秘操兵(《八の聖刻》)
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「聖刻1092」の記事における「秘操兵(《八の聖刻》)」の解説
神代の太古から存在する八騎の操兵。神の写し身とも言える存在であり、厳密には(現在の)操兵とは似て非なるものである。より正確に言えば、《八の聖刻》こそが真の操兵であり、現在の操兵はそのデッドコピーに過ぎない。 八騎は四騎ずつ“白”と“黒”の陣営に分かれており、それぞれ王、女王、騎士、僧正の四つの位がある。それぞれが、神代の太古の巨神族や龍族など超絶的な力を持った種族の勇士を≪真・聖刻≫に聖刻化し、機械仕掛けの身体を与えた存在である。筋肉筒や心肺機で構成され仮面で制御される機体は操兵とほぼ同じ構成であり、「選ばれし者」と呼ばれる操手を必要とするのも操兵と同じだが、操手は次元の狭間からエネルギーを取り出すための部品でしかなく、やがては機体に取り込まれ長持ちするように「保守」されながら、使役される運命が待っている。 自意識を物質化した≪真・聖刻≫がその本体と言える存在であり、自ら思考し行動する。≪真・聖刻≫は力の根源であり、不滅の存在である。仮面を砕かれようが機体を焼き尽くされようが、やがては≪真・聖刻≫の力で再生してしまう。つまり、「滅ぼす」ことは出来ず、かろうじて「封じる」ことしかできない。 操兵としての《八の聖刻》の力は別格であり、操兵の王といえる力を持っている。完全覚醒状態ならば一万人の意識を同時に操作し、数百リーの範囲の操兵から力を吸収して行動不能に陥れ、一般の操兵ならば一睨みするだけで仮面が外れ待機状態に戻ってしまう。結印も行わず強力な障壁を張り、素手で重装甲の狩猟機の装甲を紙のごとく切り裂く。機体の種別はほぼ万能と言うべきもので、物理法則をも改竄し、最高階梯の練法の連続発動と機械的な限界を超えた超高機動の物理戦闘とを並行して行う。実態としては、「機械じかけの神」と呼ぶのが最も適切である。 《八の聖刻》はおよそ千年周期で目覚め、相手陣営と戦いを続けている。不滅の≪真・聖刻≫に宿る意思は、不滅の身体を得て、同じく不滅の敵と果てしない戦いを続けてきたのだ。しかし、器は不滅でも意思そのものは不滅ではなかった。あまりに長い年月の間に意思が変質(単純化)してしまったのである。結果、自己の生存と敵対する《八の聖刻》を討つことを第一とするようになっており、過去いくつもの文明を巻き添えとして滅ぼしてきた。白が秩序・善、黒が混沌・悪といった善悪論で語れうるものではなく、いうなればどちらも人類にとっては脅威・災厄であることに変わりは無い。 彼らの闘いにはジュレミィと何者かとによって「白・黒ともに同時に覚醒してよいのはそれぞれ1機のみ」「互いの拠点を直接攻撃してはならない(ゆえに、ダム・ダーラはウルオゴナを使嗾して白の陣営であるホータンを間接的に滅ぼしている)」等の約定が課せられているが、ジュレミィと約定を結んだ相手が誰かについては《封印者》たるリムリアがフェンから直接名を示されても一切知覚することすらできないようになっている。 なお、現在のヴァシュマールとハイダルの戦いの前には、約500年前に西方で≪白き女王≫と≪黒き女王≫が「女王戦争」と呼ばれる戦いを起こし、大惨禍を招いた。 ≪真・聖刻≫(ラ・ワース) 《八の聖刻》の本体というべきもの。ヴァシュマールとハイダルは聖刻石、ヴァルダ・カーンはその手に持つ杖などその形態は様々であり、通常の操兵の常識が通用しないことの一端を示すものでもある。たとえ使い果たしても外から吸収することで再び力を取り戻すことができる。 力だけでなくあらゆる情報を記録することができ、個人の全情報を移すことで人格そのものを移植することができる。 選ばれし者 《八の聖刻》の操手は「選ばれし者」と呼ばれる。未覚醒状態であっても神の現し身たる《八の聖刻》を起動させ操縦するには、通常の操手よりも遙かに厳しい適性が要求される。一方で、覚醒した《八の聖刻》では<真・聖刻>と操手それぞれの意思が同時に機体に内在する。