初代(通算8代目)LA300S/310S(2011年 - 2017年)
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「ダイハツ・ミライース」の記事における「初代(通算8代目)LA300S/310S(2011年 - 2017年)」の解説
カッコ内は初代ミラ(ミラクオーレ→無印ミラ)からの通算。 ダイハツが持つ既存の技術を徹底的に見直し、車両構造の見直しによる車両の軽量化・トランスミッションの改良・エンジンの改良などで、従来比で40%燃費性能を改善した『e:Sテクノロジー』を採用した。 エンジンは圧縮比の向上やインジェクター噴霧微粒化等により燃焼効率を高め、「i-EGRシステム」を採用するなど、細部にわたる改善を行うことでメカニカルロスを極限まで低減。さらに、電子スロットルによる協調制御を採用することで、運転状況に応じて最も効率の良い状態を維持する。CVTもオイルポンプの高効率化によって排出量を高め、CVT制御圧も低圧化することで動力伝達効率を向上。これによって変速ギア比を最適化(ハイギア化)することでエンジン負荷も低減された。 ボディは安全性や快適な乗り心地を保ちながら、シェルボディを骨格合理化。さらにインパネなどの樹脂部分の薄肉化やシート骨格の軽量化など内装部品の軽量化やアイドリングストップ用CVTの軽量化も行ったことで、ミラの2WD・CVT車に比べ、約60kgの軽量化を実現。さらに、フロントのコーナー形状の改善や床下流速の減速を行うことで空気抵抗を抑え、前述の軽量化やベアリング、ブレーキの改善を行うことで転がり抵抗も低減された。 さらに、ムーヴやコンテの一部のグレードに搭載されているアイドリングストップ機構「eco IDLE(エコアイドル)」も全車標準装備されているが、ミライースの「eco IDLE」はガソリンエンジンのCVT車では世界初となる停車前アイドリングストップ機能を追加。ブレーキをかけ、速度が7km/h以下になると自動でエンジンを停止してアイドリングストップ時間を増やしたことで燃費を向上。また、専用部品を減らしたことで軽量化・コンパクト化を実現した。 これらの技術により、JC08モード燃費において、2WD車で30km/L、4WD車でも27km/Lの優れた低燃費性能を実現した(いずれも発売当初)。 一方で、機能の垣根を越えた徹底的な低コスト活動を実施。部材配置・形状・材料選定、仕様を見直したことで部品数の削減や約60kgの車体軽量化により原価低減活動を行ったことで、車両本体価格79.5万円(消費税込・「D」)から122.0万円(消費税込・「Gf」)までのリーズナブルな価格設定を実現している。 ミライースは発売以来累計で19万台以上の販売を記録し、ミラシリーズ全体の販売量を伸ばす要因となったことで、2012年(2012年1月 - 12月)はミラ・ココアを含むシリーズ合計の新車販売台数が218,295台を記録、無印ミラを押さえてミラシリーズの筆頭車種に躍り出た。総合ではプリウスシリーズ(トヨタ自動車)には及ばなかったものの、軽自動車部門では首位獲得となった(ただし、年度単位(2012年4月 - 2013年3月)では年度単位開始月から好調だったホンダ・N-BOXが逆転で新車販売台数第1位を獲得している)。 2011年9月20日 販売開始。CMキャラクターにはブルース・ウィリスを起用。グレード体系は当初、2WD車4グレード・4WD車2グレードの計6グレードで、ボディーカラーは後述の「D」を除き8色、トランスミッションはCVTのみである。類似グレード間で2WDと4WDの価格差を抑えるために4WDのみ標準装備となる装備を追加する替わりに2WDでは標準装備となる一部装備を省略している関係で4WDは2WDのグレード名に「f」が付く別グレード扱いとなっている。 「D」はドアアウターハンドル・バックドアハンドル・鏡面可動式(手動式)ドアミラーにブラックを採用、14インチスチールホイール(センターキャップ付)を装備して簡素化を図りながらも、マルチインフォメーションディスプレイ付自発光式デジタルメーター、デュアルSRSエアバッグ、ABS(EBD機能付)、エアコン、パワーウィンドゥなど必要最低限の装備を備えたオーディオレス仕様(フロントスピーカー非装備)の最廉価グレードで、受注生産車である(ボディカラーはホワイトのみ)。 