松岡小夏【マツオカコナツ】(果樹)
※登録写真はありません | 登録番号 | 第8652号 |
登録年月日 | 2001年 2月 9日 | |
農林水産植物の種類 | かんきつ | |
登録品種の名称及びその読み | 松岡小夏 よみ:マツオカコナツ |
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品種登録の有効期限 | 25 年 | |
育成者権の消滅日 | 2004年 2月 10日 | |
品種登録者の名称 | 松岡努 | |
品種登録者の住所 | 高知県宿毛市宇須々木802番地 | |
登録品種の育成をした者の氏名 | 松岡努 | |
登録品種の植物体の特性の概要 | ||
この品種は、「宿毛小夏」の枝変わりであり、果形が扁球、果重がやや軽、果皮色が黄緑の育成地(高知県宿毛市)では1月下旬~2月上旬に成熟するかんきつである。樹姿は開張、樹の大きさはやや小、樹勢は弱である。枝梢の太さ、節間長及びとげの多少は中である。葉身の形は紡錘形、波状の程度は中、葉身の大きさは小、葉身長は中、葉身幅は狭、網脈の鮮明度はやや明瞭である。翼葉の形は痕跡、葉柄の長さは中、太さは細である。花序の形成は総状、花(花蕾)の重さは重、花弁の形は紡錘形、長さは中、幅は極広、色は白、数は5枚、花糸の分離の程度は一部合一、花粉の多少は多である。果実の形は扁球、果形指数は中、果頂部の形は平坦、放射条溝の有無は有、凹環の有無は不明瞭、果梗部の形は球面、放射条溝の多少は極多である。果心の充実度は密、大きさは極小、果実の重さはやや軽、果皮の色は黄緑、油胞の大きさは小、密度は中、凹凸は平、果面の粗滑は粗、果皮の厚さ、果皮歩合及び剥皮の難易は中である。じょうのう膜の硬さ、さじょうの形及び大きさは中、色は黄である。果汁の多少は多、甘味は高、酸味及び香気の多少は中、種子数はかなり少、胚の数は単胚である。発芽期及び開花期は中、成熟期はやや早で育成地においては1月下旬~2月上旬である。隔年結果性はやや高、浮き皮果の発生及び裂果の発生は無、貯蔵性は中である。「宿毛小夏」と比較して、果梗部放射条溝が多いこと等で、「西内小夏」と比較して、果梗部放射条溝が多いこと、成熟期が早いこと等で区別性が認められる。 | ||
登録品種の育成の経過の概要 | ||
この品種は、平成元年に育成者のほ場(高知県宿毛市)において、普通小夏に「宿毛小夏」を高接ぎし、2年に枝変わりを発見、以後、増殖を行いながら高知県幡多農業改良普及センターの協力を得て特性の調査を継続し、8年にその特性が安定していることを確認して育成を完了したものである。なお、出願時の名称は「サンクイーン小夏」であった。 |
ヒュウガナツ
(松岡小夏 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/11 05:18 UTC 版)
ヒュウガナツ | |||||||||||||||||||||
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ヒュウガナツ
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Citrus tamurana Hort.[1] ex Takah. (1927)[2] | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ヒュウガナツ (ヒュウガナツミカン、コナツミカン) |
ヒュウガナツ(日向夏[3]、学名: Citrus tamurana)は、ミカン科ミカン属の常緑低木の柑橘類。原産地は宮崎県で、江戸時代に発見された。果実は皮も果肉も黄色く食用とし、苦味もほとんどない[3]。別名、「小夏」「ニューサマーオレンジ」。
起源
原産地は宮崎県で、1820年に宮崎市の真方安太郎の邸内で偶発実生として自生しているのが発見された。発見時には酸味が強く、食べられることはなかったが、その後に広く栽培され始めた。
現在は宮崎県以外(高知県、愛媛県、熊本県、静岡県伊豆半島、神奈川県西部など)でも栽培されているが、他県では小夏(こなつ)[3]や土佐小夏(とさこなつ)、ニューサマーオレンジ[3]という別称で出荷されていることが多い。
宮崎県の木原果樹会が1992年から宮崎大学農学部の指導の下に温室での「種なし栽培」に取り組み、その結果「種なし日向夏」ができるようになった[4]。
名前
宮崎県属だった教育者の田村利親(1856-1934、高知県出身)が宮崎で栽培されている「カンキツ」が優秀であることを認め、1887年に「日向夏蜜柑」と命名した[5]。田村は日向夏の穂木と苗木を高知県長岡郡新改村(現・香美郡土佐山田町)の実家の父・利保に送り、そこから苗木の増殖・栽培が始まったと言われる[6]。日向夏を世に紹介した功労者である田村利親の名前を記念し、学名は柑橘研究の世界的大家として知られる田中長三郎により、Citrus Tamurana Hort.TANAKA(シトラス・タムラナ)と命名された[7]。
特徴
ヒュウガナツはユズに由来する在来品種と考えられていたが、タチバナが花粉親であることが遺伝解析で推定されている(種子親は不明)[8]。
6月頃に成熟する果実は温州みかんよりやや大きく、約300グラム (g) ある[3]。表皮は黄色で厚さがあり、果肉は酸味があり甘さが控えめで独特の風味が強い。どちらかというと、グレープフルーツやレモンの味に近い。表皮は温州みかんと比べるとでこぼこが少なく、のっぺりとしている。
他の柑橘類とは違い、果実の表皮における白い部分(内果皮、アルベド)もそのまま食べられるので、皮の黄色い表面(外果皮)だけを薄く剥いで食べるほうがよい。この白い部分はふかふかとした食感であり、苦みや渋みはない。
日本における収穫量は2005年が5,386 トン、2010年が5,714 トンであり、その内訳は宮崎県55%、高知県28%となっている[9]。
変異種
枝変わり等による変異種には以下のものがある。
