ユダヤ教 教義・信仰

ユダヤ教

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 07:48 UTC 版)

教義・信仰

ユダヤ教徒はタルムードと呼ばれる教典に従って行動すると知られているが、これはラビ的ユダヤ教徒に限られる。タルムードは2世紀頃からユダヤ人の間で幾たびも議論の末に改良を重ねられてきた生活および思想の基礎であり、家族やユダヤ人同士でタルムードの内容について討議する事もある[4]

メシア思想

メシア(救世主)が来臨し,人々を救うという預言がある。

メシアはダビデ王の末裔とされ,彼は地上にメシア的王国と呼ばれる王国を樹立するとされる。(このメシアがイエスであるとするのがキリスト教である。)

教育

ユダヤ教において最も特徴のある分野は教育であり、ユダヤ教徒は教育こそが身を守る手段と考え、国を守るには兵隊を生み出すよりも子供によい教育を受けさせるべきとされている。そのため一般大衆のほとんどが文盲だった紀元前からユダヤ人の共同体では授業料を無料とする公立学校が存在していた。平均的なユダヤ教徒は非常に教育熱心で、子供をよい学校に行かせるためには借金をすることも当然と考える。家庭では特に父親の存在が重要で、先導して子供に勉強タルムードなどを教え、子供を立派なユダヤ人に育てたものは永遠の魂を得ると信じられている。また子供が13歳に達するとバル・ミツワー成人式)の儀式が行われ完全に大人と同様と扱われる。

死生観

シェオール、ハデスなどと呼ばれる死後の世界が存在するとされる。ハデスの中には「アブラハムのふところ」と呼ばれる憩いの場と、裁きの場があるとされる。

また,三つの天という概念があり,第一の天が空,第二の天が星の空間(宇宙),第三の天が神の住まいとされる。

最後の審判の時にすべての魂が復活し、律法(特に後述の安息日の規定が重要であるとされる)を守っていたものが救われる,またはアブラハムの子孫はみな救われる,などの解釈が存在する。


またカバラ神学では、魂は個体の記憶の集合体であり、唯一神はすべての生命に内在し、ただ唯一神は永遠の魂(命の木)である。個体が善悪を分かち、銘々の記憶は神へ帰っている。神はただ記憶を収集し、善悪を分かたない。神では、善の記憶が再創造の素材になり、悪の記憶がなくなる。

カバラでは以下のような寓話がある:毎年贖罪の日ではすべての生命は死んで、生き返り、悪もなくなる。(あるいは、毎年角笛吹きの祭から贖罪の日までの間にすべての生命は死んで、記憶が神へ帰った。贖罪の日から光の祭りまでの間に神は再創造し、善の記憶がすべての生命へ帰った。)死亡はただ贖罪の日と同じである。

労働

労働は神の行った行為のひとつであるため、神聖な行為と考えられている。そして、安息日と呼ばれる休日を週1回は必ず行うべきであり、安息日の間は労働はしてはならず、機械に触れてもいけない。自分自身を見つめ、自分と対話したり、家族と対話したりする。

人間は創造主の代わりに労働をする存在として作られたとされる。 労働により得た賃金や物質は一部を創造主に捧げなければならない。

ユダヤ教では性衝動や性行為は自然なもので、必要悪と見なすことは無い。 夫婦の性行為はそれを捻じ曲げることがむしろ罪であるとされる。 また、快楽を伴わない性交は罪とされる。

ただし妊娠・出産を重視する教義のために、保守的な派閥の一部には、自慰行為を悪とみなす意見が存在する。

ミシュナーに記述されたイェフーダー・ハン=ナーシーの言葉によると、女性は3歳と1日になったら結婚をすることができる[5]ニッダーサンヘドリンの記述によると、3歳と1日の少女は父親の許可の下、性行為によって婚約する[6][7]ラビ・メイルは、2歳と1日の少女も性交によって婚約することができると述べている[8]ラヴ・ヒスダは3歳以下の少女は性交で処女膜が破れたとしても再生すると述べており[9]、例えそれが改宗者や捕虜や元奴隷だったとしても、その少女が3歳と1日よりも年少の場合は処女とみなされ、結婚契約額が満額の200ヅヅ支払われるとケトゥボットに記されている[10]アヴォダー・ザラー37aには、異教徒の少女は3歳と1日で性行為に適するという章句がある[11][12]。異邦人の娘であるユスティニアは、6歳で結婚し、7歳で出産したというが、一般的には女性は12歳と1日になれば妊娠に適齢であると考えられていた[13][6][14]

