ローエングリンに魅せられた人物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 10:00 UTC 版)
「ローエングリン」の記事における「ローエングリンに魅せられた人物」の解説
『ローエングリン』は、ワーグナーのオペラの中でも人気が高く、一時期はもっとも演奏機会の多い作品となっていた。 1861年にミュンヘンで上演された『ローエングリン』を観て魅了されたのが、当時バイエルン王国の王太子だった15歳のルートヴィヒ2世である。ルートヴィヒは1864年に王位に就くとワーグナーを招聘し、ワーグナーの負債の全てを肩代わりするとともに、高額の援助金を支給した。またリンダーホーフ城内に『タンホイザー』ゆかりの「ヴェーヌスの洞窟」を作らせ、そこで楽士にオペラのさわりを演奏させ、自身はローエングリンの扮装をして船遊びを楽しんだ。ルートヴィヒが多額の国費を投じたノイシュヴァンシュタイン城(日本語に訳せば「新白鳥石城」)は、『タンホイザー』や『ローエングリン』をイメージして建設されている。 アドルフ・ヒトラーもまた『ローエングリン』の熱狂的な愛好者だった。ヒトラー率いるナチス・ドイツは、ワーグナーの音楽を最大限に利用したが、とくに『ローエングリン』の第3幕でハインリヒ王による「ドイツの国土のためにドイツの剣をとれ!」の演説が、ドイツとゲルマン民族の国威発揚のためにあらゆる機会に利用された。このことがあってか、チャップリンによる映画作品、『独裁者』において主人公が地球儀をもて遊ぶ場面とラストシーンで第1幕への前奏曲が使われている。 作曲家のピョートル・チャイコフスキーは、ワーグナーの諸作品の中で『ローエングリン』を特に高く評価していた。チャイコフスキーのバレエ音楽『白鳥の湖』(1877年初演)は、白鳥が象徴的な意味を持つという共通点やメロディの類似性など、『ローエングリン』から受けた影響が指摘されている。 詳細は「白鳥の湖#ワーグナーからの影響」を参照
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