その他の器官
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耳石(じせき、英: otolith) または 平衡石(へいこうせき、英: statolith)、聴石(ちょうせき) 前庭囊内にある固形物。主として炭酸カルシウムで形成され、平衡を保つのに役立つ。前庭囊は平衡胞の基本構造を保持し、内壁の一部が平行斑となって耳石がこれに接触する。扁平石、礫石、星状石の3種類がある。種によって形が違い、種の特徴となる。また耳石には幅の広い不透明帯と狭い透明帯が同心円状に配列される。これは個体の成長が停滞する時期に有機質の沈着が少なく、透明化することにより形成される。これによってできた紋は年齢や日齢の査定に用いられる。耳石には日周輪(にっしゅうりん、日輪、にちりん、英: daily ring)が示され、仔稚魚の齢が分かるようになった。イシモチの耳石は特に大きく、名前(石持)の由来となっている。扁平石(へんぺいせき) 内耳の球形囊にある耳石。普通は耳石のなかで最大。単に耳石といった場合扁平石を指す 礫石(れきせき) 内耳の卵形囊にある耳石。 星状石(せいじょうせき) 内耳の壺囊にある耳石。 球形囊(球形嚢、きゅうけいのう、英: saccule) または 球囊(球嚢、きゅうのう)、小囊(小嚢、しょうのう、羅: sacculus) 内耳の膜迷路の一部で、平衡覚受容器。受容細胞は垂直の面上に並ぶ。垂直の運動に対して働く。ヌタウナギでは球形囊と分離せず、ヤツメウナギでは分化する。有毛細胞の大部分は支持細胞から分泌された平衡石膜(平衡砂膜)で覆われ、この平衡石膜に対する重力が常に刺激となっている。静止時でも刺激が加わるため姿勢を保つために重要な役割を果たしている。魚類のこの平衡石は矢(英: sagitta)と呼ばれる。哺乳類の蝸牛は球形囊の基礎部に由来する。 卵形囊(卵形嚢、らんけいのう、英: ctricle) または 通囊(通嚢、つうのう、羅: utriculus) 球形囊と同じ機能を持ち、構造的にも類似している。受容細胞は水平面に位置する。水平面上の運動に対して働く。ヌタウナギでは卵形囊と分離せず、ヤツメウナギでは分化する。 視葉(しよう、英: optic lobe) 脳の中央背部にあり、視覚の中枢。 嗅葉(きゅうよう、英: olfactory lobe) 脳の前部(端脳)にある膨れた部分。嗅覚の中枢。 上生体(じょうせいたい、英: epiphysis) 嗅葉の後方にある棒状物。光やホルモン分泌に関係している。 終脳(しゅうのう、英: end-brain, telencephalon) または 端脳(たんのう) 脊椎動物において、前脳の前半分に由来する部位。円口類の終脳は嗅葉として発生する。 唇(くちびる、英: lip) または 口唇(こうしん) ヤツメウナギのアンモシーテス幼生の口の上下にある襞状構造を上下唇という。また、軟骨魚類の上下顎に付随する襞も「lip」と呼ばれる。上唇(じょうしん、英: upper lip) アンモシーテス幼生の口器の背側縁を成す襞状の構造。 下唇(かしん、英: lower lip) アンモシーテス幼生の口器の腹側縁を成す襞状の構造。 皮褶(ひしゅう) 皮膚が皺のように盛り上がってできる筋のこと。 唇褶(しんしゅう、英: labial fold) サメ類の口角部付近にある襞。 皮弁(ひべん、英: dermal flap) 体表に突き出た皮膚の突出物。舌状、リボン状、分枝状などがある。ミノアンコウの幼魚は全身に著しく長い皮弁が覆う。 追星(おいぼし、英: pearl organ) または 真珠器(しんじゅき) 繁殖期にできる、表皮が肥厚してできた真珠様の白い突起。多くは雄の前頭部(鰓蓋)、鱗、胸鰭、腹鰭に出現する。種によって出現する場所は異なる。雌に現れる種もあるが、雄のようには発達しない。頭部追星は繁殖期の雄の闘争の際武器として使用される。コイ科、カトストムス科、アユ、一部のスズキ目にみられる。真珠器(しんじゅき、英: pearl organ) コイ科の追星は表皮細胞が肥厚、突出しその外面を角質化した細胞層が覆う。狭義にはこれのみを真珠器という。 接触器(せっしょくき、英: contact organ) 河口域に生息するメダカ類(Fundulus)の追星。角質層はなく内部に石灰化した硬部を備える。 婚姻器(こんいんき、英: nuptial organ) 角質層も石灰化した硬部もない。