その他一万円紙幣に関する事項
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 15:26 UTC 版)
「一万円紙幣」の記事における「その他一万円紙幣に関する事項」の解説
紙幣に表記されている「壱」は大字であり、過去の紙幣ではよく採用されていたが、発行中の紙幣で大字が記されている紙幣は、当券と弐千円紙幣のみである。これは日本の法令上大字を使用することが規定されているのが壱、弐、参、拾のみであり、この条件に該当する紙幣がここに挙げたもののみだからである。 紙幣流通総枚数に占める一万円紙幣の割合は他券種と比べて圧倒的に多い89%(2018年(平成30年)現在)で、キャッシュレス化が進みつつある2010年代以降も一万円紙幣の流通枚数は継続的に大きく増加し続けている。最高額面の券種が大半を占める反面、五千円紙幣や二千円紙幣といった中額面紙幣の流通枚数が極端に少ないが、このような傾向は先進国の中では日本のみであり日本以外ではあまり見られない。なお市中での一万円紙幣の流通金額は97兆円である(2019年(令和元年)5月7日現在)。 世界では、一万円紙幣やそれ以上の金額に相当する程度の最高額紙幣(100米ドル紙幣や200・100ユーロ紙幣など)は、支払時に偽札かどうかをチェックされたり受け取りを拒否されたりすることも多く、キャッシュレス化の進展もあって高額紙幣の廃止論も世界的に高まってきている。ただしこれらの国・地域ではキャッシュレス決済の普及以前からもともと市中での最高額紙幣の使用は一般的ではない状況であり、以前からアメリカでは20ドル紙幣と1ドル紙幣、ユーロ圏では50ユーロ紙幣と20ユーロ紙幣が市中での流通枚数が多い。日本のように、先述の通り中額面紙幣の流通枚数が極端に少ない一方で流通枚数の圧倒的多数を一万円紙幣が占めており、日常的にも一万円紙幣が差支えなく使用されているケースとはやや事情が異なることに留意する必要がある。なお現在発行中で世界一高額な紙幣は、日本円で10万円程度に相当する1,000スイス・フラン紙幣である。 小売店や飲食店では、一万円紙幣で支払うと店員が「一万円入ります」と声を掛けることがある。これは釣り銭を巡る客とのトラブルを防止するためというのが最大の理由とされ、1970年代のファストフード店に由来するという仮説が有力であり、当時発行されていたC一万円券とC五千円券の肖像画がいずれも聖徳太子であったことから、釣り銭ミスを防ぐためにその慣習が生まれたという。D号券・E号券では五千円紙幣との肖像は異なるが、一万円紙幣は最高額面の紙幣なので、この声出しはレジ精算時に高額紙幣を受け取ったときの声出しを店員に徹底して意識付けさせることや、管理責任者が高額紙幣による精算があったことを認識しやすくなるという効果が考えられる。また高額紙幣ということで、五千円紙幣に対しても稀に同様の対応を取る場合がある。 流通紙幣の耐用年数は平均で4 - 5年程度とされ、使用頻度が高く釣り銭などのやりとりが多い五千円紙幣・千円紙幣の1 - 2年よりかなり長い。 日本では、偽造通貨は日常的に見かけるほど出回っておらず、偽造通貨が見つかるとニュースになるほどであり、世界的に見ても日本円の偽造通貨は非常に少ないが、その中では最も多い金種は一万円紙幣である。 現在発行されていない旧紙幣のC号券・D号券は現存数が非常に多いため、珍番号やエラーなどの条件がない限り古銭商が買い取りすることはほぼない。
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