生体構造と物性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/10 10:07 UTC 版)
スベリンは疎水性の、いくらか「弾力のある(rubbery)」物質で、その主な働きは水分の組織への透過を防ぐことである。根において、スベリンは内皮細胞の放射方向および横断方向の細胞壁に蓄積する。この構造はカスパリー線(casparian strip、casparian band)として知られ、根から吸収した水や養分がアポプラストを通って中心柱に入るのを防ぐ役割を持つ。アポプラストを通れなくなった水や養分はシンプラスト経由で内皮細胞の中を通過することになるため、植物は水に溶けた物質を選択的に吸収することができる。この機能によって、スベリンは有害な物質に対する重要なバリアとなっている。たとえばマングローブは、海岸に生育する上で、過剰な塩分の吸収をスベリンによって防いでいる。 スベリンは樹皮のコルク層でも見つかっている。これは樹皮の最外層にあたり、スベリンに富む死細胞から形成されており、内層の組織からの水分の蒸発を防いでいる。スベリンは植物のその他の器官に見られることもあり、例としてメロンの網目模様が挙げられる。
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