高額紙幣
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 05:40 UTC 版)
「アメリカ合衆国における高額紙幣(英語版)」も参照 アメリカ合衆国では かつて500ドル(マッキンリー肖像)、1,000ドル(クリーブランド肖像)、5,000ドル(マディソン肖像)、10,000ドル(チェース肖像)、100,000(10万)ドル(ウィルソン肖像)の高額紙幣が発行されていた。このうち100,000ドル紙幣は金証券であり流通用紙幣ではなく、専ら連邦準備銀行と連邦政府との間の決済にのみ用いられ、一般市民が合法的に所持できる機会はなかった。一方500ドルから10,000ドルまでの紙幣は連邦準備紙幣 (Federal Reserve Note) としても発行され、これらは法的には有効な紙幣 (legal tender note) であるが、発行は1945年(タイプはシリーズ1934)が最後で、1969年には流通停止になっている。数百枚しか発行されていなかった10,000ドル紙幣のうち100枚は、ラスベガスの老舗カジノ「ビニオンズ・ホースシュー(現ビニオンズ・ギャンブリングホール・アンド・ホテル(英語版)」に集められ店頭で展示されていたが、2000年ごろの同店の経営悪化により散逸した。 現在事実上流通している紙幣ではシンガポールの10,000ドル(日本円で840,000円相当=2022年3月現在)が実質的な価値として世界最高額の紙幣といわれている。また、流通する可能性のある紙幣としては、スウェーデンにも10,000クローナ(発行当時日本円で約650,000円相当)の高額紙幣があった。さらに、現在広く流通しているという意味では、500ユーロ紙幣(日本円で約63,000円相当)やスイスの1,000フラン紙幣(日本円で約125,000円相当)が高額紙幣の代表として挙げられる。これらの紙幣はシンガポールの10,000ドル紙幣のように、事実上一般人が手にすることのない紙幣と異なり、旅行者も普通に手に出来るものである。 2016年11月8日午後8時、インドのモディ首相は「4時間後に500ルピーと1000ルピーを廃止する」ことを発表。翌日からは、金融機関に紙幣交換を求める人々が殺到し、市中が一時的に混乱した。2種類の高額紙幣廃止は、偽造紙幣の流通防止、所得隠しや脱税防止などを目的としたもので、翌年、モディ首相は記者会見で紙幣廃止に触れ「銀行システムに決して戻らなかった3兆ルピー(約5兆2千億円)が紙幣廃止で戻ってきた」と自己評価した。 日本でも1990年代の一時期に5万円札や10万円札といった高額紙幣を発行すべきとの議論が政財界から挙がったことがあるが、犯罪対策の問題やクレジットカード・電子マネーなどの電子決済の普及もあり、今日ではそのような議論は沈静化している。
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