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スポーツときばらし【スポーツと気晴らし】


サティ:スポーツと気晴らし

英語表記/番号出版情報
サティ:スポーツと気晴らしSports et drivertissements作曲年1914年  出版年1914年  初版出版地/出版社Vogel 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
序(食欲不振コラール) "Preface(Choral inappetissant)"No Data No Image
1 ブランコ  "La balancoire"No Data No Image
2 狩  "La chasse"No Data No Image
3 イタリア喜劇 "La comedie italienne"No Data No Image
4 花嫁目覚め "La reviel de la mariee"No Data No Image
5 目隠し鬼 "Colin-maillard"No Data No Image
6 魚釣り  "La peche"No Data No Image
7 ヨット遊び "Le yachting"No Data No Image
8 海水浴  "Le bain de mer"No Data No Image
9 カーニヴァル "La carnival"No Data No Image
10 ゴルフ "Le golf"No Data No Image
11  "La pieuvre"No Data No Image
12 競馬  "Les courses"No Data No Image
13 陣取り遊び  "Les quatre-coins"No Data No Image
14 ピクニック "Le pique-nique"No Data No Image
15 ウォーター・シュート "La water-chute"No Data No Image
16 タンゴ "Le tango"No Data No Image
17 そり "Le traineau"No Data No Image
18 いちゃつき  "Le flirt"No Data No Image
19 花火  "Le feu d'artifice"No Data No Image
20 テニス  "Le tennis"No Data No Image

作品解説

執筆者: 樋口 愛

 フランスでは第一次大戦前1913年芸術流行載せた高級雑誌”ガゼット・デュオ・ボン・トン”が発行され評判得ていた。その出版者であったルシアン・ヴォージェルが、著名なイラストレーター、シャルル・マルタンの絵を添えたピアノ曲集出版計画した。そこで彼は最初ストラヴィンスキー作曲委嘱したが、これは報酬額が折り合わず断られた。その仕事ローラン・マニュエルによってサティのもとにくることになったのだが、すぐには引き受けず、なぜだか彼は自ら委嘱料の値下げ出版社交渉しその結果作曲承諾したのだった
曲は序文であるコラール20小曲からなっている。《ひからびた胎児同様に詩もつけられている。序文では、サティ自身がこの音楽画集について語っている。