無論のことながら、思うがままに動きたい<真・聖刻>からすれば、操手の意思や操縦は邪魔となる。それゆえ、<真・聖刻>にとって「選ばれし者」は不完全な部品の一つとしてしか扱われず、その意思を剥奪し完全に取り込む機会を常時窺われている。 精霊界から力が汲み出されると、相殺される形で実世界の「何か」が精霊界へ送られることになる。通常の操兵が駆動する分には微々たる量であるが、《八の聖刻》同士が全力で対決した場合に消費されるエネルギーの量は凄まじく、補填するために山脈すら消滅しかねないと予想されている。《八の聖刻》の覚醒が世界の破滅に繋がると懸念されているのは、直接の戦闘力による破壊の他に、このような理由もあるのである。 ニキ・ヴァシュマール(白き操兵/白の一) ニキ・ヴァシュマール(「穢れた王」の意)白き操兵(リュード・ムレ・オーラ)聖刻番号1092 類別秘操兵 所属《八の聖刻》 生産機体は<白き帝国>、仮面は不明 面齢4000歳以上→10000歳以上 機齢2500歳 全高2.1リート 全備重量8.15グロー 搭乗者フェン 武装聖剣エル・ミュート 三節昆 フェンの父ハオがカロウナ村にたどり着いた際に持ち込んだ操兵で、東方製とも西方製とも異なる狩猟機。かなりの年代物で詳しくは判らない。 その後はずっと納屋に放置されていたが、グルーンワルズ襲撃の際にフェンが持ち出し、さらわれたリムリアを追ってフェンの旅が始まる。 烏帽子のような細長い兜と白い装甲が特徴。かなり大型の機体で、尖った兜のせいもあって全高は2リート (8m) を超えている。背中に大剣を装備するが、錆び付いているのか抜くことができない。見習いだったとはいえ修行僧であったフェンは刃物を扱うことが許されず、また本能的な理由で刀剣の扱いを嫌うため、特別に注文した伸縮自在の三節棍を武器としている。 その正体は≪八の聖刻≫の一つ「白き王」。太古の巨神族の勇者フェンが仇敵である黒龍ハイダルとの闘いで死亡したのち、その肉体と精神とを聖刻化されることで生み出された存在(装甲もまた、勇者フェンの遺品であった鎧を用いている)。後に「白き王の帝国」の時代に大幅な機体改修を受けている。属性は風門。≪真・聖刻≫は仮面の額に嵌め込まれている65個目の巨大な聖刻石だが最初にフェンが乗り込んだ時点では失われており、当初は単なる老朽機にしか見えない状態だった。 2500年前に、白き王の操兵として超絶的な力を振るい「白き王の帝国」を築いたが、来たるべき「黒の王」との闘いにより王が生体部品として取り込まれることを憂いた王妃リムリアが王を毒殺することによって解放したため、「選ばれし者」を失ったまま封印されていた。聖都計画の途中で白亜の塔の地下に安置されていた≪真・聖刻≫を取り戻し、《八の聖刻》としての力を取り戻していく。次第に意思が強烈になり、第二部ではルアンムーイでフェンの意志を無視して巨大な竜巻を発生させ、青龍騎士団を文字通りに壊滅させる。第三部に至っては「選ばれし者」フェンを取り込み、完全な存在になろうと図る。 背中に背負った大剣の正体は勇者フェンの武器であった聖剣エル・ミュートであり、一度抜き放てば《八の聖刻》ですら屠る力を持つが、それゆえに多大な制約を課され、滅多に抜くことができない。 両者の覚醒が進むに伴い、フェンとの関係は単なる操兵と操手から神器と部品・不完全な神と失われた魂・勝手に動き回る片割れと半神という形へと変化を遂げている。 第四部冒頭では自ら<白亜の塔>の活動炉のエネルギー源となるべく塔内に赴いている。だが、獣機を引き連れたカイユ・ミカルドが迫るにあたって単独出撃。二度の熱線照射により市街の巻き添えなど意にも介さず獣機の群れをたちまち灰の山に変えると、即座にカイユとミカルドの上空に転移し、巨大な風の刃で<白亜の塔>上層部もろともレイヴァーティンとヴァルダラーフを両断。その後、戻ってきたフェンに叱咤され、おとなしく着陸する。聖都の修復がある程度成ったあとは炉を離れ、フェンとリムリアを乗せてダム・ダーラとの決着をつけるべく旅立つ。 