「L」はドアアウターハンドルをシルバーに、バックドアハンドルと鏡面可動式ドアミラーをカラードにそれぞれ変更し、パワードアロック、インテグレートCD・AM/FM付ステレオ&10cmフロントスピーカー+AUX端子、14インチフルホイールキャップを追加装備した普及グレード。 「X」と4WD車の「Xf」はドアミラーを電動格納式に変更(「Xf」はさらにヒーテッド機能を追加)し、スモークドガラス(リアドア・リアクォーター・バックドアウィンドゥ、「X」のみ)、エコドライブアシストディスプレイ、セキュリティアラーム、クリーンエアフィルター、キーレスエントリーを追加装備し、インテリアにメッキパーツを採用した充実グレード。 「G」と4WD車の「Gf」はメッキグリル、ドアミラーターンランプ、革巻ステアリングホイール、運転席シートリフター、チルトステアリング、SRSサイドエアバッグ、VSC、プッシュ式オートエアコン、14インチアルミホイール(「G」のみ)を追加装備して安全性・快適性を高めるとともに、「スマートドライブパック(オート格納式ドアミラー(「Gf」はオート格納式ヒーテッドドアミラー)、リバース連動リアワイパー(「G」のみ、「Gf」は標準装備)、キーフリーシステム、プッシュボタンスタートの組み合わせ)」をオプションで追加できる最上級グレードである。 2011年10月3日 『2011年度 グッドデザイン賞』を受賞。 2011年11月 仕様変更。「D」・「L」を除く全グレードでオーディオレスのオプション設定を追加。なお引き続き「D」では標準装備(加えてスピーカーも非装備)、「L」では設定なし。 2012年5月10日 一部改良。「G」・「Gf」に後席ヘッドレストを標準装備(その他全グレードにもディーラーオプションにて設定可能化)。他にヘッドランプのデザインを変更し、リアコンビランプのストップランプの彩度をアップした。併せて、車両本体価格を「X」と同価格に設定した4WD車の新廉価グレード「Lf」を追加。装備内容は「L」に準じているが、リバース連動ドアワイパー、リアヒーターダクト、寒冷地仕様が標準装備される代わりに、ドアアウターハンドル、バックドアハンドル、ドアミラー、オーディオは「D」と同じ仕様(ドアアウターハンドル・バックドアハンドルはブラック、ドアミラーは鏡面可動式(材着黒色)、オーディオレス仕様及びフロントスピーカー非装備)にグレードダウンされている。なお同日より、トヨタ自動車へピクシス エポックとしてOEM供給を開始した。 2012年10月1日 発売1周年を記念した特別仕様車「memorial edition」(メモリアルエディション、以下「メモリアル」)を発売。「L」・「Lf」・「X」・「Xf」の4グレードを用意しており、「L」・「Lf」にはベースグレードではディーラーオプションとなっているキーレスエントリー、「X」・「Xf」に標準装備されているメッキオーナメント付ウレタンステアリングホイールとセキュリティアラームを特別装備。「X」・「Xf」にはベースグレードではディーラーオプションとなっているリアヘッドレストと「G」・「Gf」に標準装備されているメッキグリルを特別装備するとともに、「X」は「G」に標準装備されている14インチアルミホイールを、「Xf」は「Gf」や「X」に標準装備されているスモークドガラス(リアドア・リアクォーター・バックドアウィンドゥ)をそれぞれ特別装備した。ボディカラーは専用色2色を含む9色を設定した。 2012年12月21日 富士重工業(現・SUBARU)へプレオ+(プラス)(ミラOEMのプレオの派生車種)としてOEM供給を開始。これにより3姉妹車種となる。ちなみに、プレオ+のカタロググレードの一部は前述のメモリアルがベースとなっている。 2013年8月19日 マイナーチェンジ(エポック、プレオ+も同日にマイナーチェンジ)。「e:Sテクノロジー」が進化し、パワートレーンはEGRクーラーの採用により再循環させる排出ガスの温度を低減したことで異常燃焼を抑制し、点火タイミングの最適化によりガソリンの噴出量を少なくすることで低燃費に貢献し、同時にクリーンな排出ガスを維持する「クールドi-EGR」を採用するとともに、チェーンの低フリクション化やCVT制御の見直しによる更なるハイギヤ化により低燃費と走りを両立。