序曲食欲そそらないコラール》は、アンヌ・レイによって「古風な感じ全音音階的な主題テトラコルド分割し教会音楽のヒポリディア旋法書いたものに半音階の多い四声部の和声ハ長調でつけたものである。低音部は、調性優勢な音程を軸にして進行する対位法密度濃くカデンツ堅固である。」と評された。薔薇十字教団属し自身設立した教団司祭となっていたサティの、秘教神秘主義時代作風と、スコラ・カントルムダンディ習った対位法駆使し融合させた作品である。
第1曲「ブランコ」は、まず左手動きをみると最後までホ音8分音符で2オクターブ行き来繰り返している形になっているブランコ絶え間ない揺れ表現されているのだろう。その2オクターブ中に右手奇妙なゆったりとした短いフレーズがおかれている。この右手フレーズサティは“私の心の揺れ”などと詩をのせている。掛詞のような効果生み出している。
第2曲「狩」は、生き生きとしたテンポ、スケルッツオ風なリズム書かれている左手三度から始まり、単旋律オクターブ流れ一曲通して下降系で書かれている。詩には“狩り”と題されているが、動物達前にしても“私は、といえば鉄砲をぶっ放してくるみを撃ち落す”という行からも読み取れるように、動物達へのやさしく温かな眼差し感じられるサティルイス・キャロルアンデルセン愛読書としていた。この詩の表現にはそれらからの影響うかがえる
第3曲、「イタリア喜劇」はスカラムーシュ(「臆病者隊長」という道化的な役者)が兵隊職業美徳説明している模様書かれている付点リズムが陽気でこっけいな曲想つくりだしている。
第4曲、「花嫁目覚め」は左手が《トルコ行進曲》の左手伴奏型を思わせる。詩には“行列到着”とある。
第5曲、「目隠し鬼」はゲームをする恋心をもった男性女性について書かれている濁った和音から直に触れることの出来ない恋心ベールのもやと目隠しという実際のもやとを掛けた表現にしたかったではないか思われる左右に出てくるオクターブの形は、目隠しされた鬼が左右に手探りしながら進む足取りではないか
第6曲、「魚釣り」は川底釣り人描写されている。音型からみると、最初の3連は水泡、左の16分音符の5連と4分音符から流動的な動きなど表現されている。
第7曲、「ヨット遊び」は悪天候のなか、ヨット美女乗っている様子書かれている冒頭オクターブ不気味に強調され低音右手によって弾かれる音域の広い分散和音が、悪天候の海を連想させる続いて表れる16分音符下降上行は、ヨットの帆の靡き表現しているようだ
第8曲、「海水浴」は譜面一見して、低い浅い波、高い深い波の表現窺える調性伴奏に、旋法的な単旋律重なる。
第9曲、「カーニバル」は紙吹雪舞う中で仮装舞踏会が始まる様子書かれている変ロ長調音階でおりてきて(紙ふぶき落ちてくる描写)、第4曲の《花嫁目覚め》同様、人の群がりを表す音型が交互に現れる最後変ロオクターブの上ト音をもって終わるところが疑問表現した音の響きとなっている。
第10曲ゴルフ」は、熱狂して指示されている。大佐殿の見事なゴルフショットの様子書かれているフォルテテヌートつけられているオクターブ書かれた音型は、グランド芝生自信たっぷりに威厳のある歩みをする大佐表現しているのか。
11曲、「」はがかにを追い廻すとてもユニークな詩が添えられている。音型や個々モティーフリズムから、様子動き(穴からのぞいている、カニを足でからかっている、カニ飲み込む、ガサガサと進む様子など)がわかる。カニをのみこむ動作の音型と胃の調子をとり戻そう塩水を飲むという動作の音型が逆の型で書かれているが飲む動作の音型を同じモティーフ使って表現している。
12曲「競馬」は、馬のレース模様描かれている。左手緊迫感高める音型が最後まで続く。アクセントニ音ホ音繰り返し)とスタッカートイ音ロ音繰り返し)のつけられた音型では益々レース盛り上げスタートする前の人と馬との気持ち高揚表現され強弱と音型によってスタートする前と出走した様子表現は見事である。
13曲「陣とり遊び」は、フランスの子供たちの鬼ごっこである陣とりゲーム様子書かれている。詩を読むとサティはどうやらゲームをする子供たちを四匹のねずみ例えいるようだ。ほとんど単音書かれていて、逃げるねずみと捕まえられないねずみの苛立ちが3連や稀に現れるオクターブによって表現されている。
14曲「ピクニック」は、踊るようにと表記され軽快ピクニック様子書かれている
15曲「ウォーターシュート」は、酔ってまいそうな船の乗り物乗っている人達の様子書かれている中間部分右手全音音階的上行系が使われている。
16曲「タンゴ」は、悪魔が心を冷たくするために果てしなく続踊りタンゴ)の様子書かれている左手リズムハバネラ風である。そのリズムの上タンゴがのっているのだ。最後16分音符書かれ右手高音弾かれまた冒頭に戻るというエンドレス形式となっている。曲全体ピアニッシモ書かれており、悪魔冷たさ表現するひとつとなっている。
17曲「そり」は、奥様方のそり遊び様子書かれている中間部あらわれる、三度やニとホ、ホと変ホ繰り返し使い方から寒さから凍えている様子窺える。またオクターブからは、の上をきって走るそりの光景表現しているようだ
18曲「いちゃつき」は、男女たわいもない会話様子書かれている。まず、アクセント使い方見て欲しい。疑問以外の言葉フレーズごとにアクセントつけられている。韻をふんでいるようだ左手最後まで伴奏型である。
19曲「花火」は、花火観る人達の様子書かれている火花がちっているようなスタッカート使われ方大きな打ち上げ花火表現した8分音符五つずつの上行形視覚的音響感じることができる。
20曲「テニス」は、“スポーツと気晴らし”の曲名にあったテニススポーツラストをかざる。テニスプレー見ている女性男性プレーヤーをほめた詩がつけられている。
スタッカートつけられた音からボール跳ねている様子が覗える。また、同じ音が繰り替えされているが、同じ位置ボールラケットバウンドさせているような音の使い方である。
樋口 愛2007/11)
序(食欲不振コラール) / "Preface(Choral inappetissant)"
1.ブランコ / No.1 "La balancoire"
2.狩 / No.2 "La chasse"
3.イタリア喜劇 / No.3 "La comedie italienne"
4.花嫁目覚め / No.4 "La reviel de la mariee"
5.目隠し鬼 / No.5 "Colin-maillard"
6.魚釣り / No.6 "La peche"
7.ヨット遊び / No.7 "Le yachting"
8.海水浴 / No.8 "Le bain de mer"
9.カーニヴァル / No.9 "La carnival"
10.ゴルフ / No.10 "Le golf"
11. / No.11 "La pieuvre"
12.競馬 / No.12 "Les courses"
13.陣取り遊び / No.13 "Les quatre-coins"
14.ピクニック / No.14 "Le pique-nique"
15.ウォーター・シュート / No.15 "La water-chute"
16.タンゴ / No.16 "Le tango"
17.そり / No.17 "Le traineau"
18.いちゃつき / No.18 "Le flirt"
19.花火 / No.19 "Le feu d'artifice"
20.テニス / No.20 "Le tennis"


