ローエングラム朝の官僚・行政官
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 14:21 UTC 版)
「銀河英雄伝説の登場人物・銀河帝国」の記事における「ローエングラム朝の官僚・行政官」の解説
フランツ・フォン・マリーンドルフ (Franz von Mariendorf) 声 - 中村正(旧) / 田中正彦(D) 伯爵家当主。ヒルダの父。後にローエングラム朝の初代国務尚書。 門閥貴族の一員だが温和で良識的な人柄を持ち、貴族や領民からも信望のある人物。親族であるキュンメル家の後見も務め、その財産に一切手を付けることがなかった誠実さと公明正大さも持つ。また、単に温和なだけではなく、世俗のことに無能でもないと評され、ヒルダはその誠実さは深い知性と洞察力に裏付けられたものだという。ラインハルトとヒルダが一夜を共にした際には、その様子からいち早く事情を察し、聡明ながら恋には疎い2人を大人の見識で穏便に対応する。物語への初登場はカストロプ動乱で、カストロプ家と縁戚であったこととその人柄から説得に赴くも逆に拘禁され、領地をカストロプ家に占領される。最終的に討伐軍を率いるキルヒアイスに救出され、これが後に一人娘ヒルダがローエングラム陣営と縁を持つきっかけになる。一人娘のヒルダを評価する良き父であり、後述のようにリップシュタット戦役において聡明な彼女に判断を一任する。ローエングラム陣営の重鎮貴族となって、後にローエングラム朝が成立すると初代国務尚書となり、必要以上の華美を好まない性格などがラインハルトの好みとも一致し、信頼される。 物語への初登場は名前が登場するのみであるが、上記の通りカストロプ動乱である。その後、リップシュタット戦役において中立を第一希望としつつ、おそらく叶わないため帝国貴族の責務として貴族連合に加わるつもりであったがヒルダに説得され、彼女に全権を委ねることにする。その先見の明によって、戦役後はローエングラム陣営の有力貴族となり、ローエングラム朝が成立すると初代国務尚書となる。あくまで臣下としての親切心からラインハルトに結婚を勧めたが、これが娘ヒルダを皇妃にしたい口実だとオーベルシュタインに警戒されたことや、キュンメル事件を除けば、職務を大過なく遂行する。ヒルダがラインハルトの子を身籠り婚約すると、皇太子の祖父にあたる立場の人物が宰相級の地位にいるべきではないとして辞意を表明し、後任にミッターマイヤーを推薦する。ただし、ラインハルトから後任が決まるまでとして遺留され、結果としては物語の最後まで国務尚書の地位にあった。 各派生作品ではカストロプ動乱の掘り下げに伴い、同動乱における登場シーンが原作よりも多い。 ハイドリッヒ・ラング (Heydrich Lang) 声 - 高木均(旧:第41話) → 石田太郎(旧:第64〜98話) 内務省内国安全保障局長(後に内務次官を兼任)。元内務省社会秩序維持局長官(ゴールデンバウム朝)。 ゴールデンバウム朝において、いわゆる秘密警察の長として恐れられた人物。40手前で禿頭だが、唇は赤く肌艶もよく、背が低い割に頭部が大きくて肉付きが良いという赤ん坊を想起させるような外見をしており、およそ秘密警察の長には見えない。声は年相応に低く、そのギャップは尋問に役立ってきたという。社会秩序の維持を名目に、政治犯・思想犯・国事犯の取り締まり、言論活動の監視・弾圧などを行い、旧体制の恐怖政治を代表するような人物であったが、その職務には有能かつ私情を交えず潔癖であったことから粛清されず、ローエングラム朝成立後も、謀略の必要性を強く考えるオーベルシュタインの推薦で、秘密警察という役割をそのままに新設された内国安全保障局長として採用される。人格的に清廉な人物が多いローエングラム朝の幹部達からは、その役職や来歴などからオーベルシュタインと共に嫌われており、何か策謀の影が見えると首謀者として疑われることが多い。一方で私人としては好人物であり、長年、匿名で福祉関係に寄付する篤志家としての一面や、妻子を大事にする良き家庭人であるなど、むしろ私人としてはラインハルトやロイエンタールよりよほど恵まれていたと評される。物語後半に後述の経緯からロイエンタールを逆恨みし、私情から彼を貶めようと暗躍、その果てにルビンスキーと組んだがために彼から野心や無意識の罪悪感を焚き付けられ操作される形となってしまう。 