載されて写真などは公開されておらず、現在、問題の詳細を掲載するにあたって円谷プロの同意を得ることは困難であり、円谷プロの版権を必要とする特撮系書籍でこの問題を扱うのは難しい状況となっているが、一部の当時のブロマイドの類には現存するものもある。 上記の豪華本やレーザーディスクでの扱い(ともに流通部数が少なく絶版状態)は極めて異例だが、近年においてはメインキャストによる12話公開に関するコメント掲載、12話の撮影当時の撮影日誌の公開 など『具体的に12話について述べている旨を伏せた形』でのメディア露出が黙認されている。
※この「封印後のメディア露出」の解説は、「スペル星人」の解説の一部です。
「封印後のメディア露出」を含む「スペル星人」の記事については、「スペル星人」の概要を参照ください。
- 封印後のメディア露出のページへのリンク