生体流体と動物磁気
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/25 10:19 UTC 版)
1791年にロンドンで発行された出版物には、メスメルの生体流体(vital fluid)の理論が説明されている。 現代哲学において、すべての空間にはそれを占める流体物質が存在するという完全または普遍的な原理を認めている。そして世界を移動するすべての物体には孔があるように、この流体物質はその間隙を通ってそれ自体を引き入れたり、戻したりするが、その時に発生する電流によって、磁石のように1つの身体を通って別の身体に流れることで、我々が動物磁気と呼ぶ現象を引き起こす。この流体は火(fire)・空気(air)・精神(spirit)から成り、他のすべての流体と同じく平衡を保つ性質がある。したがって、身体を互いに作用させることによって動物電気(animal electricity)が生じることは容易に想像できるが、実際には一方が他方よりも運動量が多い2つの身体の間で生じているに過ぎない。この現象は運動する媒体が2つの身体の間で平衡状態になるまで、最も運動している方が、そのもう一方にそれを伝え、そしてこの運動の平等性が動物電気を生み出すことを立証するのに意味を持つ。 — Eighteenth Century Collections Online. London (1791): pp.11–12 1790年に編集者ジョン・ピアソンが発表した一連の手紙の匿名の筆者によれば、動物磁気は嘔吐から「crisis」と呼ばれるものまで幅広い効果があるという。この治療法(「crisis」の誘発)の目的は、病気の原因となっている体液系の免疫システムの障害を取り除くというものであり、その手段として身体にショックを与えて痙攣させることであった。さらに動物磁気説の匿名の支持者は、「crisis」が2つの効果を生み出すと主張した。1つ目は「磁気の影響によって自我を消失した個人は、感覚があるように見えても、説明可能な生物ではなくなる」、そして2つ目には「驚くべき」状態があり、それは「(磁化された)対象者に与えられた(中略)すなわち、完全で遮るもののない視界(中略)言い換えれば、すべての不透明さが取り除かれ、すべての物体は光り輝き透明になる」状態である。「crisis」状態の患者は、身体の中を見通すことができるようになり、自分自身や他の患者の病気の原因を発見することができると信じられていた。 1784年にピュイゼギュール侯爵がヴィクトルという青年を奇跡的に治療できたのは、この「crisis」に基づく治療法であったとされた。侯爵はヴィクトルに催眠術をかけることができたと言われており、術中のヴィクトルは明瞭に話すことができ、自分の病気を診断することができたと伝えられている。 ジェイコブ・メロ(Jacob Melo)はその著書の中で、動物磁気がどのように作用していると考えられているのか、そのメカニズムのいくつかを紹介している。
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