景気動向と地上げ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 14:55 UTC 版)
1980年代後半のバブル景気の時には、地価が右肩上がりで上昇を続けた。こうした中で、暴力団が関わり暴力的手段によって立ち退きを迫ったり、金銭に糸目を付けない買い取りを行うなど、強引な手法で土地の売買を行う業者が目立つようになり、地上げ屋はネガティブな表現として用いられることが多かった。当時のテレビドラマやアニメ・漫画作品でも暴力団まがいの地上げ屋が描写されることが多く、『ドラゴンボール』に登場するフリーザも当時の地上げ屋を基に考案されたキャラクターである。また、高橋陽一の漫画『翔の伝説』で、テニスクラブ同士による乗っ取りをめぐる攻防が出てくるが、これも当時の地上げ屋の暗躍がモチーフとなっている。 1991年 (平成3年)にバブル崩壊が起き、東京都区部の地価が下落。それに伴い、地上げ屋は目立たなくなっていった。地上げ途中だった街区は、買収済みの更地がまだら状に残り、旧来の町並みは破壊されたまま、再開発も進まないという「中途半端な状態」で放置され問題となった。その空き地は、固定資産税対策として「駐車場運営」で細々と運営されている。 その後、1990年代後半に諸外国からの資金により不動産ファンドが活性化、市場に勢いが出てくると、それに釣られて地上げ屋は再び姿を現すようになった。 2000年代に入り、景気回復に伴って、オフィスなど不動産市場は活況を呈した。だが、サブプライム問題などもあり、不動産市況に水を差され、活動が沈静化した。民間業者が主体の日本とは対照的に中華人民共和国では土地が全て国有と公有であることから土地使用権の売買を財源にしている地方政府が暴力団や警察も動員して死傷者も出す地上げ行為を行って人権問題となっており、強引に立ち退きを迫る政府に抵抗する住民が孤立化させられる釘子戸が世界的に注目された。 2015年には、1980年代に地上げで宅地が虫食い状態になった、東京都新宿区富久町の一角にあった土地を都市再開発した富久クロスが完成し、話題となった。
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