特異な用例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/11/08 05:55 UTC 版)
ショパンの初期の作品である『マズルカ作品7-5』には既に、終わりのない踊りを表現する奇抜な作品が書かれている。曲頭にはが書かれ、曲尾にはあえて dal segno senza fine =「終わることなく目印へ(戻れ)」と記されている。当時としては誰も書いたことのない斬新な指示を作品に書いたことになるが、彼は後に『マズルカ作品68-4』でも同様の指示をし、終わりなき踊りを書き残している。 サティによる『スポーツと気晴らし(挿絵とコメント付)』の第16曲目“Le Tango”(タンゴ)においては、曲尾から曲頭へとが付せられており(曲尾から曲頭へと戻るため、本来なら da capo を指示すべきであるが、曲に「はじめ」(capo)を設けたくなくて、あえて dal segno にしたとも考えられている)、戻って繰り返しても fine がないため、永遠に繰り返され、一旦弾き始めると底なし沼のように終えることのできない恐怖の曲とされている。題の下には彼自身によってフランス語で Perpétuel (永久の)と書き込まれ、曲中の各部分には「タンゴは悪魔の踊り。悪魔のお気に入りの踊り。妻も娘も召使いも、こうやって心を冷たくする。」とコメントが書きちりばめられている。サティはショパンのマズルカを知らなかったとは断定できないため、先人の作品から着想を得た可能性も充分に考えられる。 通常は、このように終わりがない曲にならないように、特別な意図がない限りは必ず曲の終わりを示しておく必要がある。
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