本編登場以前はゴールデンバウム朝の恐怖政治の代名詞であった社会秩序維持局の長官として一般市民から恐れられていた人物であったが、上述の通り、そこに私情を挟んだり、役職を利用して私腹を肥やそうとしたことはなく、あくまで公務に忠実であった。そのためにオーベルシュタインの身辺調査もパスして新政府に採用された経緯を持ち、新政府での取り締まり対象はもっぱら旧帝国時代の不平貴族などに移して、政権の方針には忠実な様子をみせる。ところが、新帝国暦1年のレンネンカンプの拉致に端を発する軍最高幹部会議に、本来は上級大将級以上のみ出席を許されるにも関わらず出席し、さらに不在の皇帝の威を借って元帥同士の話に割り込んで彼らの正論を批判したことで、ロイエンタールに激しく罵倒され、議場から排斥される。これを逆恨みしてロイエンタールを貶めるために、エルフリーデを使った策謀を行い、さらに国事犯ルビンスキーとも手を組む。結果、ルビンスキーに操作される形となって、無実のボルテックを謀殺したためルッツに嫌疑を抱かれる。物語終盤ではオーベルシュタインさえも排除し、帝国宰相の地位を狙っている野望も吐露するようになる。最終的にロイエンタールに叛乱を起こさせることまで成功したが、ルッツが依頼したケスラーの調査書によってボルテック謀殺の件で間もなく憲兵隊に逮捕される。当初は黙秘を通したが、ロイエンタールの死が伝わると、自白とは言い難い自己弁護と責任転嫁によって内幕を明かし、その罪で死刑に処される。 OVA版では童顔の設定はなく、年相応の顔つきとなっている。 ブルーノ・フォン・シルヴァーベルヒ (Bruno von Schilverberch) 声 - 山寺宏一(旧) 工部尚書。非公式の帝国首都建設長官。 33歳の若さで巨大な工部省のトップを任された非常に有能な人物。文治面でのラインハルトの片腕になると目されていた。また自信家で、やがて自らの才で帝国宰相の座に伸し上がることを公言する野心家でもある。 自らの才を生かして後世に名を残そうと考え、ラインハルトが権力を握ると彼に出仕し、初代工部尚書に任命される。すぐに頭角を現すと、新王朝の建設、社会資本の整備と産業基盤の整備などを一手に引き受け、寝食を自らの執務室で行う激務をこなす。フェザーンにおいては首都移転やそれに伴う都市整備、そして新王朝の宮殿「獅子の泉(ルーヴェンブルン)」の建設などを指揮するが、新帝国暦2年4月19日、ワーレンとルッツの歓送迎会で発生した爆弾テロに巻き込まれ死亡する。 グルック (Gruck) 声 - 後藤敦(旧) 工部省次官(後に工部尚書)。 中年の官僚政治家。ラインハルトの成功した人事の例に挙げられる。逸材のシルヴァーベルヒには劣るが、堅実で有能な人物。一時はシルヴァーベルヒと比べて自信を喪失し辞職を願い出るが、工部省改革後に必要な人材と見られており、ラインハルトから慰留される。シルヴァーベルヒの死後、職務を代行したのち工部尚書となった。 シルヴァーベルヒの亡き後に工部尚書に就任。工部尚書となると、中断していた「獅子の泉」の建設再開をラインハルトに具申し、その際、華美な生活に興味がないラインハルトが難色を示すと「皇帝の私生活が質素すぎると臣下が贅沢出来ない」と進言する。 カール・ブラッケ (Karl Bracke) 声 - 藤城裕士(旧) 民政尚書。貴族であるが、その政治姿勢からあえてフォンの称号を外している。 前王朝において革新派・開明派と呼ばれたグループの指導者の1人。ラインハルトが政権を握った際にリヒターと共に登用された人物で、ローエングラム王朝成立後、初代民政尚書に任ぜられる。 ラインハルトによって自身の手腕が発揮できる反面、たとえ名君であろうと独裁体制であることには非常に不服的。帝国軍が外征を繰り返すことに人命と国費の浪費と発言するなど度々辛辣な批判をしており、オーベルシュタインに次いで、ラインハルトへの批判を憚らないとも評される。正論ではあるが、不用意な発言が地球教などの反皇帝派に利用されないかケスラーやワーレンに心配されている。 オイゲン・リヒター (Eugen Richter) 声 - 辻村真人(旧) 財務尚書。貴族であるが、その政治姿勢からあえてフォンの称号を外している。 前王朝において革新派・開明派と呼ばれたグループの指導者の1人。ラインハルトが政権を握った際にブラッケと共に登用された人物で、ローエングラム王朝成立後、初代財務尚書に任ぜられる。 