雄性ホルモンの支配下にある二次性徴で、生殖腺を除去した雄では現れない。 吸盤(きゅうばん、英: sucker) 他物に吸着する装置。ハゼ科、ウバウオ科にある腹面の吸盤は腹鰭の変形物、コバンザメの吸盤は第1背鰭の変形物である。 膜蓋(まくがい) 吸盤状になっているハゼ類の腹鰭の左右にある棘を連結させている膜のこと。 擬餌状体(ぎじじょうたい、イリシウム、英: illicium) または エスカ(英: esca、疑似餌、カエルアンコウ科の擬餌状体)、ルアー(英: lure) アンコウ類などの吻上にある誘引突起の先端にある膨らんだ部分。これを動かして餌となる生物を引き寄せる。 ここから発光物質を放出する種もある。タイコウボウダルマのルアーには眼のような一対の小黒斑と付属肢に見える糸状物を備え、エビに似せている。 誘引突起(ゆういんとっき) または 第1背鰭棘(だいいちせびれきょく)、吻上棘(ふんじょうきょく、カエルアンコウ科の誘引突起) アンコウ類などの頭の背面にある突起。これを振って先端の擬餌状体が生きているように見せかける。背鰭第1棘が変化したもの。タイコウボウダルマなども持つ。 皮膚腺(ひふせん、英: dermal gland) または 皮腺(ひせん) 脊椎動物の皮膚線は魚類、両生類、哺乳類によく発達する。魚類の皮膚腺は単細胞性または多細胞性の粘液腺(英: mucous gland)で粘液を分泌する。また一部は鰭棘に毒腺があり、深海魚の発光腺にも皮膚腺に属するものがある。 粘液孔(ねんえきこう) ヌタウナギ類の体表にある。 粘液囊(粘液嚢、ねんえきのう、英: mucilage sac) ヌタウナギ類において表皮中の単細胞粘液腺のほかに体側の各体節ごとに存在する多細胞性の粘液腺。糸細胞(しさいぼう、英: thread cell)という特異な細胞からなり、細胞内の長さ数cm、幅1-3μmの粘液糸(ねんえきし、英: mucous thread)を大量の粘液とともに放出して水中に粘液網を貼り、捕食や防御に使われる。 塩類腺(えんるいせん、英: salt gland) または 直腸腺(ちょくちょうせん) 海産の軟骨魚類などにある塩化ナトリウム分泌腺。その他爬虫類、鳥類が持つ。塩化ナトリウムを海水よりも濃い溶液として排出する。軟骨魚類では直腸腺という。シーラカンスは硬骨魚類だが、直腸腺を持つ。分泌細胞はミトコンドリアに富み、構造は哺乳類の尿細管細胞に似ている。 尾部神経分泌系(びぶしんけいぶんぴつけい、英: caudal neurosecretory system) 魚類の脊椎骨末端付近に分布する神経分泌細胞の細胞体と軸索、軸索の末梢部を含む尾部下垂体系の総称。マンボウ科とヨウジウオ科を除く硬骨魚類と板鰓類に存在し、全頭類には知られていない。板鰓類やチョウザメ類には分泌細胞はあっても尾部下垂体は存在しない。 背刀(はいとう、英: dorsal blade) テンガンムネエソ、ムネエソモドキなどムネエソ類の背鰭基部前方にある。 体輪(たいりん) ヨウジウオ科の体はかたい体輪で覆われている。 軀幹輪(躯幹輪、くかんりん) 軀幹部を覆う体輪。 尾輪(びりん) 尾部を覆う体輪。 凹窩(おうか) サメ類の尾鰭の付け根の凹みのこと。 欠刻(けっこく、英: notch) 切れ込み。特にサメの尾鰭上葉先端付近にある切れ込みを指す。 発電器官(はつでんきかん、英: electric organ) または 電気器官(でんききかん) 発電魚の発電力を持つ器官。筋肉または軸索が分化して形成される。シビレエイやアイゲンマニアなどでは頭の両側、デンキウナギやデンキナマズでは軀幹部、ガンギエイでは尾部にある。短い時間間隔で自らの周囲に電場を形成し、その電場の乱れを感知して餌や外敵の存在を知るのに利用される。 デンキウナギでは終板電位に相応するシナプス電位とこれに続く活動電位の発生によって神経支配面は外側が-70mVになり他の面では静止電位が保たれ外側が+80mVなので1つの電函を挟んで150mVの電位が発生する。デンキウナギの電気柱は5000-6000の電函が同方向に直列的に繋がっているので、活動電位が同期して発生すると600-860Vの電圧を発生させる。なお活動電位の持続は神経や筋と同じくミリ秒のオーダーである。 