収納品とは? わかりやすく解説

収納品

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/20 16:44 UTC 版)

赤漆文欟木御厨子」の記事における「収納品」の解説

御厨子納められ品々天皇身近に置かれ特別なであった考えられる。『国家珍宝帳』には以下の品々御厨子納められたと記されている。なお、宝物番号記したものは現存している。 雑集宸翰#聖武天皇宸翰」も参照 聖武天皇書写したもので、本文中国南北朝時代から唐時代までの145首の詩文抄写である。宝物番号北倉3。『国家珍宝帳』には、白麻紙に軸は紫檀標紙表紙)は紫の羅(絡み織)で綺(かんはた)の紐が付いていたと記されるが、現在は紫色標紙をつけ、その上に白紙巻いて外題墨書され、新補の紐がしるされている。紙面は縦27.1から27.7長さ2142聖武自筆で「天平3年731年9月8日写了」とある。文字行書筆意強く帯びた楷書多く内藤虎次郎王羲之書法学んだとした。抄写された詩文中国において失われたものが多く中国文学研究においても重要な資料とされる孝経 厳正天皇書写したもの麻紙瑪瑙軸。『孝経』は8世紀前半重宝されていたとされる頭陀寺碑文楽毅論杜家立成光明皇后#杜家立成雑書要略」も参照 頭陀寺碑文楽毅論杜家立成雑書要略3巻の書で、光明皇后書写したもの杜家立成雑書要略のみ現存し宝物番号北倉3。隋末唐初書簡例文集で、家は文章をつくるのが早くであった杜正蔵のことで、立成はすぐに出来るという意味、雑書要略著述のなかから雑事に関する抄録のこと。白、黄、、青などの色麻紙19帳を継いで1巻とし、王羲之倣った行書体記される紙面は縦26.8から27.2長さ706巻末紙背継ぎ目に「積善藤家」の朱文方印が捺されており、光明皇后藤原氏出身であることを強く意識していた現れとされる書き出し15行までは後述する楽毅論似た書風同時代書かれたと思われるが、その後自由奔放熟達した書風であることから、のちの書写とする向き一般的楽毅論光明皇后#楽毅論」も参照 光皇后王羲之の書を臨書したものとされる宝物番号北倉3。白麻紙に全文43行で書かれ瑪瑙軸に巻かれる巻末に「天平16年10月3日 藤三娘」と署名があるが、署名部分のみ黄麻紙用いられ本文と書風も異なることから本文署名書き手別人であるという説もあったが、神田喜一郎臨書自由に描いた署名相違することに不自然はいとしている。楽毅論は魏の夏侯玄の作で、戦国時代燕の武将楽毅賞賛した文章王羲之による楽毅論は隋の智永が「楽毅論正書第一なり」とするなど、王羲之楷書最高峰とされていたが真筆伝わっていない。 白葛上記書物収納した箱。防虫香の裛衣香2袋と共に収納していた。宝物番号北倉3。アケビとしてカヤツリグサ編み上げエゴノキ薄板を縁としてヤナギ小枝を紐としている。箱全体素地であるが、カヤツリグサ蘇芳染め上げて小文を編み上げている。 信幣之物 聖武天皇光明皇后結納にあたって互いに贈りあった礼物。封をした箱に納められていた。現存しないため実態不明であるが、互いに交わした和歌のようなものが納められていたと考えられる天平宝字3年760年12月26日除物付箋が貼られ持ち出されたが、晩年光明皇后手元取り戻した考えられる書法廿巻 王羲之書法合計20巻のこと。裛衣香3袋と共に平脱の箱に入れ高麗錦の袋に納めた弘仁11年820年)に出蔵し返納されず現存しない。