きりたんぽとは? わかりやすく解説

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きり‐たんぽ【切りたんぽ】

読み方:きりたんぽ

秋田地方郷土料理。ついてつぶした飯を細いなどの棒に円筒状にぬりつけ焼いたもの。鶏肉野菜などと醤油汁で煮たり、田楽風に味噌塗ったりして食べる。名は、たんぽ槍の先を切った形に似るからという。《 秋》

切りたんぽの画像
切りたんぽ鍋

きりたんぽ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/21 06:08 UTC 版)

たんぽときりたんぽ鍋

きりたんぽ(切蒲英、切短穂[1])とは、すりつぶしたうるち米ご飯の棒に先端から包むように巻き付けて焼いたたんぽ餅を棒から外し、食べやすく切った食品。また、それを利用した秋田県郷土料理[2]比内地鶏)のがらで取っただし汁に入れて煮込んだり(きりたんぽ鍋)、味噌を付けて焼いたりして食べる。地域によって食べ方は異なる。

起源

元来は冷や飯の利用法として工夫されたものだといわれている[2]

秋田県大館鹿角地域の郷土料理で、その地のマタギの料理が起源だったとの説がある[3]。他にもいくつかの説があり、

  1. 残った飯を捏ねて棒の先に付け焼いて食べたら旨かった。たまたま、南部藩主が巡視に来たときに食べ、食べ物の名前を訊かれたときに、キリタンポと答えたのが始まり[4]
  2. マタギが山から帰った際、残した飯を潰して棒につけて焼き、獲物のヤマドリ山菜キノコとともに煮たり味噌をつけて食べたりしていた[3]

きりたんぽ鍋は家庭料理であることから、鍋に入れる鶏肉に本来は決まりはない。比内地鶏が使われるようになった契機は、比内地鶏の産地である大館市の企業が、煮込んでも硬くなりすぎず鍋物に最適なことに注目してセットで売り出し、成功したことである。その後、県北部の鹿角市が発祥、大館市が本場と定着し、秋田県の郷土料理として広く親しまれるようになった。

これに対して秋田県の南部である由利本荘市大仙市横手市湯沢市周辺では、あまりなじみがある料理ではなかった。きりたんぽが全国的に有名になってから秋田県の名物として県南にも普及した[5]。県南部はむしろ、山形県や宮城県などで広く行われている芋煮会(秋田県では”なべっこ”ということが多い)の分布範囲である。

主な種類と概要

たんぽたんぽ餅

みそつけたんぽ / 味噌をつけて焼いている例。
「短穂(たんぽ)」とは、元来、稽古用のにつける綿を丸めてで包んだものであり、や竹の棒に半殺し(半分潰すという意味[6])のご飯を巻き付けたところがたんぽをつけた槍(たんぽ槍)に似ていることから、その名が付いた[7]
みそつけたんぽ
焼いたたんぽに味噌を塗って食べるもの。みそたんぽとも呼ばれる。
きりたんぽ鍋
鶏(比内地鶏)のガラでとった出汁をベースに濃口醤油日本酒砂糖(または味醂)で醤油味のスープを作る。ゴボウマイタケ(金茸、銀茸)、比内地鶏など煮えにくい素材から順に入れ、中火で煮立てる。きりたんぽとネギを入れ、味が染みる直前でセリを投入する。セリに火が通ったら完成。
比内地鶏が品種開発される以前は、出汁には比内鶏のものを用いていた。比内地鶏が手に入らない場合はブロイラーのトリガラ、もも肉、鶏皮、ネクタイ(首の肉)で代用すると良い味が出る。
具材について基本はゴボウ、鶏肉、マイタケ、、たんぽ、セリの6種[注 1] である。入れてはならないとされるものが存在し、シイタケはその代表格で、キノコはシメジかマイタケを使い、他に糸こんにゃくも用いない[8][注 2] 。但し現在は特に都心部の店舗や通信販売などを中心に、これらの食材を用いてきりたんぽ鍋を供している場合もある。うるち米を素材とするきりたんぽは長時間煮ると形が崩れるため、食せる状態まで煮たら早めに鍋から引き上げ食べる事が望ましい。特におみやげ品として売られているきりたんぽには、繋ぎとして米粉が混ぜ込まれているため、その場で米を潰して作ったきりたんぽよりも型くずれしやすい。
だまこもち
たんぽのように焼かず、団子状に丸めた類似の伝統料理。

