エム‐ビー‐オー【MBO】
目標管理
【英】:Management by Objectives
人事管理や業務管理手法の1つ。
社員一人ひとりが一定期間ごとに目標を設定し、進捗管理を行い、達成度を把握し、達成度に応じて次期の目標を設定するという業務のセルフマネジメントのサイクルをしくみとしたもの。
設定した目標の達成度を人事評価と関連させ、処遇に反映する人事管理のしくみとしても機能している。
近年成果主義人事管理への改革に伴い、社員一人ひとりが何をすべきか(目指す成果)を目標として具体的に設定し、設定した目標を確実に達成することを支援するしくみとして、目標管理制度が活用されるようになった。
目標管理の問題として、次のような現場の声が聞こえます。
(1)目標そのものがあいまいなものが多くて困る。
(2)管理者が会社の革新方針を理解してくれなくて困る。
(3)業務を確実に進める上で必要なマネジメントツールとしての目標管理の意味が浸透していない。
そのような問題解決のために、目標管理の運用強化の施策や目標管理研修などの取組みがなされている。
目標による管理
(Management by objectives から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/03/09 01:34 UTC 版)
目標による管理(もくひょうによるかんり、英: management by objectives、略:MBO)、計画による管理(英: management by planning、略:MBP)とは、組織のマネジメント手法の1つで、個々の担当者に自らの業務目標を設定、申告させ、その進捗や実行を各人が自ら主体的に管理する手法である。目標による管理による人的資源管理制度を、目標管理制度(英: management by planning system)という。
概要
1954年に米国のピーター・ドラッカーが著書『現代の経営』(原題: The Practice of Management)で初めて提唱したとされる。この管理システムでは、個人の目標が組織の目標と同期され、従業員のパフォーマンスは設定された基準と比較・測定される。MBOの理論によれば、従業員自身が目標設定や実行すべき行動の選択に関与することで、責任を果たす可能性が高まるとされている[1]。ジョージ・オディオーンによれば、目標管理システムは、上司と部下が共同で共通の目標を特定し、期待される結果という観点から各個人の主要な責任分野を定義し、それらの尺度を部門の運営や各メンバーの貢献度を評価するための指針として使用するプロセスであると説明されている。
目標管理は、ダグラス・マクレガーによって継承され(1953年に"An uneasy look for Performance Appraisal"「業績評価に対する気がかりな見通し」ハーバードビジネスレビュー掲載)、当時の大企業の一部に人事考課制度として導入されるケースも出た。その後は、影響の大きかったものとして、シュレイの『結果の割り付けによる管理』(Management by Results)がある。これは計画と実績の立て方など目標管理の詳細を解説するもので、上野一郎によって直ちに翻訳され、米国のみならず、日本にも大きな影響を与えた。 しかし、米国では当初からMBOには懐疑的な見方も示され(例えば、GE研究やマグレガーなど)、やがて1970年代には徐々に行動評価尺度に代替されていく(例えば、1963年に開発された行動アンカー尺度,Smith)。80年代以降は米国でMBOが議論されることさえなくなっていった[2]。現在ではASTD、SHRM、HR.comなどのサイトで調べても数件しかなく、MBOと言えば、セールスマンの業績評価の際に時々使われるという位置付けである。
用語
目標のよる管理は、「目標管理」ともいうが、この表現では「目標」そのものを管理(マネジメント)することと誤解されやすいので、「目標による管理」が本来の意味を表しているとされる。なお、略語のMBOは、マネジメント・バイ・アウト(MBO、Management Buyout、経営陣買収)と同じだが、「バイ(buy)」そのものが異なるため、これは全く別の言葉である。
フレームワーク
目標管理は、監督者が部下に対し、従業員と会社の両方が近い将来に達成しようと努める一連の具体的な目標を提示し、それらの目標を達成するために協力していくプロセスである[3]。MBOのパラダイムにおいて、マネージャーは特定の期間内に組織が達成できること、および達成すべきことの分析に基づき、企業の使命と戦略を決定する。これらのマネージャーの機能は、各部門の活動を監視・制御できるプロジェクトマネージャーを任命することで集約化できる。これが不可能または望ましくない場合は、組織目標に対する各マネージャーの貢献度が明確に規定される。MBOの5つのステップは以下の通りである。
- 組織目標の再確認
- 従業員の目標設定
- 進捗のモニタリング
- 評価
- 報酬の付与
歴史