シナプス電位だけで活動電位を発生しないものもおり、電気柱を構成する電函の数も数十の場合から数千にもわたるので、全起電力は1-3Vのものから、ミシマオコゼ類約5V、シビレエイ類では30-80V、デンキナマズでは400-450V、デンキウナギでは600-860Vにも及び、まちまちである。デンキナマズのものは皮膚の腺組織が分化したもので、電函の起電力の方向が逆である(頭部がマイナス、尾部がプラス)。サックス器官(-きかん、英: Sachs organ) デンキウナギが600-860Vの起電力の発電器官とは別に、体の後部に持っている起電力の弱い発電器官。構成する電函の起電力は主器官の起電力と同じ(百数十mV)だが、各電函の間隔が大きい。方向探知機の発信機としての機能を持つと考えられている。 電函(でんかん、英: electroplaque) または 電気板(でんきばん、英: electroplate) 発電器官の最小単位のシンシチウム。多数集まり電気柱を形成。電函の一側面は神経支配を密に受けており、この神経伝達物質はアセチルコリンである。 電気柱(でんきちゅう) 電函が積み重なってできたもの。多数の電気柱が平行に並んで1個の発電器官を形成する。 棘(とげ、英: spine) 体表に突き出た骨質隆起で、先端が尖ったもの。鰭棘(ききょく) 鰭の棘。ネコザメの背鰭の棘や、エイの尾棘など。 上膊棘(じょうはくきょく、英: humeral spine) 胸鰭基底の上方付近で体表に突き出た棘。アンコウの上膊棘は多尖頭、メダマアンコウの上膊棘は2尖頭、キアンコウの上膊棘は単尖頭である(尖頭も参照)。 擬棘(ぎきょく) タラ科魚類の鰭の棘。 額棘(がっきょく) カサゴ類などの頭部背面にある棘のうち、前頭骨隆起(両眼の間にみられる隆起)の後端にある棘。 頸棘(頚棘、けいきょく) カサゴ類などの頭部にある棘。頭部背面の頭頂骨隆起の後方に位置する。 耳棘(じきょく) カサゴ類などの頭部にある棘。 鼻棘(びきょく) カサゴ類などの頭部にある棘。 翼棘(よくきょく) ガンギエイ類などの胸鰭にある棘。 眼前棘(がんぜんきょく) カサゴ類などの頭部にある棘。 眼上棘(がんじょうきょく) カサゴ類などの頭部にある棘。 眼後棘(がんこうきょく) カサゴ類などの頭部にある棘。 眼部棘(がんぶきょく) ガンギエイ類などの眼付近にある棘。 項部棘(こうぶきょく) ガンギエイ類などの項部にある棘。 肩帯部棘(けんたいぶきょく) ガンギエイ類などの肩帯部にある棘。 尾部棘(びぶきょく) ガンギエイ類の腰帯後部から第1背鰭までの背中線上にある棘。 眼窩後棘(がんかこうきょく) カサゴ類などの頭部にある棘。 上擬鎖骨棘(じょうぎさこつきょく) カサゴ類などの上擬鎖骨付近にある棘。 上後側頭棘(じょうこうそくとうきょく) カサゴ類などの頭部にある棘。 下後側頭棘(かこうそくとうきょく) カサゴ類などの頭部にある棘。 後側頭骨棘(こうそくとうこつきょく) ムネエソ類などの頭部にある棘。 前鰓蓋骨棘(ぜんさいがいこつきょく) カサゴ類、ムネエソ類などの頭部にある棘。 前部腹縁棘(ぜんぶふくえんきょく) ムネエソ類などの腹部にある棘。 後部腹縁棘(こうぶふくえんきょく) ムネエソ類などの腹部にある棘。 離棘(りきょく) 臀鰭の前方にある小棘。アジ類には2本の離棘がみられる。 尾棘(びきょく、英: tail-spine) エイ類の尾部に生えている棘。尾棘の両端は鋸歯縁となり毒腺を持つ。一般にアカエイ、トビエイ、ツバクロエイなど尾部背中線上にあるものをいう。ガンギエイにあるものは尾部棘と区別する。 出鰓血管(しゅっさいけっかん、英: efferent branchial vessel) 鰓で酸素を得た動脈血を鰓から心臓または全身に送る血管。解剖学上は鰓静脈(さいじょうみゃく、英: branchial vein) 側静脈(そくじょうみゃく、英: lateral vein、羅: vena laterails) 魚類のみにある体側筋中から静脈血を心臓へ導く左右1対の血管。その走行中に腹鰭からくる腸骨静脈及び胸鰭からの鎖骨下静脈を受けキュヴィエ管に合し、それが心臓の静脈洞に開く。
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消化管以外に、胆管、尿管、卵管、その他の分泌管などで見られる。 下等動物や、高等動物でも胚では、心臓拍動も蠕動によってなされる。
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