ニッダーによると、ラビは女性を年齢に応じて「未熟な無花果」と「青白無花果」と「しわが寄った無花果」の3つに区分している。身体的特徴として、「未熟な無花果」は2本の陰毛を生やしておらず、「青白無花果」は2本の陰毛を生やしており、「しわが寄った無花果」は乳房を手で押した際に、それが沈んでからゆっくりと跳ね返るようになるとされる。年齢に換算すると「未熟な無花果」は12歳と1日以下、「青白無花果」は12歳と1日から12歳半、「しわが寄った無花果」は12歳半と1日以上を意味する[15]


注釈

  1. ^ ラテン文字転記:Yahadut仮名文字転記:ヤハドゥート
  2. ^ 「ユダヤ教をヘブライ聖書と結び付けようとする試みは、ハラハーとは無関係であり … ルター主義的であって、ユダヤ教的ではない。イスラエルは聖典によって生活したこともなければ、そうしようとしたこともなく、そのように考えられたこともなかった …」とイェシャヤフ・レイボヴィッツ Yeshayahu Leibowitz はいう[1]
  3. ^ 例えばイスラエル国においてロシア系移民の改宗手続きをする場合、440時間を費やすので、一日2時間勉強しても最低7ヶ月かかる。
  4. ^ 「民族宗教」といっても、例えば神道のように、特定の地域・場面においての繋がりしかなく、改宗手続き・運動もなく、日本人になる絶対的要素でもないような「宗教」とは全く性質・意味の異なる部分がある。
  5. ^ コングリゲイション Congregation とは集会・会衆・宗派の意味、ユダヤ教では全ユダヤ教徒(イスラエル人)の意味も持つ。キリスト教ではキリスト教全体、カトリックでは聖省、修道会、修族、英国の会衆派教会などの意味。ユダヤ教では、シナゴーグにこの名前が使われることもある。

出典

  1. ^ Judaism, Human Values and the Jewish State, ed. E. Goldman (Cambridge MA, 1992) , p11
  2. ^ 創世記
  3. ^ イザヤ書』56章
  4. ^ 『ユダヤ5000年の知恵』 マーヴィン・トケイヤー ISBN 978-4408395746[要ページ番号]
  5. ^ Niddah 45a:9”. Sefaria. 2019年12月21日閲覧。
  6. ^ a b ニッダー 2007, p. 184.
  7. ^ Sanhedrin 55b:4”. Sefaria. 2019年12月21日閲覧。
  8. ^ ニッダー 2007, p. 185.
  9. ^ ニッダー 2007, pp. 185–186.
  10. ^ 『タルムード ナシームの巻 ケトゥボート篇』三好迪訳、三貴、1994年、33頁。
  11. ^ 『タルムード ネズィキーンの巻 アヴォダー・ザラー篇』宇佐美公史訳、三貴、2006年、157頁。
  12. ^ Avodah Zarah 37a”. Sefaria. 2019年12月17日閲覧。
  13. ^ ニッダー 2007, p. 186.
  14. ^ Sanhedrin 55b:10”. Sefaria. 2022年3月28日閲覧。
  15. ^ ニッダー 2007, pp. 195–196.
  16. ^ イスラエル基礎データ”. 日本国外務省 (2018年7月5日). 2019年3月4日閲覧。
  17. ^ 臼杵陽『イスラエル』岩波書店〈岩波新書〉、2009年4月、96-97頁。
  18. ^ イスラエル外務省 2010, p. 145.
  19. ^ イスラエル外務省 2010, p. 137.
  20. ^ “超正統派ユダヤ教徒も兵役/イスラエル、17年から”. 四国新聞社 SHIKOKU NEWS. (2014年3月12日). http://www.shikoku-np.co.jp/national/international/20140312000659 2019年3月4日閲覧。 
  21. ^ イスラエル外務省 2010, p. 135.


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