割引現在価値

現在価値
【英】: present value
同義語: 割引現在価値
利子率(貨幣の時間価値)の存在のために、将来の貨幣的収支の現在時点から見た価値は、当該収支の名目価額に対し、時間あたりの利子率および現在時点から当該将来時点までの時間に応じた一定比率だけ減じる(割り引く:discount)心要がある。年間あたり利子率を r としたとき、現在から n 年後の収支の現在価値割引率(繰延係数とも呼ばれる)は、1/(1+r)n で与えられ、 n 年後の収支額Fの現在価値は F/(1+r)n となる。利子率による割引では、貨幣の純然たる時間価値のみが考慮の対象とされ、インフレーション経済下での時間の経過による貨幣の交換価値(購買力)の低下や、将来の貨幣収支そのものの不確実性については考慮されていない。油田開発のような投資プロジェクトにおいては、当初の資金支出に対し、投資収益としての資金の収入は、時間的に将来の長期間にわたって繰り延べられるので、一般に投資プロジェクトの経済分析(投資利益率の算定)に当たっては、あらかじめ将来の収入を現在価値に割り引いたものを、当初投資と対比することによって投資利益率を求める必要がある。 |

割引現在価値
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/01 20:01 UTC 版)
![]() | この記事は英語版の対応するページを翻訳することにより充実させることができます。(2022年9月) 翻訳前に重要な指示を読むには右にある[表示]をクリックしてください。
|
![]() | この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2016年4月) |
割引現在価値(わりびきげんざいかち、英: discounted present value)は将来受け取れるであろう価値を現在受け取った場合の価値である[1]。現在価値(英: present value)[1]、正味現在価値(しょうみげんざいかち、英: net present value, NPV)ともいう。
概要
貨幣価値が将来にわたって不変であるとしても、将来時点において入手可能なある金額を今受け取れば元の額から割り引かれた額となる。この額が元の額の割引現在価値と呼ばれている。これは、貨幣が利子を生んで増えるのが当然である社会において、将来のある時点で貨幣(これに準ずるものを含む。以下同じ。)のある額を入手できる場合、その時点より前にこれを受け取るときに適用される考え方である。
将来の貨幣はこれと同額の現在の貨幣と同価値ではなく、割り引かれてはじめて同価値となる、すなわち将来の貨幣のある金額を現時点で評価すると元の額から割り引かれた額になる。この割り引かれた額が割引現在価値である。
したがって、将来のキャッシュ・フローを今受け取るとすれば、各期のそれを単純に加算するのではなく、それらの割引現在価値を加算する必要がある。例えば、金利が1%の債券に10,000円投資した場合、1年後には価値が10,100円に増える(表参照)。一方で、1年後に10,000円が支払われる約束がしてある債券の現時点における受取額は、割引現在価値である 10000 ÷ 1.01 ≒ 9901 円になる。また、金利1%が10年続くとすれば、10年後に10,000円の割引現在価値は、10000 ÷ 1.0110 ≒ 10000 ÷ 1.1046 ≒ 9,053 円となる。すなわち、次式によって割引現在価値が計算できる。
割引現在価値 = 将来価値 ÷ (1 + 利回り) 期数
現在価値 (円) | 利子率 r | 1 年後の価値 (円) |
---|---|---|
X | →1 年後の価値は→ | (1 + r) X |
Y ÷ (1 + r) | ←1 年前の価値は← | Y |
割引率
割引現在価値を計算する際に使用する利回りのことを割引率という。貨幣価値不変とすれば金利が割引率となり、上記数値例はこの場合を示している。しかし、割引率に他の要素を含めることも可能であり、その際には以下のような要素に留意する必要がある。
金利
現在の価値が将来の価値より割り引かれる理由の一つは、金銭には時間的価値があるからである。したがって、この時間的価値の指標である金利を割引率に加える必要がある。金利については、無リスク状態での率を表すリスクフリーレートなどを参考に設定する。
物価
物価が上昇すると、貨幣の額面が同じであっても価値は下落する。したがって、インフレ率などを割引率に加える必要がある。
リスク
例えば債券については、高リスクのものであれば利回りが高くなる。これは将来の不確実性が利回りに織り込まれるからである。一般的に、リスクの高い事業のキャッシュフローを割引現在価値で評価する際には、リスクの低い事業よりも大きい割引率を用いることになる。
脚注
関連項目
割引現在価値
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 13:17 UTC 版)
現在から将来にわたる利益を積算する場合、それらを単純に足すだけでは問題が生じてしまう。なぜなら、1 年後の X 円と現在の X 円は、同価値ではないからである。 たとえば、現在の X 円は、利子率 r のもとでは、1 年後に (1 + r)X 円に増えているからである。つまり、現在の X 円と同価値なのは、1 年後の (1 + r)X 円であることがわかる。 この関係を利用すると、1 年後の Y 円を、現在の価値に換算するには、Y = (1 + r)X とおくことで、X = Y/(1 + r) であると計算される。 結論として、1 期間の利子率を r としたとき、1 年後の Y 円を現在の価値に直すと、Y/(1 + r) 円になる。このように、将来 (1 年後) の価値を現在の価値に変換するとき、このような (1 + 当該期間の利子率) で割引いた価値で表示したものを、割引現在価値 (discounted present value) という。この操作を、何年にも渡って繰り返し適用することで、遠い将来の価値を現在の価値に変換することができる。 現在価値と 1 年後の価値現在価値 (円)利子率 r1 年後の価値 (円)X →1 年後の価値は→(1 + r)X Y/(1 + r) ←1 年前の価値は←Y
※この「割引現在価値」の解説は、「DCF法」の解説の一部です。
「割引現在価値」を含む「DCF法」の記事については、「DCF法」の概要を参照ください。
割引現在価値と同じ種類の言葉
- 割引現在価値のページへのリンク