景気への影響とは? わかりやすく解説

景気への影響

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 15:28 UTC 版)

聖域なき構造改革」の記事における「景気への影響」の解説

野口旭田中秀臣は「構造改革目的は、経済供給側の効率化であり、景気回復ではない」「構造改革が必要となるのは、政府規制などによって、『資源配分の歪み』が生じており、社会的に望ましい生産消費水準達成できなくなっている状況においてである」と指摘している。 田中秀臣は「景気回復させる手段は、財政・金融政策というマクロ経済政策であり、構造改革ではない。政策割り当て錯誤に陥っているのが『構造改革なくして景気回復なし』である」と指摘している。田中は「確かに規制緩和民営化は重要であるが、デフレ放置したままではその効果は非常に限られてしまう。この政策では『総需要増やす』『国民使えるお金増やす』といった視点抜け落ちている。構造改革は、企業シェア争い激化させるだけの政策である」と指摘している。 岩田規久男は「『政策割り当て』を間違えて構造改革景気対策割り当てると、『合成の誤謬』に陥り、構造改革自体失敗する」「デフレ放置したまま構造改革進めても、マクロ経済全体安定にはつながらないマクロ経済安定して初めて、構造改革成功する」と指摘していた。岩田は「無駄をなくし、稀少資源効率的に使うことはもちろん重要であるが、需要不足している状況で、無駄だけを削減しても、無駄と切り捨てられた人・土地設備などが他の企業で有効利用されるとは限らない」「それらを他の企業に有効利用されるようにするためには、需要不足を解消するマクロ経済安定化政策が必要である」と指摘している。 野口旭田中秀臣は「構造改革リストラは必要ではあるが、総需要不足している状態では、むしろデフレ促進させる要因となる」と指摘している。 森永卓郎は「小泉政権標榜している『改革』の多くは、経済縮小させていく『デフレ政策』である」と指摘していた。 経済学者円居総一は「供給サイド強化重視した小泉改革が、結果的に日本の『失われた15年』を招いた」と指摘している。 円居は「小泉構造改革需要落ち込み促進させ、デフレ期待根付かせてしまいデフレ長期構造化させた」と指摘している。 竹森俊平は「コイズミノミクスとは、一言でいって『輸出主導経済成長』である。実際小泉首相就任してから、日本輸出依存度輸出額をGDP割った値)は約2倍に拡大している」と指摘している。 経済学者原田泰は「小泉政権第1次安倍政権下では、公共投資減少しているのが特徴的である。政府最終消費支出横ばいであり、両者合わせて政府支出減少していた。すなわち、財政政策抑制されていた中でGDP伸びていたのである小泉政権下の金融緩和緊縮財政組み合わせという政策成功したことを再認識すべきである」と指摘している。 高橋洋一は「小泉政権は、積極的なマクロ経済政策行っていなかったが、税収ビルト・イン・スタビライザー機能し受動的なマクロ経済政策となっていた。実際のデータを見る限りケインズ的な景気下支え機能持っていた」と指摘している。 田中秀臣は「財政赤字対GDP比を見ると、小泉政権以前1998-2000年度の平均は7.9%であったが、小泉政権になってからの2001-2004年度の平均は7.8%であった。つまり、それ以前政権とほとんど変わらない」と指摘している。田中は「小泉政権構造改革路線は、当初改革路線早々に放棄され経済政策的に何もしなかったこと=目標喪失起きた評価できる財政政策緊縮避けたことと、為替介入その後景気回復大きく貢献した」と指摘している。また田中は「2003-2006年末まで回復基調だったと言われているが、偽物景気回復でしかなかった。外需による輸出産業中心に企業収益改善したが、名目賃金はまった伸びなかった。名目成長率伸びない限り所得水準上がらないからである」と指摘している。

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景気への影響

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 23:36 UTC 版)