車両はフロントバンパーに前方からくる風を素早くスムーズに後方へ流す「エアロコーナー」と称するデザインやタイヤディフレクタを採用。さらに、2WD車は空力性能改善の為フロアアンダーカバーやローダウンサスペンションを採用、4WD車はリアデファレンシャルギアを改良した。エコマネジメントは「eco IDLE」の停車前アイドリングストップのタイミングを約11km/h以下に早め、エコ発電制御はオルタネーターを発電効率が高い高性能型に変更したことで燃費効率を高め、JC08モード燃費で2WD車は33.4km/L、4WD車は30.4km/Lにそれぞれ向上した。 安全性能も強化され、60km/h以上で走行中に強くブレーキを踏み込んだ場合にブレーキランプの点灯と同時にハザードランプを自動点滅することで後続車に注意を促すエマージェンシーストップシグナルを全車に採用するとともに、5代目・後期型ムーヴに採用した低速域衝突回避支援ブレーキ機能、誤発進抑制制御機能、先行車発進お知らせ機能、VSC&TRCの4つの機能で構成される衝突回避支援システム、「スマートアシスト」(以下「スマアシ」)を一部のグレードに採用した。 その他、静粛性と乗り心地を高めた「ファン&リラックスドライブコンセプト」の採用、インパネセンター部(G/Gf"SA"のみ)およびフロントグリルのデザイン変更、リアコンビランプのクリアクリスタル化を行い、シート表皮はグレーに変更。メモリアルが好評だったため、L系グレードとX系グレードはメモリアルの特別装備品を全て標準装備化し、専用色だった「アーバンナイトブルークリスタルメタリック(オプションカラー)」と「ライトローズマイカメタリック」は「D」を除く全グレードで設定できるカタログカラーとなった。 ボディカラーは「D」を除く全グレードで変更を行い、「シェルローズ」を廃止する代わりに、「シャイニングレッド」を追加し、メモリアル専用色のカタロググレード化により10色展開となった。 グレード体系を一部変更し、最上位グレードの「G」・「Gf」はスマアシの採用に加え、キーフリーシステムの標準装備化、キーフリー電池残量警告灯の追加、グレードアップシート生地の採用なども行い、「G"SA"」・「Gf"SA"」に改名するとともに、スマアシを標準装備した「L"SA"」・「Lf"SA"」・「X"SA"」・「Xf"SA"」を追加した。最廉価グレードの「D」は装備の追加を行いながらも、さらなる低コスト化により、車両本体価格が5万円値下げし、74.5万円(通常はオプション設定の寒冷地仕様を標準装備する北海道地区は76万750円)となった。 2014年5月8日 特別仕様車「スマートセレクションSA」を発売。 「L」・「Lf」・「X」・「Xf」・「G"SA"」・「Gf"SA"」の6グレードをベースに、スマアシ(「G"スマートセレクションSA"」・「Gf"スマートセレクションSA"」はベース車に標準装備)、スーパーUV&IRカットガラス(フロントドア)、スーパーエアクリーンフィルターを標準装備しながら購入しやすい価格設定にした。 2014年7月9日 一部改良(エポック、プレオ+も同日に一部改良)。 「e:Sテクノロジー」を進化し、パワートレーンは高圧縮比化(11.3→12.2)、吸気ポートの改良、高着火スパークプラグを採用したことで熱効率を高め、高圧縮比化に伴うノッキング回避のためにアトキンソンサイクル化して、デュアルインジェクタを採用したことでポンピングロスの低減と燃焼安定化を同時に実現。車両ではタイヤディフレクタをリアタイヤ前にも採用したことで走行時の空気抵抗を更に低減。「エコ発電制御」は発電制御を見直したことで減速時の発電量をより高め、加速や走行時の発電を抑制することでエンジン負荷を低減し、低燃費化に貢献。これらにより、JC08モード燃費で2WD車は35.2km/L、4WD車は32.2km/Lにそれぞれ向上した。ただし、高圧縮化とアトキンソンサイクルの導入で、最高出力と最大トルクの数値がやや低下している(52PS/6.1kg・m → 49PS/5.8kg・m)。 さらに、X系グレードと「G"SA"」・「Gf"SA"」にはブラックシート表皮を採用した「ブラックインテリアパック」をメーカーオプションに設定した。