顧客生涯価値とは? わかりやすく解説

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こきゃく‐しょうがいかち〔‐シヤウガイカチ〕【顧客生涯価値】

読み方:こきゃくしょうがいかち

エル‐ティー‐ブイLTV


LTV   顧客生涯価値


顧客生涯価値 customer lifetime value

企業に対して、現在および将来わたって一顧客がもたらす利益総量既存顧客維持することが長期的にみると企業収益につながるという考え方において重視されている。

顧客生涯価値

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/20 20:34 UTC 版)

顧客生涯価値 (: customer lifetime valueCLVまたは多くの場合CLTV)、生涯顧客価値LCV)、または生涯価値LTV)は、マーケティングでは、企業にとってある一人の顧客が将来の関係全体に寄与する価値 (純利益)の予測である。価値は、将来のキャッシュフローの現在価値と考えることもできる。顧客の獲得や維持にかかる費用は差し引く必要がある。予測モデルは、大まかなヒューリスティックから複雑な予測分析手法の使用に至るまで、さまざまなものが知られている。

顧客生涯価値は、企業が顧客とのより長期的な健全な関係を保つ重要性を示唆している。顧客生涯価値は、新規顧客を獲得するための支出の上限を示し、かけられる広告費用や投資回収率の目安にもなるため重要な指標である。 企業にとっては顧客の新規開拓を行うよりも、現状の顧客を維持させるほうがさらに多くの利益をもたらすであろうと想定が成り立つ。新規の需要が獲得しにくくなった成熟市場でこの概念が特に多く用いられている。

顧客生涯価値という用語の詳細な実例付きの最初の説明は、1988年の本「データベースマーケティング」にあると言われている[1]。 1990年代に、Edge ConsultingやBrand Scienceが顧客生涯価値モデルを採用している。

目的

顧客生涯価値指標の目的は、各顧客の経済的価値を評価することである。ドン・ペッパーズとマーサ・ロジャースは「一部の顧客はよりよい待遇を受ける (some customers are more equal than others)」と述べている[2]。 顧客生涯価値は、CPが過去を測定し、CLVが将来を見据えているという点で、特定の期間における顧客関係に関連する収益とコストの差である顧客収益性 (customer profitability, CP)とは異なる。そのため、CLVはマネージャーの意思決定を形作る上でより役立つ可能性があるが、定量化するのははるかに困難である。 CPの定量化は、過去の活動の結果をまとめることであるが、CLVの定量化には、将来の活動の予測が必要である。

顧客生涯価値:
顧客が会社との関係全体において顧客に起因する将来のキャッシュフローの現在価値。

現在価値は、将来キャッシュフローを割り引いた額の総和である。それぞれの将来キャッシュフローは、1未満の数値 (利子率) で乗算されてから、合計される。乗算係数は、お金の価値が時間の経過とともに割り引かれる方法である。時間ベースのお金の価値は、誰もが後でではなく早く貰いたいが、早くではなく後で支払いたいという直感を捉えている。乗算係数は、選択した割引率(例として年間10%)と各キャッシュフローが発生するまでの時間の長さによって異なる。たとえば、10年後に受け取ったお金は、5年後に受け取ったお金よりも割り引く必要がある。

CLVは、現在価値の概念を顧客との関係に起因するキャッシュフローに適用して考えたものである。将来のキャッシュフロー源の現在価値は、将来のキャッシュフロー源の今日の単一の一括値を測定することで得られ、CLVは顧客との関係の今日の単一の一括値を表す。さらに簡単に言えば、CLVは、企業との顧客関係の金銭的価値である。これは、顧客との関係を獲得するために会社が支払うべき金額の上限であり、顧客との関係を失わないようにするために会社が支払うべき金額の上限でもある。顧客との関係を会社の資産と見なす場合、CLVはその資産の金銭的価値を提示する。

CLVの主な用途の1つは顧客のセグメンテーションである。これは、すべての顧客が等しく重要とは限らないという理解から始まる。 CLVベースのセグメンテーションモデルにより、企業は最も収益性の高い顧客グループを予測し、それらの顧客の共通の特徴を理解し、収益性の低い顧客ではなく高い顧客に焦点を当てるようにできる。 CLVベースのセグメンテーションを財布内シェアモデルと組み合わせて、「CLVは高いが財布内シェアが低い」顧客を特定できる。これらの顧客にマーケティングリソースを投資することで、企業の利益を最大化できると想定できる。

顧客生涯価値指標は、主に人間関係に焦点を当てた事業、特に顧客契約を結んでいる事業で使用される。例としては、銀行および保険サービス、電気通信、およびほとんどの企業間セクターが含まれる。ただし、CLVの原則は、個人または集合的な行動の確率的購入モデルを組み込むことにより、消費財などのトランザクションに焦点を当てたカテゴリに拡張できる[3]。 いずれの場合も、維持率が低いと顧客生涯価値が時間の経過とともにほとんど増加しないため、維持率はCLVに決定的な影響を及ぼす。

モデル

顧客生涯価値には様々な算出モデルが存在する[4]。顧客獲得単価 (CPA, CoCA, CAC) などの一回性費用を考慮するモデル[5]、有期契約を前提としたモデル、割引率を考慮したモデルなど、様々なモデルが存在する。

以下では単位期間あたりの顧客維持率 要購読契約)

  • ^ Tkachenko, Yegor (2015). “Autonomous CRM control via CLV approximation with deep reinforcement learning in discrete and continuous action space”. arXiv preprint arXiv:1504.01840. doi:10.48550/arXiv.1504.01840. https://doi.org/10.48550/arXiv.1504.01840. 
  • ^ V. Kumar (2008). Customer Lifetime Value. ISBN 978-1-60198-156-1. p.6
  • 参考文献

    外部リンク


    顧客生涯価値

    出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/19 08:41 UTC 版)

    顧客維持」の記事における「顧客生涯価値」の解説

    顧客生涯価値により、組織は、特定の期間に組織顧客に対して実現する利益正味現在価値計算できます保持率は、キャンセル求めてアプローチした顧客との関連保持されている顧客総数パーセンテージです。

    ※この「顧客生涯価値」の解説は、「顧客維持」の解説の一部です。
    「顧客生涯価値」を含む「顧客維持」の記事については、「顧客維持」の概要を参照ください。

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