ソフトの再現度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 05:36 UTC 版)
「バーチャルコンソール」の記事における「ソフトの再現度」の解説
バーチャルコンソールのソフトは前述の通り、ハードウェアのエミュレーションにより、対象のハードウェアの動作を忠実に再現したものであり、本体のシステムに影響を及ぼしたり、プレイに支障をきたしたりするような大きなバグを除き、実機で可能だった裏技や、バグも再現できる場合が多い。移植ではないため、すでにリメイクなどが行われていても、再現の対象と同じ動作になる反面、エミュレーションの精度によって音飛びなど、本来の実機とは異なる動作になるソフトウェアも存在する。特に入力遅延は1フレーム - 数フレームほど必ず発生する。また、日本地域のバーチャルコンソールには、『悪魔城伝説』などのようなファミコンでしか使用できなかったミキサーによる拡張音源の出力にも対応しているが、実機とは異なり拡張音源側の音量が若干大きい場合などがある。 なお、さまざまな事情により以下のように動作や表記が変更されたソフトが存在する。 点滅表現・明度などの変更 ポケモンショック(1997年12月16日)以前は、アニメ・コンピュータゲームの画面における点滅の表現に対し、特に明確な規制は敷かれていなかったが、同事件を機にアニメ・ゲームで使用される画面の点滅が厳しく規制されるようになったことから該当箇所が変更されている。ファミコンで使用できる内蔵色は原色が中心で発光性が強いため、ゲーム全編において明度が下げられている。 NINTENDO 64の場合、意図的にエフェクトおよびテクスチャの改変が施されている(『スターフォックス64』・『F-ZERO X』・『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』など)。 『チャレンジャー』では、シーン1におけるバル(雷雲のキャラクター)登場時の黒と赤を使った空の色の点滅が黒一色の点滅に変更されている(ニンテンドー3DS版のみ)。 『北斗の拳』では、ラスボスを倒した際の点滅表現が削除されている。 『スーパーマリオブラザーズ3』では、砦などのボスがいるコースのクリア時と爆発のフラッシュの点滅表現が1色に変更されている。 『スーパーマリオUSA』では爆発時のフラッシュがスロー化されている。 『スターラスター』でのゲームオーバー時のビッグバンが起こるシーンなど、激しい点滅があまりにも長い場合は、該当箇所が削除されることもある。 『ソルバルウ』ではスタートの出動シーンやダメージを受けたときのシーンのフラッシュが削除されている。 『星のカービィ 夢の泉の物語』・『星のカービィ スーパーデラックス』では、ボスの撃破時と爆発時の点滅表現が画面の後ろに見えるような半透明に変更されている。 差別用語などの修正 当時は問題なく使われていたが、時代の流れによる倫理の変化に伴い、問題が発生した言葉や差別用語となった言葉などは修正されている。『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島』では「ひどいぶすです」が「おどろきです」、「じょしだいせいねずみ」が「じょしこうせいねずみ」に変更。 『たけしの挑戦状』では「どじんのいえ」が「げんちのいえ」に変更。 『ソーサリアン』では「かんごふ」が「ナース」に、「こじき」が「むしょく」に変更。 『ファイナルファンタジーII』では「もうもく」が「くらやみ」に変更。 『超絶倫人ベラボーマン』では「コバタ」が「タバタ」に変更。 『サラダの国のトマト姫』では「ふろうしゃ」が「なまけもの」に変更。 『MOTHER』・『MOTHER2 ギーグの逆襲』では一部のグラフィックと台詞がMOTHER1+2に近い仕様に変更。 『ストライダー飛竜』ではステージ1の背景にあったモスク形の建物が別の形状のものに変更。 『忍者龍剣伝(AC版)』ではステージ4・6の絨毯に描かれていた六芒星が削除されている。 『ワンダーボーイ モンスターランド』では「赤十字」のマークが「H」に、『アドベンチャーアイランド』ではナースがかぶっている帽子のマークが「ハート」に、『もえろツインビー シナモン博士を救え!』ではお助けカーのマークが「ハート」に変更。 『ポケモンスナップ』・『ポケモンカードGB』・『ポケットモンスター 金・銀』・『ポケットモンスター クリスタル』では「ルージュラ」の肌の色を、『ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン』以降と同じ紫に変更。 