ブラッケと同じくラインハルトに心服 しているわけではないが、彼とは違い穏健的。ラインハルトが名君である内に、暴君となった時に対抗できる人材を育てようとブラッケを説き伏せる(道原版ではラインハルト自らが述べた言葉になっている)。 ブルックドルフ (Bruckdorf) 声 - 中江真司(旧) 元大審院判事。司法尚書。法学博士。 緻密な頭脳と厳正な政治姿勢の所有者と評され、40歳過ぎたばかりの法律家としては少壮の身ながら、ローエングラム朝が成立するとラインハルトより初代司法尚書に抜擢される。本編開始以前の大審院判事時代にはグリューネワルト伯爵夫人暗殺未遂事件に関わり、ベーネミュンデ侯爵夫人の自裁に立ち会っている(ここでラインハルトと出会っている)。その厳格さで信頼される反面、その性格ゆえに日頃からロイエンタールの漁色をよく思っていなかったことや、健全な国家のために軍部独裁の傾向を是正しようと考えており、それを後述のラングに利用された面もある。 同盟滅亡後、回廊の戦いの直前の帝国暦2年にオーデッツが流したロイエンタール謀反の噂を調査することになる。上記の私的な感情もあったが、あくまで調査は厳格であり、噂はまったく信じず、わざわざフェザーンに臨時執務室を設けて自ら直接を調査を行い、彼がリヒテンラーデ一族のエルフリーデを囲っていたことを見つけ出す。しかし、それすらもラング(あるいはオーベルシュタイン)の罠と考えるほどの慎重さを見せるが、エルフリーデがロイエンタールの子を宿したことや、彼の叛意を偽証したため報告せざるを得ず、その報告書がラングに利用されてしまう。ラングに激怒するも、法律至上の罠に足をとられた自分自身の愚劣な失敗として潔く退く。 ウド・デイター・フンメル (Udo Dater Fummel) バーラトの和約後の同盟駐在高等弁務官首席補佐官。 法知識に富み、行政処理能力に優れた勤勉実直な人物。独創性は乏しかったとされるが、むしろそれは軍事占領行政には有害なもので、高等弁務官であるレンネンカンプにとって満足すべき補佐役と評される。その期待通りに着任早々に同盟の法律や法令を調査して把握し、ヤンを貶めたいレンネンカンプに対し、同盟の法に基づく的確な(そして法の穴を突くような)法的助言を与える。しかし、結果として策を採用したレンネンカンプは、ヤン奪還に関わる一連の騒動の末に自縊を選ぶことになる。その後、レンネンカンプの死を大義名分に起こった”大親征”において同盟のロックウェルらがレベロを暗殺したのはフンメルが教唆したからだと判明する。卑劣な勝利を嫌うラインハルトから出頭命令を受けてこれを詰問されると「陛下の御手をわずらわせることを恐れた」と答え、それに対し、それならレンネンカンプの軽挙を制するべきだったと返されて即日更迭され、オーディンへ送還される。 実はオーベルシュタインと繋がっており、レンネンカンプの言動や勤務実態を報告する密命を受けていた。 ユリウス・エルスハイマー (Julius Elsheimer) 声 - 鈴木清信(旧) 技術官僚。民政省次官と内務省次官を経てノイエ・ラント総督府民事長官。ルッツの義弟。 高い行政処理能力を持ち、民政省次官と内務省次官を短期間歴任した後に、ラインハルトの推挙によってノイエ・ラントの民事長官に就任する。ロイエンタールの内政面の補佐役として信頼される。ウルヴァシー事件に端を発するロイエンタールの反乱が起こると、ロイエンタールの協力要請を恐怖に震えながらも頑なに拒否した上に義兄ルッツの死の責任を追及し、逆にロイエンタールから「文官ながら胆力の据わった男」と評価される。そして軟禁に留められた上に、エルスハイマーが反乱に加担しなかったことを保証する手紙を渡される。第2次ランテマリオ会戦後は致命傷を負って帰還したロイエンタールより後事を託され、これを謹んで受ける。 ニコラス・ボルテック フェザーン代理総督。 →銀河英雄伝説の登場人物・その他#フェザーン自治領 ヨブ・トリューニヒト ノイエ・ラント高等参事官。 詳細は「ヨブ・トリューニヒト」を参照
※この「ローエングラム朝の官僚・行政官」の解説は、「銀河英雄伝説の登場人物・銀河帝国」の解説の一部です。
「ローエングラム朝の官僚・行政官」を含む「銀河英雄伝説の登場人物・銀河帝国」の記事については、「銀河英雄伝説の登場人物・銀河帝国」の概要を参照ください。
- ローエングラム朝の官僚・行政官のページへのリンク