東京オリンピック会長就任後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 13:34 UTC 版)
「森喜朗」の記事における「東京オリンピック会長就任後」の解説
英語は敵国語 2014年2月9日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長として冬季五輪開催中のソチで会見し、執行部が高齢で語学力に乏しいことについて、「第2次大戦時、英語は敵国語だった」「昔はボール、ストライクも『よし』『駄目』と日本語を使わされて野球をやっていた。私の世代はよほど特別に勉強した方じゃないと外国語をよく理解しない」と説明した。 大事なときには必ず転ぶ 2014年2月20日、ソチオリンピックのSPで浅田真央に転倒が相次いだことに関して、「見事にひっくり返った。あの子、大事なときには必ず転ぶ」と福岡市での講演で述べた。フィギュアスケート団体への出場に関しても「負けるとわかっていた」とし出場するべきではなかったとの主張を展開した。アイスダンスのキャシー・リード、クリス・リード組に関しても「(米国代表として)五輪出場の実力はなかったが、帰化させて日本選手団として出した」と述べた(リード兄弟は日米両方の国籍を有していたが日本国籍を選んでおり、帰化したわけではない)。浅田は帰国後の会見の中で「私は別に今なんとも思っていないですけど、たぶん(森さんが)ああいう発言をしてしまったことについて森さんは今少し後悔をしているのではないかなというふうに、少しは思っています。」と感想を語った。 国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない 2016年7月に自チャンネルでリオデジャネイロの壮行会で、日本人選手が国歌を斉唱しなかったことを「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」と批判したが、実際には独唱であり誤解である。 東京五輪の予算について 2020年東京五輪・パラリンピックの関連施策として国が直近5年間で8011億円を支出したと会計検査院が指摘したことに、大会組織委員会会長の森は2018年10月4日「この機会に将来の日本のためになる、国民のためになる、その恩恵を受けることができるということであれば(大会に関連がある行政経費を)ある程度認めていかなければいけないのではないでしょうか」と必要性を強調し、一方で「予算編成で、(五輪への)いわゆる便乗みたいなことは、厳に慎んでほしい」とも述べた。 李登輝への弔辞 2020年7月30日の李登輝の死去を受け、8月9日に弔問団の団長として訪台。蔡英文総統と会談して安倍首相の事実上の名代として訪台した旨を説明し、謝意を受けている。海外からの最初の李登輝への弔問団であり、遺影の前で「台湾はあなたが理想とした民主化を成し遂げ、台湾と日本は自由と民主主義、人権、普遍的な価値を共有する素晴らしい親善関係・友好関係を築き上げた」などとする弔辞を読み上げた。 オリンピック延期の世論調査について 1月初旬に行われた複数の世論調査で、オリンピック東京大会に対して、「中止もしくは再延期」で今年の開催に否定的な声が8割に達したことに言及し、「開催すべきが1月の調査で14%、12月から半減した。再延期は1月が44%で12月は32・2%だった。ただ、再延期というのは開催するべきだという声。58%が開催してほしいという意見だ」と、強調した。さらに、「今のコロナで、こういう騒ぎでやっている時に、『オリンピックどうですか?』と聞かれたら、何と答えますか?答えようがないでしょう。まして一般国民が、“明日、子供や孫の成人式が中止になった”“来月結婚式の予定をどうしようか”と、そういう時期に、なぜあえてこういう『五輪をやるべきか』『延期すべきか』『中止すべきか』という世論調査をするのか。世論の動向を見るのは大事なことだけど、これをこうして発表しなければならんのかなと。私には疑問がある」と、投げかけた。 有名人の聖火ランナーについて 2021年2月2日、自民党本部にて行われた東京大会実施本部合同会議の役員幹部会において、同年3月25日から実施予定の東京オリンピック聖火ランナーについて、密集対策の一環として、「有名人は田んぼ(の沿道)を走ったらいいんじゃないか」と発言。これらの発言を理由として、愛知県犬山市において、聖火ランナーを務める予定だったお笑いタレントの田村淳(ロンドンブーツ1号2号)は聖火ランナーを辞退することを同年2月3日に明らかにした。 女性蔑視発言 2021年2月3日、日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、「これはテレビがあるからやりにくいんだが、女性理事を4割というのは文科省がうるさくいうんですね。だけど女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります。これもうちの「恥」を言いますが、ラグビー協会は今までの倍時間がかる。女性がなんと10人くらいいるのか今、5人か、10人に見えた(笑いが起きる)5人います。 女性っていうのは優れている所ですが、競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね、それでみんな発言されるんです。