移植元ハード固有の機能の代替 ファミコンのマイク機能が別のボタンを押下する形で機能を代替したり、ディスク入れ替えの省略や読み込み速度の高速化により快適にプレイできるよう調節されている。逆に代替機能を搭載していないため、実機では可能だったがバーチャルコンソール版では使えなくなった機能もある。ファミコンディスクシステムのゲームはディスクの読み込み時間が軽減され、A面とB面の入れ替えや前後編2枚組のタイトルが一作に統合されている。 ファミコンのマイク機能を使用する『たけしの挑戦状』では、マイクで歌う部分がWiiリモコンのBボタンで操作する仕様に変更されている。 PCエンジンのCD-ROM2タイトルのCD-DA部分はそのままでは容量が大きすぎるため、配信向けに音声圧縮によってソフト容量を圧縮する形で収録され、読み込み時間も軽減されている。また、初代のCD-ROM2タイトルであってもSUPER CD-ROM2タイトルに対応したシステムカードのスーパーシステムカード Ver3.0が使われている。 『アトラス』はアーケードカード対応モードとなり、バーチャルコンソール版はマウス非対応のため、マウス切り替えボタンが操作に割り振られていない。 メガドライブの『ソニック&ナックルズ』ではロックオンシステムを再現するため、すでにソニック1、2、3のどれかをダウンロードしている場合、メニュー画面でロックオンシステムを使用することができる。 『MSX版沙羅曼蛇』では、最終ステージに進むために『グラディウス2』のROMカセットを同時に挿している必要があり、これがないと真のエンディングを見ることができなかったが、バーチャルコンソール版では単体でも真のエンディングまで進められるようになっている。なおエンディングのあと2周目以降を遊ぶためにはキーボードで「Y」を入力する必要があり、別途Wiiに対応するUSBキーボードが必要となる。 3DS版バーチャルコンソールのゲームボーイ・ゲームボーイカラー用ソフトのうち、『ポケモンカードGB』や『真・女神転生 デビルチルドレン 黒の書・赤の書』といった収集要素をすべて満たすために通信プレイが必須だったソフトは、必然的に全種類を入手することが不可能になっている。類似の例として『ゼルダの伝説 ふしぎの木の実』ではゲームボーイアドバンスで起動した場合のみ入れる店があったが、バーチャルコンソール版ではゲームボーイカラーでプレイした際の状況を再現しているため、該当の店でのみ購入できる指輪が手に入らず、バーチャルコンソール版だけでは指輪を全種類入手できなくなっている。 一方、Wii U版バーチャルコンソールのゲームボーイアドバンス用ソフトでは、一部のソフトにおいて周辺機器による通信要素の代替機能が搭載されている。『ロックマンエグゼシリーズ』の『バトルネットワーク ロックマンエグゼ2』以降では、メニュー内の「つうしん」を選択することで、過去のイベントや通信プレイ限定で入手可能だったチップを入手できるようになっている。 『ロックマンエグゼ4.5 リアルオペレーション』では、ナビセレクト画面でLボタンとRボタンを同時に入力すると、周辺機器のバトルチップゲートとナビデータチップを使うことでのみ出現できたナビを8体使用できるようになっている。 『スーパーマリオアドバンス4』では、カードe+の全追加ステージのみが最初から解放されている。 『おいでよ どうぶつの森』では、通信機能なしで、「たぬきち商店」を「たぬきちデパート」へ変えることができる。 『ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣』では、Wi-Fi通信機能なしで、オンラインショップの利用が可能になり、時間帯によって品揃えが変わるようになっている。 『ダックハント』・『ホーガンズアレイ』・『ワイルドガンマン』・『マッド・シティ』では、Wiiリモコンの赤外線に合わせた照準カーソルが追加されている(設定からオフにすることもできる)。 一部の地域におけるバーチャルコンソールの一部のソフトでは、『へべれけ』のような一部の地域に発売されていないゲームを未発売の地域に配信される際、当時の発売元のテレビ方式をその地域に合ったものに変換されている。 権利上の問題などによる変更 ライセンスの契約上の問題により、当時タイアップ関係にあった特定の企業名や商標名が削除され、中にはほかのものに置き換えられているケースもある。