本オプションを適用した場合、グレードにより、16cm 4ドアスピーカー(「G"SA"」のみ)、助手席用シートアンダートレイ(「G"SA"」・「Gf"SA"」)、革巻ステアリングホイール(メッキオーナメント付、X系グレード・「Gf"SA"」)、プレミアムシャインブラックのオーディオパネル(X系グレード)がそれぞれ追加装備される。 2015年4月8日 一部改良及び特別仕様車「X"Limited SA"」・「Xf"Limited SA"」を発売。 最上位グレードの「G"SA"」・「Gf"SA"」にフィルムを用いた独自のラッピング工法である「Dラッピング(カーボン調成形PVC貼付、ブラック)」をルーフに採用するとともに、ブラック塗装のドアミラー、Bピラーブラックアウト、メッキアウタードアハンドルを採用したメーカーオプション「2トーンパック」を新たに設定(シャイニングレッドとパールホワイトIII設定時に設定可能。「G"SA"」・「Gf"SA"」ではフェスタイエローは2トーンパック選択時のみ選択可)。併せて、坂道での再発進をサポートするヒルホールドシステムを全車に標準装備し、アイドリングストップシステムは再始動の条件を変更し、ブレーキペダルを離すだけでなく、ステアリングを切ることでエンジンの再始動ができるようになった。 特別仕様車「X"Limited SA"」・「Xf"Limited SA"」は「X」・「Xf」をベースに、スマアシの標準装備に加え、外観はダークメッキグリルと専用14インチアルミホイールを装備。内装ではブラックシート表皮とプレミアムシャインブラックのオーディオパネルを採用した。ボディカラーには本仕様車専用色の「フェスタイエロー」を設定し、「フェスタイエロー」とカタログカラー2色の計3色は、上述の「2トーンパック」のオプション設定も可能である。 なお、バックドアに張り付けられていた「eco IDLE」エンブレムが廃止された。 2015年10月26日 ミラの誕生35周年を記念した特別仕様車「35th Anniversary ゴールドエディション SA」を発売。 「X"SA"」・「Xf"SA"」・「G"SA」・「Gf"SA"」をベースに、外観はフロントグリルをゴールド&ダークメッキ仕様に、ドアアウターハンドルをゴールド仕様にそれぞれ変更し、専用デザインの14インチアルミホイールと専用Anniversary エンブレム(フロントフェンダー・バックドア)を装備。内装はメーカーオプション「ブラックインテリアパック」の一部を標準化し、オーディオパネルをプレミアムシャインブラックに(「X」・「Xf」のみ、「G」・「Gf」はベース車に標準装備)、シート表皮をブラックにそれぞれ変更したほか、ベース車に標準装備されているインテグレートCD・AM/FM付ステレオのフェイスプレートをゴールドに変更した。 2016年7月 特別仕様車「35th Anniversary ゴールドエディション SA」、またボディーカラーでの「アーバンナイトブルークリスタルメタリック」及び「フェスタイエロー」をそれぞれ廃止。 2017年4月1日 仕様変更。燃費基準の区分変更に対応し、2WD車は「平成32年度燃費基準+40%」、4WD車は「平成32年度燃費基準+30%」をそれぞれ達成した。 2017年5月8日 2代目モデル発売に伴い、販売終了。 (参考)2019年7月29日 後付け安全装置「つくつく防止」に初代ミラ イース用が追加設定された(同日に5代目ムーヴ用も設定)。 ソナーセンサー、コントローラー、インジケーターなどで構成されており、ペダルを踏み間違えた際などに起こる急発進を抑制する。なお、マイナーチェンジで「スマアシ」が採用される前の2013年8月までに生産された車両が対象となる。 D(前期型)2011年9月 - 2012年5月 X memorial edition Gf(前期型) 2011年9月 - 2012年5月 Lf(中期型)2012年5月 - 2013年8月 Xf "リミテッドSA"(後期型) X memorial edition リヤ Xf "SA"(後期型) (eco IDLEエンブレム廃止前)2013年8月 - 2015年4月 エンジン
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