行事

本場大館きりたんぽまつり

秋田県では、主に県北において野外できりたんぽ鍋を作る会合「たんぽ会」が行われる(同じ秋田県でも県南では、元来、きりたんぽ鍋をつくることはあまり多くなく、”なべっこ”(山形県でいう芋煮会)で”いものこ汁(山形県でいう芋煮)が一般的である。また、小学校などでは遠足できりたんぽ鍋を作る「なべっこ遠足」がかつては盛んに行われた[注 3]

評価

参考文献

  • 石毛直道奥村彪生神崎宣武・山下諭一 編『日本の郷土料理 第2巻(東北II)』ぎょうせい、1986年9月。 
    • 滑川道夫 著「郷土料理につながるふるさとの味」、石毛直道・奥村彪生・神崎宣武・山下諭一 編『日本の郷土料理 第2巻(東北II)』ぎょうせい、1986年。 
    • 山下諭一 著「きりたんぽを食べる」、石毛直道・奥村彪生・神崎宣武・山下諭一 編『日本の郷土料理 第2巻(東北II)』ぎょうせい、1986年。 
  • フランク・B・ギブニー 編「きりたんぽ」『ブリタニカ国際大百科事典:小項目事典2』ティビーエス・ブリタニカ、1973年6月。 

脚注

注釈

  1. ^ ほかに好まれる具材として、サトイモ卵巣を含む鷄モツつみれを入れる場合もある。
  2. ^ シイタケを用いない理由としては風味の他、県北では元々シイタケが「マイタケ採りの副産物として出会うもの」という位置づけであったからである。
  3. ^ 秋田県内の小学校201校のうち、現在も「なべっこ遠足」を実施しているのは15校(全体の7.5%)のみである。きりたんぽの代わりにだまこもちを使う場合もある。

出典

  1. ^ 平凡社 編「キリタンポ(切短穂)」『大辞典』 第八(復刻)、平凡社、1994年、334頁。 
  2. ^ a b 『ブリタニカ国際大百科事典:小項目事典2』(1973)p.377
  3. ^ a b 滑川(1986)p.23
  4. ^ 小松三郎、「秋田」 『日本釀造協會雜誌』 1978年 73巻 1号 p.32-34, doi:10.6013/jbrewsocjapan1915.73.32
  5. ^ 山下(1986)p.48
  6. ^ 日テレNEWS24 きりたんぽ製造の秘けつは「半殺し」?
  7. ^ きりたんぽとは、どういう食べ物ですか。 - 農林水産省”. 2022年6月3日閲覧。
  8. ^ きりたんぽ鍋の作り方 秋田県大館市のホームページより
  9. ^ 本場大館きりたんぽまつり”. 本場大館きりたんぽまつり実行委員会. 2013年7月1日閲覧。
  10. ^ 行政インフォメーション 2011年11月号” (PDF). 「きりたんぽ発祥まつり」・「花輪かっぽ軽トラ市」を開催します. 鹿角市 (2011年11月). 2013年7月1日閲覧。[リンク切れ]

外部リンク


きりたんぽ

出典:『Wiktionary』 (2021/08/18 12:47 UTC 版)

名詞

きりたんぽ切蒲英

  1. 秋田県郷土料理炊いた粳米擂鉢入れてついてつぶしの串に竹輪のように円筒巻きつけて焼いたもので串から飯を抜いて鶏肉野菜きのこなどと醤油だし汁で煮こんだり味噌をつけて食べる。

「きりたんぽ」の例文・使い方・用例・文例

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