ピーター・ドラッカーは、1954年の著書『現代の経営』において「目標による管理」という用語を初めて使用した[3]。MBOの基本的な考え方はドラッカー独自の創出ではなかったが、彼は他のマネジメントの実践例から要素を取り入れ、完全なシステムとしてまとめ上げた[4]。MBOは、メアリー・パーカー・フォレットの1926年のエッセイ『命令の付与』(原題: The Giving of Orders)に着想を得ている。ドラッカーの教え子であるジョージ・オディオーンは、1960年代半ばに出版した著書『目標による経営決定』(原題: Management Decisions by Objectives)でこの概念をさらに発展させた[5][6]。MBOはヒューレット・パッカードなどの企業によって普及し、同社はその成功の要因がMBOにあると主張した[5][7]。この手法は今日でも活用されているが、異なる名称で呼ばれることもある[5]。
最近の研究では、特定の業界に焦点を当て、それぞれの業界に応じたMBOの実践方法を規定することに重点が置かれている。
日本における目標管理
日本では昭和40年代に目標管理の第一次ブームがあったが、さして定着することなくブームは去った。その要因として、次の点が挙げられる。
- 業績を上げることに目標が置かれるあまり、具体的な数値目標として、「売上」の極大化と誤解された。(売上至上主義)
- 自主性を過大評価し、実施途中における組織の関与や行動プロセスが制度的に組み込まれなかった。
- 「目標」に対する「成果」を重視するあまり、成果に対する報酬という金銭的インセンティブだけではなく、人は「情」によって動くものという「人間尊重」の考え方が欠落していた。それは本来、MBOが狙ったものと裏腹のものであった。
「目標管理」は成果目標による進行管理であるが、自主性が無視されたノルマ主義と混同されることも多い。ただ、「目標管理」と言うかどうかは別にして、その考え方は日本の企業において自己申告制度など広く定着している。この点は、幸田一男による『実践 目標による管理』(1993年発刊)に詳しい。幸田によると、度重なる紹介にかかわらず、日本では不況のたびごとにMBOが引き合いに出され、結果重視の管理、成果主義、ノルマ主義が重視されるようになったと指摘されている。
適用
ゼロックス、デュポン、インテルなど、多くの企業がMBOの有効性を高く評価している[8][9]。日本の多くの大企業では、1990年代後半から、従来の日本企業における曖昧な契約とは対照的に、明確な数値目標を用いて成果を測定する「成果主義」の基礎としてMBOが導入された[10]。MBOの実施にあたっては、関連する目標を設定し、その「達成率」を客観的に監視するために経営情報システムが活用されることが多い。
限界
デミングによる批判
W・エドワーズ・デミングは、システムに対する理解の欠如が目標の誤用を招くことが多いと主張した[11]。デミングはまた、生産目標を設定することは、従業員がいかなる手段を使ってでもその目標を達成しようとすることを助長し、結果として品質の低下を招くと述べた[12]。デミングの14のポイントの第7項では、経営者はリーダーシップ活用のために目標管理制度を放棄すべきだと主張している。システムを理解しているリーダーは、目標というインセンティブよりも適切な解決策へと従業員を導く可能性が高いと考え、目標ではなくリーダーシップを重視することをマネージャーに促している。またデミングは、ドラッカー自身もマネージャーに対してシステム的な視点が必要であると警告していたが[13]、MBOの実践者の多くはその警告を無視していると指摘した。
数値目標管理の限界
KPI(業績評価指標)やBSC(バランススコアカード)などによる数値目標管理の限界が指摘されている。例えば、マーク ホダックの調査によると、バランストスコアカード(BSC)により業績給を支給している企業は、S&P 500の15 %を占めたが、その他の企業より平均3.5 %業績が低かったことが明らかになっている[14][15]。
経営層の関与
1991年に行われたMBOの影響に関する30年間の研究の包括的なレビューにおいて、ロバート・ロジャースとジョン・ハンターは、経営層がMBOに対して高いコミットメントを示した企業では、平均して生産性が56%向上したと結論付けた。一方、経営層のコミットメントが低かった企業では、生産性の向上はわずか6%にとどまった[16]。
代替案
ビジョン・戦略・方針管理(VSA)
MBO目標による管理や、KPIやBSCなどの数値目標管理のこれら限界を克服する方法として、ビジョンの共有を重視したビジョン・戦略・方針管理(VSA)[17]が普及してきている。ビジョンでメンバーの意識を束ねてモチベーションを高める効果がある。
OKR
上述の限界と、現代のサービス企業が直面する課題が相まって、MBOの側面を取り入れつつも、より効果的と思われる手法が開発されている。例えば、ジョン・ドーアらによって開発され、Googleなどで成功を収めているOKR(Objectives and Key Results)手法がその一つである[18]。また、アジャイルマネジメントの手法も目標を強く重視している。エンゲージメント、チームのモチベーション、リーダーシップに重点を置いた目標ベースのマネジメント手法のグループは、総じて「目標による管理」手法と呼ぶことができる。
関連項目
脚注
- ^ Thomson, Thomas M.. “MANAGEMENT BY OBJECTIVES”. 2026年1月30日閲覧。