- 「室戸小夏」:高知県で発見された「日向夏」の枝変わりで、無核性で果実の大きさは小(100~120g)で「日向夏」よりかなり小さい[10]。
- 「白鳥日向」:静岡県賀茂郡で発見された「日向夏」の変異種。「日向夏」と比較して、果実が大きく果面は平滑で種は少ない[11]。
- 「宿毛小夏」:高知県で発見された「日向夏」の変異樹であり、「日向夏」と比較して、酸味が少なく成熟期が早い[12]。
- 「西内小夏」:高知県で発見された「日向夏」の枝変わりで、種子の数は少ない。「日向夏」、「室戸小夏」及び「宿毛小夏」と比較して,自家不和合性が弱く生理落果が少ない[13]。
- 「井原日向」:静岡県賀茂郡で発見された「日向夏」の変異種。「日向夏」と比較して樹勢はやや開帳であり、「白鳥日向」と比較すると樹勢は強く種子数は多い[14]。
- 「松岡小夏」:高知県で発見された「宿毛小夏」の枝変わり。「宿毛小夏」と比較して、果梗部放射条溝が多い。「西内小夏」と比較して、果梗部放射条溝が多く成熟期が早い[15]。
育種親としての利用
「日向夏」を育種親等とする品種には以下のものがある。
- 「阿波オレンジ」:「日向夏」に「トロビタオレンジ」を交配したもの[16]。
- 「ひめのつき」:「アンコール」に「日向夏」を交配したもの[17]。
- 「KKM7号」:「日向夏」に「かんきつ中間母本農1号」を交配したもの[18]。
- 「エクリーク118」:「日向夏」に「今津ポンカン」の珠心胚実生を接ぎ木した接合部から発生した周縁キメラから育成したもの[19]。
- 「はるか」:「日向夏」の自然交雑実生から育成したもの[20]。
- 「カンキツ口之津41号」:「日向夏」の茎頂にコルヒチン処理をして育成したもの[21]。
- 「はるひ」:「興津46号」に「阿波オレンジ」を交配したもの[22]。
- 「璃の香」:「リスボンレモン」に「日向夏」を交配したもの[23]。
食べ方
- そのまま食べたり(黄色い外果皮は剥く)、果汁を絞ってジュースにする。
- 外果皮を剥いた後に、ふかふかの白い皮を多く残すようにスライスし、砂糖をかけて食べる。
- 太巻きの中の具や餃子の具にする。宮崎県発祥と言われるレタス巻きの具にも使用される。
- 皮を利用してマーマレードにする。
- 一般的な柑橘類と同じく果実酒にする。
その他
ギャラリー
脚注
- ^ 植物の命名において、普通19世紀かそれ以前の著名な園芸上の文献で見られるが、適切に公表されたことのない名を表す。hortulanorumの略。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Citrus tamurana Hort. ex Takah. ヒュウガナツ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月21日閲覧。
- ^ a b c d e 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、191頁。ISBN 978-4-415-30997-2。
- ^ 木原果樹会の日向夏(宮崎特産キュラカフェ)
- ^ 田村利親歴史が眠る多磨霊園
- ^ 土佐の果物語(17) 第3部 小夏編(1)伝来 3つの名前持つ高知新聞、2002.02.11
- ^ 日向夏発見200年みやざきブランド推進本部
- ^ Tokurou Shimizu; Akira Kitajima, Keisuke Nonaka, Terutaka Yoshioka, Satoshi Ohta, Shingo Goto, Atsushi Toyoda, Asao Fujiyama, Takako Mochizuki, Hideki Nagasaki, Eli Kaminuma, Yasukazu Nakamura (November 30, 2016). “Hybrid Origins of Citrus Varieties Inferred from DNA Marker Analysis of Nuclear and Organelle Genomes” (英語). PLOS ONE 11 (11): e0166969. doi:10.1371/journal.pone.0166969 .
- ^ 農林水産省特産果樹生産動態等調査2013年7月22日閲覧
- ^ 農林水産省品種登録データベース「室戸小夏」2013年6月19日閲覧
- ^ 農林水産省品種登録データベース「白鳥日向」2013年7月19日閲覧
- ^ 農林水産省品種登録データベース「宿毛小夏」2013年6月19日閲覧
- ^ 農林水産省品種登録データベース「西内小夏」2013年6月19日閲覧
- ^ 農林水産省品種登録データベース「井原日向」 2013年7月19日閲覧
- ^ 農林水産省品種登録データベース「松岡小夏」2013年6月19日閲覧
- ^ 農林水産省品種登録データベース「阿波オレンジ」2013年7月19日閲覧
- ^ 農林水産省品種登録データベース「ひめのつき」2013年7月19日閲覧
- ^ 農林水産省品種登録データベース「KKM7号」2013年7月19日閲覧
- ^ 農林水産省品種登録データベース「エクリーク118」2013年7月19日閲覧
- ^ 農林水産省品種登録データベース「はるか」 Archived 2015年5月9日, at the Wayback Machine.2013年7月19日閲覧
- ^ 農林水産省品種登録データベース「カンキツ口之津41号」2013年7月19日閲覧
- ^ 農林水産省品種登録データベース「はるひ」2013年7月19日閲覧
- ^ 農林水産省品種登録データベース「璃の香」2016年2月04日閲覧
- ^ “宮崎駅前にシンボル登場「日向夏ポスト」”. 宮崎県農業協同組合中央会 (2020年11月26日). 2023年10月15日閲覧。
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