『ジョイメカファイト』における雑誌『ファミコン通信』(現『ファミ通』)の広告が削除されている。 『ウエーブレース64』では川崎重工業およびファンタの広告がWiiとニンテンドーDSに変更。 『燃えろ!!プロ野球』では、チーム名の変更はないが、肖像権の兼ね合いにより、選手名が『燃えろ!!ジャレココレクション』(GBA)のものと同じ架空のものに変更。 『ダウンタウン熱血物語』では商店街の屋根に書かれていた電話番号が削除されている。 『ボンジャック(AC版)』ではゲーム中のBGMがJASRACが管理する楽曲からファミコンオリジナルの『マイティボンジャック』で使われたBGMをアレンジしたものに変更。 『忍者龍剣伝(AC版)』ではボスBGMの1つでブラック・サバスの「アイアン・マン」が使用されていたが、ボス戦でもステージ道中のBGMを流し続ける形で削除されている。 『メタルギア2 ソリッドスネーク』では『メタルギアソリッド3 サブシスタンス』に収録されているバージョンをベースとしているため、実在の俳優をモデルとしていたスネークたちの顔がPS2版のものに差し替えられ、一部アイテム説明文もPS2版と同じ文面に変更。 『忍 -SHINOBI-』ではスパイダーマンをモデルとした敵キャラクターが登場していたが、肖像権の兼ね合いにより、色変更による別キャラクター化が行われている(緑一色に変更)。また、ステージの背景に存在していたアンディ・ウォーホルのイラストも同様の理由で削除されている。 メガドライブの『ザ・スーパー忍』(2回目の修正版以降)ではセガ自体から発売されたスパイダーマンのメガドライブ版との抱き合わせ契約により、スパイダーマンそのものが敵キャラクターとして登場していたが、すでにセガとマーベル社との契約が失効したため、色変更による別キャラクター化が行われている(ピンク一色に変更)。オープニングムービーに登場した千葉真一をモチーフとした顔グラフィックもバーチャルコンソール版から変更。 『バベルの塔』では、タイトル画面のロゴが、「BABEL」から「THE TOWER OF BABEL」に変更。 メーカー(権利者)と著作権表記の変更 配信するにあたり、タイトル画面などで表示される著作権者(権利者)は、基本的に発売当時の社名でクレジットされているが、メーカーの倒産・合併・経営統合・著作権(版権)の譲渡や事業の再編などにより、配信時と異なる社名になっているのもあるため、一部のタイトルで著作権表記が変更されているのもある。バンダイナムコエンターテインメント(ナムコ)から発売されたアーケードゲームでは、タイトル画面の著作権表記が「© (稼働年)NAMCO」からナムコミュージアム版と同じフォーマットの「© (稼働年) 20xx NBGI namco」のように変更されている。 『ゼルダの伝説』・『リンクの冒険』はWii・Wii U版ではゲームキューブ用の非売品ソフト『ゼルダコレクション』に収録されているバージョンをベースにしているため、タイトル画面の西暦表記が「1986」(ゼルダ)、「1987」(リンク)からそれぞれ「1986-2004」「1987-2004」へと変更されている。 『ボコスカウォーズ』・『メタルマックスシリーズ』のタイトル画面では当時の著作権表記が現在の権利者と「ENTERBRAIN.INC.」に変更されている。 『シャドウゲイト』のタイトル画面では当時の開発元であった「ICOM SIMULATIONS, INC.」から「Zojoi LLC.」に変更されている。 新機能の追加 本体機能を活かした新しい機能が追加されている。以下はWii版バーチャルコンソールソフトの例。『レッキングクルー』のデザインモードの作成操作における便利機能。 『ポケモンスナップ』で撮った写真をWii伝言板で貼り付ける機能。 『ファミコンウォーズ』・『SDガンダムワールド ガチャポン戦士 スクランブルウォーズ』ではWiiリモコンのAボタンを押している間、コンピュータの思考時間や音声を含むすべての動作を早くする「加速モード」の追加。 『弁慶外伝』ではメッセージ調整機能の追加。 『グラディウスII(FC版)』では画面の表示サイズ切り替え機能の追加。 『ぷよぷよ』(アーケード版)・『ぷよぷよ通』(アーケード版)・『スーパーストリートファイターII』(メガドライブ版)にはWi-Fi対戦機能が追加されている。
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