『国家珍宝帳』にはそれぞれの巻について「廿五行 黄紙 紫檀軸 紺綾褾 綺帯」などと記されるが、詳細不明。ただし『喪乱帖』(三の丸尚蔵館)、『孔侍中帖』(前田育徳会)、『妹至帖』(九州国立博物館)は書法巻第7の断簡考えられる金銀小刀国家珍宝帳』には刃長1尺4寸7分と記される小刀記されるのはこれのみ。 斑犀偃鼠皮御帯はんさいえんそひのおんおび) 斑模様のあるサイの角モグラの皮で作ったベルトの事。現在は飾り犀角製)と、裏座および留め金銀製)の残闕が伝わる。宝物番号北倉4。2002年調査により漆を塗ったの皮が確認されたが、モグラのものであるかは確認できなかった。 御刀子国家珍宝帳』には6口が記されるが、現存するのは「緑牙撥鏤把、鞘金銀作」と「斑犀把白牙、鞘白組係」の2口。宝物番号北倉5。前者は緑牙撥鏤把鞘御刀子りょくげばちるのつかさやのおんとうす)と呼ばれ、把鞘共に象牙製で撥鏤技法用いられる後者斑犀把白牙鞘御刀子はんさいのつかびゃくげのさやのおんとうす)と呼ばれ、把は犀角製で鞘は象牙製。両者とも鞘は象牙一材をくり抜いて作られているのが特徴。これらの刀子は「緑地地錦間縫」の袋にいれられていたと記されるが、袋は現存しない。また、袋に入れた刀子前述斑犀偃鼠皮御帯装着されたものである斑貝きつまく御帯 現在は貝製の飾り残闕が伝わる。宝物番号北倉6。斑貝はヤコウガイチョウセンサザエなどで、金銅の裏金が付く。きつまくは樹幹樹皮の間にできる柔組織のこと。 十合鞘御刀子じゅうごうざやのおんとうす十合鞘は10口の刀子収める一つの鞘のこと。宝物番号北倉7。鞘は動物の皮に漆塗り10口の刀子記されるが、実際刀子は6口、錯(やすり)が2口、やり鉋が1口、鑽(のみ)が1口。斑貝きつまく御帯装着されいたもの明治期補修されている。 三合鞘御刀子さんごうのさやのおんとうす) 三合鞘は3口の刀子収める鞘のこと。現存せず。納められていたのは刀子が2口、鉋が1口と記されている。これも斑貝きつまく御帯装着されいたもの赤紫黒紫とう綬御帯 赤紫黒紫の糸で組んだ組紐の帯。現存せず。 紅地錦御袋国家珍宝帳』には麝香収めていたとあるが、実在せず詳細不明赤紫黒紫とう綬御帯装着されていた。 三合鞘御刀子さんごうざやのおんとうす三合鞘は3口の刀子収める鞘のこと。宝物番号北倉8。鞘は皮に漆塗りで、3口の刀子は把がそれぞれ、斑犀、紫檀沈香作られる赤紫黒紫とう綬御帯装着されていた。 小三合水角鞘御刀子しょうさんごうすいかくざやのおんとうす水牛の角製の三合鞘と3口の刀子宝物番号北倉9。明治期補修されている。赤紫黒紫とう綬御帯装着されていた。 水角鞘御刀子国家珍宝帳』には水牛の角製の鞘に、斑犀の角製の把が付いた刀子記されるが、現存せず。赤紫黒紫とう綬御帯装着されていた。 犀角鞘御刀子国家珍宝帳』にはサイの角製の鞘に、白犀の角製の把が付いた刀子記されるが、現存せず。赤紫黒紫とう綬御帯装着されていた。 牙笏(げのしゃく) 象牙製の笏。宝物番号北倉10長さ39.0、幅5.5正倉院北倉に伝わる笏はいずれも上円下方である。 通天牙笏つうてんのげのしゃく) 象牙製の笏。宝物番号北倉11長さ34.9、幅4.8大魚骨笏たいぎょこつのしゃく) マッコウクジラ下顎の骨で作られた笏。宝物番号北倉12長さ35.8、幅5.7『続日本紀』記される規定には象牙製と木製しかなく、日本のみならず中国にも魚骨製はみられないが、中倉にもセミクジラの骨製の尺が伝わっている。 