日本の消費税議論」の記事における「景気への影響」の解説

2013年4月12日財務相諮問機関である財政制度等審議会財政制度分科会で、財政健全化向けて消費税率引き上げ必要だとの認識一致し分科会長の吉川洋東大教授会合後の記者会見で「消費税上げて経済全体がマイナスの影響を受けることはないとの考え方総意である」と述べている。 エコノミスト安達誠司は「消費税率引き上げ経済与えネガティブ影響について多くエコノミスト根拠としているのは、1989年1997年実施され過去2回の消費増税経験、及び欧州諸国事例である。これらのケースにおいて、消費増税そのもの景気大きく押し下げた明確な理由見当たらない」と指摘している。 小黒一正は「(消費増税成長率低下させるとは限らない1989年4月消費税導入時(3%)と、1997年4月増税消費税率3%から5%)の2回の増税では、実質経済成長率その後の動き異なる。1997年増税では、増税前後1996年から1998年まで3年間で、実質経済成長率は2.6%(1996年)→1.6%(1997年)→マイナス2%(1998年)と推移し一貫して低下しているが、1989年消費税導入時増税前の1988年から1989年にかけて、実質経済成長率は7.15%(1988年)から5.37%(1989年)と一時的に低下しているものの、増税後の1990年には5.57%に上昇している。1991年以降実質経済成長率が急低下しているのは、バブル崩壊影響である」「消費税増税景気停滞する危惧する人もいるが、その主張税収増による将来不安の解消などのプラスの面を無視した話である。一時的なショック除き消費増税景気停滞起きない」と述べている。 経済学者富田俊基は「消費税引き上げだけで、景気悪くなることはない。引き上げ前に需要先食いする駆け込み需要があって、引き上げた直後反動経済成長率悪くなるかもしれないが、全体ならして考え必要がある」と述べている。 岩井克人は「消費増税は、短期的に消費に対してマイナスとなるだろうが、法人税減税などと組み合わせればインパクト最小限抑えることができる」と指摘している。 「景気が悪い状態で増税をしたらさらにひどくなるではないか」という議論について、土居丈朗は「消費税増税によって1997年家計消費減少したという現象観察されないという経済学研究がある」「消費税引き上げられるということ予告されれば、人々できるだけ早めに買い物をしようとするのでデフレ止まる」「消費税増税を含む緊縮的な財政政策は、円安要因につながるということ経済学では知られているので、輸出増え景気対す影響軽微で済む」と指摘している。土居は「(消費税増税により後世債務ツケ回さないようにした分だけ消費が減るのは、今を生きる世代世代間の責任全うするコストである」と指摘している。 エコノミスト岩田一政は「消費増税短期的に見れば明らかに景気にマイナスの影響があるが、欧州では財政破綻現実起こっており、日本潜在的にそのリスク抱えている」と指摘している。 経済学者小幡績は「当時1997年)、消費税率引き上げ景気にマイナスに働いたことは間違いない重要なことは、純粋に経済効果だけを考えればすべての税金経済成長にマイナスという事実である。これを忘れて税制議論行なっているため、経済的な議論政治的な議論混同されている。1997年と同様、消費増税以外の要因景気悪化しても『消費増税間違いだった』ということにされるからである。そうなれば景気ありえないほどよくない限り消費税率上げるべきではないということになってしまい、今後増税機会永遠に失われる」と述べている。 経済学者野口悠紀雄は、2015年10月予定されていた消費増税について「景気に関係なく上げるべきである。消費税経済悪影響与えるのは当たり前であるが、増税しないと財政対す信頼失われ金利高騰するその方日本経済にとってはるかにダメージ大きい」と指摘していた。しかし、2014年12月消費税増税延期決定した後も、長期金利は低水準の状態が続き2016年2月には初めてマイナスを記録した経済学者井堀利宏は「(消費税を)一度上げると、駆け込み需要とその反動起き可能性が高い。特に耐久消費財駆け込み需要とその反動大きく民間経済活動悪影響与える」と述べている。 高橋洋一は「消費増税は、増税前に駆け込み需要もたらし増税後はその反動とともに増税による可処分所得減少通じて需要減退がある。駆け込み需要とその反動減は、ならしてみれば影響はないが、増税分の消費減少効果がある。それは『消費増税による需要減』である」と指摘している。高橋は「消費増税すると景気落ち込むのに、それをやらないと金利の高騰によって景気の腰が折れてしまう。この二つ意見正しいとすると、消費増税はやるにしてもやらないにしても景気悪くなってしまうことになる」と指摘している。また高橋は「政府日銀試算では、(消費増税してもたっぷり財政支出増やすので、景気落ち込まないとなっている。民間シンクタンクでも、増税しても景気落ちないという結論は、増税しても派手にバラマキをするという前提である。マクロで税金集めて政府がすべて配れ景気影響はなくなるはずだが、政府が金を民間から吸い上げて政府が配るというのはまともではない方法である。具体的にいえば、消費税増税負担する一般庶民泣いて減税公共支出で潤う既得権者が得をするという不公平なのであるこうしたことをやると結局経済成長はできなくなる」と指摘している。 エコノミスト片岡剛士は「消費税増税は、増税前に駆け込み需要生じ一方で増税後に駆け込み需要分だけ反動減が生じるため民間消費支出民間住宅投資影響与える。また、消費税増税分に対応した物価上昇によって実質所得低下し総需要を減らす」と指摘している。また片岡は「消費税増税行なうと、課税対象品目価格増税分だけ上昇する一方で課税対象品目への需要減少することで逆に価格下落する効果もある」と指摘している。 浜田宏一は「消費税税率が2倍になると、社会的な損失は2倍ではなくその2乗つまり4倍となる」「(消費増税して景気がよくなったという例はないし、増税しても歳入増えるとは限らないというのが橋本政権のときに行った増税以来答えである」「財務省経済刺激して税収増えないという試算している。税率を何%上げるかというようなことだけに終始している。消費増税についても消費が減ることを考慮していない」と指摘している。 高橋洋一は「1989年4月(3%)、1997年4月(3%から5%)のいずれの消費税増税も、増税前後比較すれば成長率低下している。それはGDP大きな構成要素である消費低下するからである。消費税増税前後2年間の平均で見ると、実質GDPでは1989年増税前の6.2%が増税後に5.3%、1997年増税前の2.5%が増税後に-0.8%へとそれぞれ低下し低下幅はそれぞれ0.9%と3.3%となっている」と指摘している。また高橋は「1989年消費税創設では、物品税同時に廃止したので、消費増税影響中和されている」と指摘している。 安達誠司は「消費税率引き上げは、ポリシーミックス考えると、金融政策量的緩和政策)に大きな負荷をかける」と指摘している。 2020年2月増税対策キャッシュレス決済ポイント還元補助金出したものの総務省によると2019年12月消費支出前年同月比-4.8%で3カ月連続となった

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