スポーツと気晴らし

作者三田誠広

収載図書愛の夢
出版社中央公論社
刊行年月1988.10


スポーツと気晴らし

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/23 16:16 UTC 版)

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スポーツと気晴らしの楽譜の表紙

スポーツと気晴らし』(スポーツときばらし、フランス語: Sports et Divertissements ) は、エリック・サティが作曲した21曲からなるピアノ小曲集である。

概要

パリのルシアン・ヴォージュル社は、第一次世界大戦前の1913年から婦人高級雑誌を出版していた。そこでは、高級装身具や美術・流行について紹介されており、パリだからこそ可能な雑誌として名高かった。そこには、当時アール・デコで有名な画家たちが繊細で優美なデザイン画を寄せており、その一員であるシャルル・マルタンフランス語版の描いた風俗画集に、1曲ずつの短いピアノ曲を添えるという企画を、ルシアン・ヴォージュル社長は思いついた。

まずそれは、売れっ子作曲家であったストラヴィンスキーに委嘱された。しかしながら委嘱料の折り合いがつかず失敗に終わり、今度はサティのところに委嘱された。サティに打診された際の額は、ストラヴィンスキーの額よりも値下げされていたにもかかわらず、サティはそれが不当に高額すぎると拒絶し、自ら苦労して交渉を重ね、やっとのことで値下げしてまで委嘱を請け負ったことが伝えられている。

そうして1914年、20枚の水彩画に1ページずつの小品が作曲され、さらに序曲も用意された。西洋音楽史上、調性の伝統を明らかに崩壊させ始めたのはサティだと誰もが論じてきたが、彼は多くの作品で調号を捨ててきたように、この作品でも調号はなく、臨時記号は1音符単位に付けられている。サティはまた拍節をも捨てたが、この曲集でも小節線や終止線を省いた書法が採られている。また、サティの多くの作品に見られるように、楽譜中に彼らしい詩的なコメントがちりばめられている。それらは、演奏中に朗読するのを目的として付けたとは決して言わなかったが、少なくともサティは、奏者が自分で弾きながらそれを読んではならないと断言していることから、彼らしい意図として、奏者以外の者が朗読することは認めているとされている。

シャルル・マルタンの絵の構図をそのまま楽譜に写したとされる第15曲「ウォーター・シュート」や、永遠に繰り返されて終わりのない第16曲「タンゴ」、フランス童謡「月の光」が歪んで挿入される第18曲「いちゃつき」、調性も拍子もない曲などが入り混じり、彼の斬新な発想がふんだんに盛り込まれた作品集となった。最終的に、サティによる美しい手書き浄書と手刷り色彩版画を対にして、大戦後に限定225部が出版された。

1年前の1913年にはドビュッシーの『前奏曲集第2集』が出版されており、その終曲が「花火」であることとの関連性も取り上げられることがあるが、あくまでもサティの世界で花火が端的に描写されている。

近年では、全音楽譜出版社において、画期的にも総カラーの高級装丁版が世界に向けて復刻出版され話題となったが、後に絶版になり、現在では、数ページだけカラー印刷で、楽譜はサティの手書きでなく植譜による楽譜が、「エリック・サティ ピアノ全集 第9巻」として入手可能である。詳細な日本語訳も付されている。

構成曲

デッサン(ホートン・ライブラリー)

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