6シグマ
【英】:Six Sigma
6シグマは、結果のバラツキに影響を与える重要特性(CTQ)を特定し、改善するプロジェクト型改善活動をベースとした、経営革新手法である。
ここで、シグマ(σ)とは統計用語でバラツキ(標準偏差)をあらわす指標であり、統計的工程管理では3σが工程の異常を判断する目安とされている。これは、正規分布の±3σから外れる確率は、約0.3%という性質を利用している。同様に6σレベルとは、±6σのことであり、正規分布の±6σから外れる確率は、10億分の2となる。
経営革新手法6シグマでは、短期的なシグマレベルに対して、長期的には、1.5σ分悪化することを経験則から定めており、短期的なシグマレベルの結果からこの長期的なシグマレベルを推定することもある。(例えば、短期的な3σレベルが長期的に1.5σ分悪化した場合は、1.5シグマレベルとなり、正規分布の±1.5σから外れる確率は、約13.4%(片側では6.7%)と推定する場合がある。)
シックスシグマ / 6σ
【英】Six sigma
・業務オペレーション品質管理手法や経営改善方法論の一つであり、統計分析手法や品質管理手法を体系的に使用して、製品製造やサービス提供に関連するプロセス上の欠陥を識別・排除することにより、不良率の引き下げや顧客満足度を改善していくものである。
・シックスシグマは、「製品100万個作ったときの不良率を3~4個にする」という高レベルな目標を達成するための全社的な取り組みである。シグマ(σ)とは、統計学上のバラツキを示す標準偏差のことであり、100万に3~4個という確率は、統計学で「6シグマ(σ)」に相当することから、シックスシグマと呼ばれるようになった。
・シックスシグマは、1980年代初頭に米国モトローラ社が生産プロセスを改善するために開発した手法で、日本の製造メーカー等で実施されていたQC/TQCを研究して生み出された。
・日本のQC/TQCは、現場作業者がQCサークルを作って現場の問題を現場で解決するという日常活動として展開されるが、シックスシグマは、トップマネジメントが改善したいポイントと要件を定義し、ブラックベルトと呼ばれるシックスシグマのエキスパートの下に現場作業者チームが編成され、数ヶ月間の有期的プロジェクトとして改善活動が展開される。
・シックスシグマの活動の内容は、「COPQ(cost of poor quality:製品やサービスの品質不良のために生じる無駄なコスト)」と「CTQ(critical to quality:経営品質に決定的な影響を与える数少ない要因)」を2つの指導原理として、特定の要因やプロセス等を「MAIC」や「DMAIC」のサイクルにあてはめることで、各プロセスをチェックし、欠陥が起こる部分を改善する作業を継続的に行うというものである。
シックスシグマ
シックスシグマ
6σとは不良の発生率(100万分の3.4)を示す統計用語で、このレベルを目標に全社的に業務プロセスを見直し、継続的な経営改善を行う活動である。1980年代にアメリカのモトロール社が日本製の品質に追い付き追い越すことを目標に、日本の製造に学び開発した手法で、95年にGEが全社に導入し大きな成功を収めるとともにソニーや東芝も導入した。体制としてはトップの下に部門統括のチャンピオン、その下に問題解決の専任エキスパートのブラックベルトがおり、彼らはおのおのが課題をもったメンバーチームを複数担当して、改善をはかるものである。プロジェクトはDMAIC(定義、測定、分析、改善、管理)というステップを踏んで活動推進する。
シックス・シグマ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/25 21:03 UTC 版)
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シックス・シグマ(Six Sigma, Lean Six Sigma)とは、1980年代に米モトローラが開発した品質マネジメント手法、または経営手法である[1][2]。
その適用範囲は、主に製造業が中心であるが、製造業の製造部門に留まらず、営業部門、企画部門などの間接部門への適用、更にはサービス業などの非製造業への適用も多い。統計分析手法、品質管理手法を体系的に用いて製品製造工程などの各種プロセスの分析を行い、原因の特定やそれへの対策を行って、不良率の引き下げや顧客満足度の向上などをしていく。
概要と歴史
シックス・シグマの語源となっているのは、統計学における標準偏差を意味するσである。ある品質特性値が(平均値、標準偏差σ)の正規分布に従う製品不良の発生状態において、「100万回の作業を実施しても不良品の発生率を3.4回に抑える」ことへのスローガンとしてシックス・シグマという言葉が使われ、定着していった。
モトローラのシックスシグマ開発に当たっては、日本の製造業で活発に行われているQCサークル活動を参考にしたとされる。ボトムアップ型かつ暗黙知が支配的な日本のQCサークル活動を、トップダウンで行う手法として、また統計学的な手法を取り入れた定量的評価を中心とした手法として開発された。モトローラで考案されたシックス・シグマは、GEが経営全体のプロセス改革に適用して発展させていった。1990年代後半になって日本にも紹介され、1999年に東芝はGEの手法に習い、さらに独自の改良を加えて全社的な適用を行っているほか、ソニーでも導入されている。
統計学の6σとの差異
シックス・シグマで主張する確率(3.4/1,000,000)は、正規分布で6σを超える確率とは異なる数値である。正規分布に従う製品不良の発生状態において、顧客仕様限界の幅を±6σとした場合、それから外れる確率は10億分の2、すなわち0.002ppm[3]である。シックス・シグマにおける値は3.4ppmであり、両者には大きな差がある。
6σの由来を示す。式を簡単にするために分布の上方だけを考えると、工程能力指数の一つである Cpk と顧客仕様限界 USL との関係は、
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リーン・シックスシグマ組織構造 ブラックベルトは、シックス・シグマを遂行するにあたり中心となって推進する人物に授与される。ブラックベルトを補佐する資格として、グリーンベルトがある。
MAIC