結局女性っていうのはそういう、あまりいうと新聞に悪口かかれる、俺がまた悪口言ったとなるけど、女性を必ずしも増やしていく場合は、発言の時間をある程度規制をしておかないとなかなか終わらないから困ると言っていて、誰が言ったかは言いませんけど、そんなこともあります。 私共の組織委員会に女性は何人いますか? 7人位おられますが、みんなわきまえておられます。 みんな競技団体からのご出身で国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりです。ですからお話もきちんとした的を得た、そういうのが集約されて非常にわれわれ役立っていますが、欠員があるとすぐ女性を選ぼうということになるわけです。」と発言した。世界的な批判に発展 この発言に対して、TwitterなどのSNSで多くの批判の声が上がったほか、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト、ロイター通信やAFP通信といった日本国外のメディアも批判的な論調で報じた。また、ヨーロッパ各国・欧州連合の駐日大使館やトヨタ自動車・JR東日本などの東京オリンピックパートナー(スポンサー)各社からも批判や遺憾のコメントが相次いだ。その後、日本スポーツとジェンダー学会は2021年2月4日に緊急声明 を発表した。 世界的な批判に繋がったものの、経済学者の池田信夫によれば、評議員会での「発言を規制する」という部分が他人の話を森が引用した部分であったが、ニューヨーク・タイムズの報道で主語が森に置き換わり、それがハフポストの記事に逆輸入され「女性蔑視発言」として広まったことから、森の「女性蔑視発言」はフェイクニュースである、と述べている。 また、オリンピックでのボランティアや聖火ランナーを辞退する動きも広がり、2021年2月10日の時点でボランティア辞退者は500人超、聖火ランナー辞退者は前述の田村淳を含む3人に上っていることが報じられた。 2014年にAERAで男性の会議の長さに苦言を呈した北原みのり は森の発言に対し「差別発言で、許されない」「昼間の会議では発言せず、女性のいない夜の会食で重要な決定をしてしまうような男性中心の文化」と批判した。また、自らが呼びかけ人となった2月11日の「性暴力の無い社会を求めるフラワーデモ」にて「あらゆるセクシャリティーや性別にかかわらず、みんなで一緒に社会を変えたい」と訴えた旨が赤旗に報じられた。 釈明会見と会長辞任 2021年2月4日、毎日新聞の取材において、今回の発言について「一般論として、女性の数だけを増やすのは考えものだということが言いたかった。女性を蔑視する意図はまったくない」と釈明した。 なお、同日に行われた記者会見において、「(今回の発言に対する批判について)どう受け止めるつもりか」という質問に対し、「謙虚に受け止めております。だから、撤回をさせていただきますとい言っているんです」と回答。しかし、自身の辞任は否定した。「女性の話が長いと思っているか」という質問に対しては、「最近、女性の話を聞かないから、あまりわかりません」と回答。今回の発言を「誤解」と表現している事について聞かれると、各競技団体から女性が多いと会議が長いという話をよく聞くことをあげ、「そういう風にきいておるんです」と回答した。なお、具体的な団体名については明言を避けた。記者の質問を遮り「そういう話はもう聞きたくない」「おもしろおかしくしたいから聞いているんだろ」と発言するなど、質問にいらだちを見せる場面もみられ、謝罪会見を開いたにもかかわらず本人が謝罪すべき内容を全く理解していない「逆切れ会見」として、世論の大きな反発を招いた。 2021年2月12日に行われたホワイトハウスによる会見では、報道官のジェン・サキが「森氏の発言は容認できない」と記者の質問に答える形で明言し、「さらなる対応についてはチームと協議する」と話した。 同12日、森は理事会と評議員会の合同懇談会に出席し、女性蔑視発言の責任を取り、ついに辞任を表明した。その後、会長職には様々な人物への打診がなされた後に、橋本聖子が引き継ぐことになった。 本人は「私自身は女性を蔑視する気持ちは毛頭ない」と本発言にて言われている事を否定しており、「解釈の仕方だと思う。そういう(女性蔑視の)意図で言ったわけではない。多少意図的な報道があったと思う」と述べた。 一連の発言について次のように、森を擁護する見方もある。日本オリンピック委員会(JOC)の会長山下泰裕はスポーツ基本法、ナショナルトレーニングセンター(NTC)、ラグビーW杯などの功績を挙げ「パラリンピックをはじめとした障がい者スポーツにも熱心だった。JOCに対しても『何で自分たちのことしか考えないんだ』とか『もっと寄り添うことができないんだ』と、たびたび叱責された」と擁護した。 前東京都知事の舛添要一は「私が都知事時代に競技施設建設費を数千億円節約できたのは森氏のおかげだ。」と述べた。 このほか、松岡久蔵のようにガンの治療を続けながら組織委員の仕事を続け、小池百合子が都知事に就任した際の計画変更をパフォーマンスにしか過ぎないとし、現場の混乱を調整する尻拭いに奔走したと評価する見方もある。 辞任の方向と報じられた後、Twitterでは「#森喜朗さんありがとう」のハッシュタグが多数投稿された。
※この「東京オリンピック会長就任後」の解説は、「森喜朗」の解説の一部です。
「東京オリンピック会長就任後」を含む「森喜朗」の記事については、「森喜朗」の概要を参照ください。
- 東京オリンピック会長就任後のページへのリンク