- ^ ただし、情報源はない。
- ^ a b Drucker, P. (1954) (英語). The Practice of Management. New York: Harper
- ^ LaFollette, William R.; Fleming, Richard J. (1977). “The Historical Antecedents of Management by Objectives”. Academy of Management Proceedings 1977 (1): 2-5. doi:10.5465/AMBPP.1977.4976584.
- ^ a b c “Management by objectives”. The Economist. (2009年10月21日) 2026年1月30日閲覧。
- ^ Lambert, Bruce (1992年1月23日). “George S. Odiorne Is Dead at 71; Developed Theory of Management”. The New York Times 2026年1月30日閲覧。
- ^ Hindle, Tim (2008) (英語). Guide to Management Ideas and Gurus. New York: Bloomberg Press
- ^ “Masterclass on Mission Statement from Gordon Moore, co-founder, Intel Corporation”. Gtmhub (2016年9月14日). 2026年1月30日閲覧。
- ^ “Examples of Managerial Objectives”. Small Business - Chron.com. 2026年1月30日閲覧。
- ^ Gagne, Nana Okura (2017). “"Correcting Capitalism": Changing Metrics and Meanings of Work among Japanese Employees”. Journal of Contemporary Asia 48 (1): 67-87. doi:10.1080/00472336.2017.1381984.
- ^ Deming, W. Edwards (1994). Out of the Crisis. MIT Press. ISBN 0-262-54116-5
- ^ Deming’s 14 Points and Quality Project Leadership J. Alex Sherrer, March 3, 2010
- ^ Drucker, Peter, "Management Tasks, Responsibilities, Practices", Harper & Row, 1973
- ^ ホダックの調査
- ^ 数値目標管理(KPIやBSC)の限界
- ^ Robert, John E.; Rodgers, Hunter (1991). “Impact of management by objectives on organizational productivity”. Journal of Applied Psychology 76 (2): 322-336. doi:10.1037/0021-9010.76.2.322.
- ^ ビジョン・戦略・方針:VSA」
- ^ McGinn, Daniel (2018年5月4日). “How VC John Doerr Sets (and Achieves) Goals”. Harvard Business Review 2026年1月30日閲覧。
関連項目
「Management by objectives」の例文・使い方・用例・文例
- Colby KentがHeidi Petersに連絡をした理由
- goodbyはgoodbyeの異綴りである。
- 受身の動作主 《受身の by 以下に示されて動作を引き起こすもの》.
- タクシーで行く 《by cab は無冠詞》.
- 『rubber baby buggy bumper』は早口言葉である
- 「Ruby(ルビー)」と呼ばれる新しいコンピュータプログラミング言語を開発。
- Rubyはプログラム作成を楽しく手軽なものにし,世界中で広く使われている。
- Rubyはウェブサイト作成にも利用できる。
- この言語はRubyとはかなり違っていました。
- 1993年にRubyの開発を始めました。
- Rubyを使って最も簡単なプログラムを動かすのに半年近くかかりました。
- でも,私は進み続け,ついにRubyを完成させました。
- 1995年,Rubyは一般に公開されました。
- 現在はフェローの肩書きをもらい,Rubyに関する開発や講演,執筆に専念しています。
- 7月1日,ウォルマートNWアーカンソー選手権 by P&G の最終ラウンドが米国アーカンソー州のピナクルカントリークラブで行われた。
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