MAICとは、シックス・シグマにおける行動プロセスである。QCサークル活動などおけるPDCAサイクルを発展させたものであるが、大きな特徴はM(Measurement)、A(Analysis)という現状分析に、より大きな主眼をおいていることである。
MAICの意味は次のとおりである。下記プロセスを持続的に繰り返す。
- Measurement:測定
- Analysis:分析
- Improvement:改善
- Control:改善定着の管理
方法論/Methodologies
DMAIC手法
DMAICの5つのステップ - Define(定義)、Measure(測定)、Analyze(分析)、Improve(改善)、Control(管理)のステップからなる経営変革手法であり、VOC(Voice of Customer、顧客の声)を基にして事業活動を分析し、データドリブンでプロセスの改善を進める。東芝は、シックスシグマ手法の提唱者であるマイケル・ハリー博士が創設したSix Sigma Academyから正規ライセンスを受けている。
DFACE手法
- Design for Six Sigma手法の東芝版。米国スタンフォード大学と共同で開発した東芝独自の手法である。VOCを基にして、商品企画と製品開発プロセスを革新するもの。Define(定義)、Focus(現状認識)、Analyze(分析、目標設定)、Create(設計、最適化、検証)、Evaluate(確認、評価)のステップからなる。
DFSS/DMADV手法
DMADVの5つのステップ - Define:定義
- Measure:測定してCTQ(Critical To Quality)を特定する(Identify)。
- Analyze:分析
- Design:設計
- Verify:検証
品質管理ツール・メソッド
DMAICやDMADV(DFSS)の各フェーズにおいて、以下の主要なツール・メソッドが用いられる。
- 5 Whys
- 統計手法
- Axiomatic design/公理的設計
- Business Process Mapping/ビジネスプロセスモデリング、プロセスマッピング
- Check sheet/チェックシート、チェックリスト
- Cause & effects diagram (Fishbone diagram)/散布図 or Ishikawa diagram
- Control chart/Control plan (swimlane map)/Run chart
- Cost-benefit analysis/費用便益分析
- CTQ tree
- DoE/実験計画法
- Stratification/層化抽出法
- Histogram/ヒストグラム
- Pareto analysis(Pareto chart)/パレート図
- Pick chart/Rolled throuhput yield (RTY)
- Quality Function Deployment (QFD)/品質機能展開
- Quantitative marketing research/量的市場調査(マーケティング・リサーチ)
- Enterprise Feedback Management (EFM)/エンタープライズ・フィードバック管理
- Root cause analysis (RCA)/根本原因解析
- SIPOC分析 (Suppliers, Inputs, Process, Outputs, Customers)
- COPIS分析
- Taguchi methods (Taguchi Loss Function)/品質工学(タグチメソッド)
- Value stream mapping/バリューストリーム・マップ
東芝の経営変革2001運動(MI運動)
1998年から導入したシックスシグマ手法を用いた経営品質の向上を目的とした運動であり、次の四つの特徴をもっている。
- 顧客第1の思想に基づきVOC(顧客の声)を事業活動の出発点にする。
- トップダウンアプローチで事業全体の最適化を図る。
- 組織を越えたプロジェクト活動を通して成果を達成する。
- 強力な運動推進体制を整備し、グループ全体で展開する。
全体最適から掘り起こされた個々のプロジェクトを定着することによって着実な成果を積み上げていくものであり、東芝はこのシックスシグマ手法を採用したプロジェクト課題の実施にあたり、業績向上施策や業績のビジュアル化と利益向上につながるフォロー体制といった仕組みを独自に構築した。東芝MIはこれらの仕組みと二つの変革手法をMI運動を通して経営変革手法として体系化したものである。
脚注
- ^ “The Inventors of Six Sigma”. 2005年11月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月2日閲覧。
- ^ Tennant, Geoff (2001). SIX SIGMA: SPC and TQM in Manufacturing and Services. Gower Publishing, Ltd.. p. 6. ISBN 0-566-08374-4
- ^ “erfc(6 / √2)”. Wolfram Alpha. 2019年5月6日閲覧。
- ^ “erfc(9 / 2 / √2) / 2”. Wolfram Alpha. 2019年5月6日閲覧。
関連項目
- 製造に関する記事一覧
- TQM
- 先行製品品質計画
- シグマ
- 統計的プロセス制御
- 変革管理
- ジャック・ウェルチ
- ゼネラル・エレクトリック
- バレオコン・マネジメント・コンサルティング
- 品質マネジメント
- 総合設備効率
- 実験計画法(DOE:Design of experiments)
外部リンク
- シックスシグマと経営品質 東芝シグマコンサルティング
- シックスシグマ・トレーニング「5W1H」でのアプローチ(英文サイト)
- 日本人だけが知らない、リーン/シックスシグマ 株式会社ヴィサイプ
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「シックスシグマ」の例文・使い方・用例・文例
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