軍用手票
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/30 17:40 UTC 版)
軍用手票(ぐんようしゅひょう、military currency、military payment certificate)とは、戦争時において占領地もしくは勢力下にて軍隊が現地からの物資調達及びその他の支払いのために発行される擬似紙幣である。政府紙幣の一種と解されることもある[1]。略して「軍票(ぐんぴょう)」と呼ぶことが一般的である。軍隊が通貨の代用として使用する手形[2]ないし占領軍の交付する代用貨幣[3]であり、最終的には、その軍隊が所属する政府によって軍票所持者に対し債務支払いを行う必要があるが、敗戦国の場合、支払能力がないため反故にされる場合もある。また第二次世界大戦の敗戦国である日本の場合、かつて戦時国際法上、個人に対する戦争被害を敗戦国が補償する義務がなく、また連合国側が軍票の支払い義務を免除したため、後に国際問題になったことがある。
注釈
出典
- ^ 岩尾真宏、山口博敬「政府紙幣浮上の怪――自民内に構想」『朝日新聞』2009年2月3日付朝刊、第13版、第7面。
- ^ 広辞苑第6版「軍票」の説明
- ^ a b 岩武照彦、「日本軍票の貨幣史的考察」『アジア研究』 1980年 27巻 1号 p.61-82, doi:10.11479/asianstudies.27.1_61, NAID 130004689372
- ^ 石原幸一郎編纂「日本紙幣収集事典」、原点社、2005年、294頁
- ^ 石原幸一郎、前掲書、295頁
- ^ 石原幸一郎、前掲書、226頁
- ^ 小林英夫「日本軍政下のアジア」、岩波書店、1993年、P155,156
- ^ 外務省公開文書 リール番号A'0115 コマ番号211 SCAPIN-8,21
- ^ 昭和20年大蔵省令第79号 聯合國占領軍の發行する「ビー」號圓表示補助通貨の件
- ^ 有賀長尾「日露陸戦国際法論」(明治44年、東京偕行社)P.771
- ^ 「金融大辞典」(昭和9年、日本評論社)P.656「軍用貨幣」
- ^ 「金融大辞典」(昭和9年、日本評論社)P.657「軍用貨幣」
- ^ 大蔵省理財局「軍用手票ニ関スル参考書」(昭和16年1月)P.122、この箇所は「昭和財政史・Ⅳ」P.334において公表されている。
- ^ 大蔵省理財局「軍用手票ニ関スル参考書」(昭和16年1月)P.134、この箇所は「昭和財政史・Ⅳ」P.334において公表されている。
- ^ 石原幸一郎、前掲書、294頁
- ^ 石原幸一郎、前掲書、368-371頁
- ^ a b 石原幸一郎、前掲書、361頁
- ^ 石原幸一郎、前掲書、362頁
- ^ 電子政府の総合窓口e-Gov 行政手続き案内[1][2][3][4]
- ^ 財務省電子申請システムの運用停止[5][6]PDF-P.14
- ^ 昭和20年9月6日附、ハロルド・フェア中佐発「法貨ニ關スル件」。アジア歴史資料センター[7]終戦事務情報:終戦関係書類其の二【レファレンスコードA15060454200】1945年
- ^ 「一、日本政府ハ本州、北海道、四國、九州及ビ附近水域ニ於テ左記事項ヲ法律・命令乃至ソノ他ノ規程トシテ卽時實施スベシ...c.日本政府、陸海軍ノ發行セル一切ノ軍票及ビ占領地通貨ハ無効無價値ニシテ、斯ル通貨ノ授受ハ一切ノ取引ニ於テ禁止ス。二、日本政府ハ右事項ノ勵行實施ノ確保ニ必要ナル罰則ヲ制定セントシツツアルコトニ就キ、關係當局者ノ注意ヲ惹クベシ。尚當司令部ノ是認ヲ受ケルタメ、課セラルベキ最大及ビ最小ノ罰則ノ一覧表ヲ提出スベシ。」
- ^ 帝国議会第89回貴族院「衆議院議員選挙法中改正法律案特別委員会」伊江朝助(昭和20年12月13日)発言者番号51[]
- ^ 帝国議会第89回衆議院本会議「引揚民援護に關する質問主意書」伊禮肇(昭和20年12月11日)
- ^ 政府答弁については帝国議会第89回衆議院予算委員会澁澤敬三(昭和20年12月12日)
- ^ 石原幸一郎、前掲書、402頁
軍用手票
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 10:19 UTC 版)
軍用手票とは、戦争の時に占領軍が占領地や交戦地で発行する通貨であり、軍票という通称で呼ばれる。軍票は19世紀にヨーロッパで始まり、占領軍は占領地で物資を徴発する代わりに、軍票で必要物資の調達や軍人への給料の支払いを行った。また、敵国の通貨の使用を禁止して経済を統制する目的もあった。占領軍の自国通貨を支払いにあてた場合は自国でのインフレの可能性があり、敵国通貨を禁止しなければ敵国から物資の調達などをされる可能性があるため、軍票が使用されてきた。発行された軍票は発行国の債務であり、終戦により一般通貨に交換することが必要となるが、戦勝国により敗戦国の軍票が無効とされる例も多い。正式な軍票ではないが、同様の目的でアメリカ軍が沖縄の久米島で発行した貨幣として久米島紙幣がある。
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軍用手票
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/13 15:50 UTC 版)
戦時には国家の組織である軍隊が軍用手票(軍票)を発行する。1907年締結のハーグ陸戦条約第52条に「現品を供給させる場合には、住民に対して即金を支払わなければならない、それが出来ない場合には領収書を発行して速やかに支払いを履行すること」とされており、最終的には戦後処理で清算する必要がある。 その一方で、事実上の通貨として流通する場合もある。代表的なものは、日本軍が第二次世界大戦で東南アジアで使用した大東亜戦争軍票、戦後も世界各国で展開するアメリカ軍の兵士が使用したMPC、アメリカ軍に占領された沖縄で一時的に使用されたB円などである。軍票も政府紙幣の一種といえ、濫発するとインフレーションを招くこともあるが、厳格に運用すると銀行券と同様に支障なく流通させることができる。実際にB円は沖縄における法定通貨として1958年まで使用されていた。
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