紅牙撥鏤尺(こうげばちのるしゃく) 撥鏤技法によって作られ物差し紅色染めた尺は2枚が伝わる。宝物番号北倉13片面一辺が1寸の区画をつくり、その中に動植物文様あしらわれる。分(寸の10分の1)の目盛りはなく、儀礼用の尺であったとみられる反対の面には区画もうけず自由に文様配置され側面には規則的に小さい花文様配するこうした儀尺は唐では毎年2月贈答する風習があり、唐で作られたものが遣唐使などにより舶来したものとする説が主流天平時代2枚の尺は微妙に長さ異なり、これを根拠1枚平安後期から鎌倉時代ものとする説もあるが、目盛り相当する区画も厳密ではなく儀礼用の尺であれば厳密に作られるものではなかったとしていずれも天平時代の物とされる緑牙撥鏤尺(りょくげばちのるしゃく) 紺色撥鏤技法施された尺で2枚が伝わる。宝物番号北倉14文様紅牙撥鏤尺類似するもので、同じ用途供されたと思われる同様に2枚が伝わる。 白牙尺 白地のままの象牙の尺。表面に寸と分の目盛り刻まれる紅牙撥鏤笇子国家珍宝帳』には100枚白柳の箱に納められたと記されるが、現存せず詳細不明双六点数計算などに使う遊戯具の一つか。 犀角杯国家珍宝帳』には白1口と黒1口と記される記録によれば弘仁5年814年)に出蔵し売却され現存しない。 双六頭すごろくとう双六用いサイコロ宝物番号北倉17。『国家珍宝帳』には233隻が納められたと記されるが、現存するのは象牙製で6隻が伝わる。 双六子すごろくし) 双六用いる駒。宝物番号北倉18水晶琥珀ガラス蛇紋岩などで作られる。『国家珍宝帳』には169納められたと記されるが、現在は85が伝わる。革製漆塗りの箱に納められている。 貝玦(ばいけつ) 貝製の飾り具。『国家珍宝帳』には22個あったと記されるが、現存しない。 犀角奩 奩とは化粧用具箱の意味であるが、『国家珍宝帳』には7つ数珠納められたと記される除物付箋があり、信幣之物と共に持ち出されたと考えられる金銅作唐刀子国家珍宝帳』には玉石製の把で漆鞘水角記されるが、現存せず。 唐刀子国家珍宝帳』には鋼製の刃で、金銅製の葡萄唐草文様透かしと玉で飾られた鞘と記されるが、現存せず。 十合合歓刀子漆鞘 現存しないが、前述十合鞘御刀子重複ではないかという意味の付箋が貼られている。 三合合歓刀子漆鞘 現存しないが、こちらにも前述三合鞘御刀子重複ではないかという意味の付箋が貼られている。 百索縷軸ひゃくさくるのじく木製紡錘形糸巻き宝物番号北倉19。中国漢代ら行われる端午の節句まじない用いるもので、5色の糸を腕に懸け邪気払ったとされる玉尺八ぎょくのしゃくはち大理石製の尺八長さ34.4宝物番号北倉20表面装飾はない。なお、正倉院北倉に伝わる尺八はいずれも3節の竹を模して作成されリードはつけず、指孔全面5つ背面1つである。また、明土真也は管長音律精査したうえで、これらの尺八7世紀初頭以降百済作られたものと推測している。 尺八しゃくはち真竹製の尺八長さ38.2宝物番号北倉21表面装飾はない。 樺纏尺八かばまきのしゃくはち真竹製の尺八長さ38.5宝物番号北倉22表面の皮が巻き付けられているが、現在は半数ほどが剥落している。 刻彫尺八こくちょうのしゃくはち真竹製の尺八長さ38.5宝物番号北倉23長さは唐小尺にあたる。管を彫りこんで婦人像花鳥表し婦人1人四弦曲頸琵琶奏でている。

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