一万円紙幣 E号券

一万円紙幣

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/26 09:38 UTC 版)

E号券

2004年(平成16年)8月13日の財務省告示第374号「平成十六年十一月一日から発行を開始する日本銀行券壱万円、五千円及び千円の様式を定める件」[34]で紙幣の様式が定められている。主な仕様は下記の通り。

  • 日本銀行券
  • 額面 壱万円(10,000円)
  • 表面 福澤諭吉(紙幣面の人名表記は新字体の「福沢諭吉」)
  • 裏面 平等院鳳凰堂鳳凰
  • 印章 〈表面〉総裁之印(特殊発光インキ) 〈裏面〉発券局長
  • 銘板 国立印刷局製造
  • 記番号仕様
    • 記番号色 黒色/褐色(製造時期により2種類あり)
    • 記番号構成 記号:英字1 - 2文字+通し番号:数字6桁+記号:英字1文字
  • 視覚障害者用識別マーク 左下隅L字・右下隅逆L字(深凹版印刷)
  • 寸法 縦76 mm、横160 mm[34]
  • 発行開始日 2004年(平成16年)11月1日[34]
  • 発行中
  • 有効券

D号券3券種の発行開始からおよそ20年が経過し、印刷技術の革新や複写機イメージスキャナコンピュータ画像処理ソフトウェアなどの普及・高性能化を背景に2002年(平成14年)頃から偽造券の発見が急増するようになってきたことや[35][36]、諸外国でも新たな偽造防止技術を盛り込んだ紙幣が1990年代末期以降続々と発行されており、日本だけが旧世代の紙幣の発行を続けると国際的な偽造団による標的となる恐れがあることを踏まえ[37]、E一万円券、E五千円券E千円券の3券種が同時に改刷された[37]

E号券の中では唯一D号券から肖像が変わらず福澤諭吉のままである[38]。これはE号券の改刷の準備期間が短く、当時全体の6割以上の発行枚数を占めていた一万円紙幣の原版彫刻の時間を短縮するために取られた対応である[38]。そのため表面右側に描かれている肖像はD号券の原版を流用しているが、着物の一部分や背景部分など僅かながら手直しが行われている[39]。その他の輪郭や地模様は全く新たなデザインとなっている[39]。裏面は完全に新たな図案となっており、裏面左側には京都府宇治市にある平等院鳳凰堂の中堂屋根上に取り付けられていた国宝の鳳凰像[注 2]が描かれており[40]、右側には地模様として宝相華があしらわれている[41]

偽造防止技術にはD二千円券に新たに採用されたもののほとんど[注 3]が採用されたのに加え、新たに表から見て右側に用紙を薄くしてすき入れした「すき入れバーパターン」と、見る角度によって像(金属箔に刻まれた絵柄)が変わる「ホログラム」が採用された[42]。E一万円券には肖像の右側付近に縦棒のすき入れが3本入っており、ホログラムの像は光の入射角により桜花、日本銀行行章、額面金額の「10000」の数字などが確認できる[43]特殊発光インキについては表面の印章および地紋の一部に紫外線発光インクを採用しており、ブラックライトを照射すると表面の印章「総裁之印」及び表面・裏面の地模様の一部がオレンジ色に発光する[43]。ミニ改刷後のD号券と異なり裏面の印章「発券局長」は発光しない。なおD二千円券で採用された光学的変化インクは使用されていない。

公式に発表されていないが、表面と裏面に「ニ」「ホ」「ン」(日本)の片仮名がシークレットマーク(暗証)として入っていることが確認できるほか[41]、D二千円券に引き続いてユーリオンも採用されている。さらにホログラムの上下にも漢字で「日」「本」の文字が刻まれている。

記番号は発行当初黒色で印刷されていた[34]が、129億6千万枚を発行して同色刷の記番号の組合せが枯渇したため、2011年(平成23年)7月19日発行分から褐色(暗い黄赤)記番号の券が発行されている[44][45]。記番号の組み合わせの枯渇による記番号の色の変更は一万円紙幣では史上初であった[注 4]

2024年令和6年)上期を目途として新紙幣(後述)が発行されるのを前に、2022年(令和4年)9月までにE一万円券を含むE号券3券種の製造が終了した[46]

E一万円券の変遷の詳細を整理すると下表の通りとなる。

発行開始 記番号色 変更理由
2004年(平成16年)11月1日[34] 黒色[34]
2011年(平成23年)7月19日[44] 褐色[44] 記番号の組み合わせ枯渇

視覚障害者触覚で券種を識別できるようにした識別マークについてはD一万円券D五千円券D千円券で採用されていた透かしによるものから変更され、紙幣の表面下端の左右に深凹版印刷によりインクを盛り上げて凸凹を感じられるようにした方式が取られている[47]。E一万円券には「左下隅L字・右下隅逆L字」の識別マーク[注 5]が施されている[47]。また国立印刷局によりスマートフォンで金種の判別・読み上げができるアプリ「言う吉くん」を提供されている[48]

透かしは肖像と同じく福澤諭吉である。紙幣用紙は三椏マニラ麻などを調合したものが用いられている[42]

使用色数は、表面14色(内訳は凹版印刷による主模様2色、地模様10色、印章1色、記番号1色)、裏面7色(内訳は凹版印刷による主模様1色、地模様5色、印章1色)となっている[34]。基調となる色はD号券と同系統の色調を受け継いでおり、E一万円券はD一万円券と同じく褐色系の色合いとなっている[49]


注釈

  1. ^ B号券以降の日本銀行券の中で記番号が4ヶ所に印刷されている紙幣は、この紙幣とC五千円券のみである。
  2. ^ 現在平等院鳳凰堂の中堂屋根上に取り付けられているものは複製品となっており、本物は屋内に保管展示されている。
  3. ^ マイクロ文字、特殊発光インキ、深凹版印刷、潜像模様、パールインク等。
  4. ^ 千円紙幣では前例あり。
  5. ^ このほか、E五千円券は「八角形」、D二千円券は点字の「に」を模した「丸印が縦に3つ」、E千円券は「横棒」の識別マークである。
  6. ^ B号券からE号券までの紙幣では全券種ともに製造番号の両端の英字が各1桁、つまり「A000001A」から始まっていた。「Z900000Z」まで使い果たすと左側の英字だけ「AA」と2桁に変わるが、右端の英字は必ず1桁であったため最終番号は「ZZ900000Z」となり、それを使い果たすと文字色を変更して「A000001A」に戻る形式だった。新紙幣では1桁制が廃止され両端とも初めから2桁の英字、すなわち「AA000001AA」から製造開始される形となった。
  7. ^ ただし、現在も有効券となっている紙幣を含めた場合はこの限りではない。

出典

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