ハイダル・アナンガ(黒き操兵/黒の一) ハイダル・アナンガ(肉体なきハイダル)黒き操兵(リュード・ムレ・オーム)聖刻番号不明 類別秘操兵 所属《八の聖刻》 生産機体は不明、仮面は不明 面齢4000歳以上→10000歳以上 機齢3000歳以上 全高2.0リート 全備重量不明 搭乗者ダム・ダーラ / ゾマ 武装聖剣エル・ミュートに対極する黒き剣 黒い鉈 ≪八の聖刻≫ の一つにして ≪白き操兵≫ ヴァシュマールの対極にあたる ≪黒き操兵≫ の一体、「黒き王」。全身漆黒の機体で、丸みを帯びた独特の装甲をしている。左腕に大盾、背中には翼のような機構と、自在に動いて敵を攻撃する蛇状の管を二本持っている。≪真・聖刻≫は仮面の65個目の聖刻石であり、太古の龍族の<狂王>ハイダルが勇者フェンと相討ちになった後に聖刻化された存在。属性は土門。 聖刻教会の創始者である 『八聖者』 がおよそ2千5百年前、死闘の末に北方の聖なるホーマ樹の下に封印した。≪真・聖刻≫はまだ樹の下にあり、中原に出現したハイダルは獣機をもとに数十年かけて制作されたレプリカの機体に本来の仮面を据え付けたもので≪真・聖刻≫もつけられておらず「選ばれし者」であるダム・ダーラも搭乗していない極めて不完全な存在であるが、仮面に備わる強力な意思がために全く問題なく動作する。事実、操手抜きの状態でありながら、バラーハの首を一刀の元に討ち取っている。 本来の武器はエル・ミュートと対になる邪剣《黒き剣》だが、手元から失われている現在では闇より生み出した漆黒の鉈を操る。 生前は<狂王>・<黒竜王>の二つ名を持って畏れられた黒龍族の長であり、巨神族と互いの存亡をかけた「聖龍大戦」を勃発させている。兵卒や操兵のみならずハイダル自らが生み出した亜龍(亜竜とは異なる)や操兵獣機化技術までをも投入したこの戦いは、すでに種族として行き詰まりにあった巨神族・黒龍族の双方を最終的に絶滅に至らしめた。 力のみならず性格的にもまさに真龍たる矜持を持っていた様子で、<黒の陣営>による搦手については宿敵であるフェンをして「ハイダルが主導しているなら堂々と正面から襲ってくる」とまで言わしめ、また生前においては「ネズミ」として見下していた現生人類の先行きについてもジュレミィと念話で会談を行うなど王者の風格を示していた。 ヴァルダ・カーン(黒き操兵/黒の四) 《八の聖刻》の一つ。黒き僧正。<黒炎龍>カーンが聖刻化した存在。属性は火門。 旧ヒゼキアのカーン神殿に封印されていたが、ハイダルが敗れると同時に目覚める設定がなされていた。本体である≪真・聖刻≫は、手にした炎蛇の錫で、必要なら機体を零から再構築するヴァシュマールやハイダルと異なり、通常はこの錫で他の操兵に取り付いて乗っ取り、自分の身体として活動する。このため決まった姿を持たず、取り込んだ機体の能力も合わせて使うことができる。 しかし、充分な力を蓄えたときは、取り込んだ機体を再構築して真の姿を取り戻す。機体の特性は狩猟兵よりも現在の呪操兵に近く、強大な炎を操る一方で近接戦闘の能力はヴァシュマールには到底及ばず、随時強力な障壁を張り巡らせることで欠点を補っている。 名称不明(白き操兵) 《八の聖刻》の一つ。白き女王。機体名は不明。 500年前の西方で起きた『女王戦争』で≪黒き女王≫と戦った。その際の「選ばれし者」はジュレ・ミィの前世にあたる人物であり、『聖刻群龍伝』にも登場する練法師匠合「至高の宝珠」を従えていた。 名称不明(黒き操兵) 《八の聖刻》の一つ。黒き女王。機体名は不明。 500年前の西方で起きた『女王戦争』で≪白き女王≫と戦った。 バルチサス?(白き操兵?) 《八の聖刻》の一つ。白き騎士?。 SFCゲーム、真・聖刻は、当初舞台設定が本作と共通とされており、登場する操兵バルチサスは《八の聖刻》の一つ「白き騎士」とされていた。しかし、小説の執筆が進むと設定に整合性が取れなくなってしまい、この設定が本作に取り入れられるかは不明になってしまったとのことである。
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