操縦室音声記録装置 による概要とは? わかりやすく解説

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操縦室音声記録装置 (CVR) による概要

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 03:58 UTC 版)

日本航空123便墜落事故」の記事における「操縦室音声記録装置 (CVR) による概要」の解説

事故回収され操縦室音声記録装置 (CVR) には、182412秒から185628秒までの3216秒間音声残されていた。下記その内マスコミ流出したカセットテープ記録されたもので、123便と東京航空交通管制部東京進入管制所横田基地などとの交信概要東京コントロール東京ACC) - 東京航空交通管制部所在地埼玉県所沢市東京アプローチ東京APC) - 東京進入管制所所在地羽田空港YOKOTA APPROACH CONTROL横田管制) - 横田基地 はじめに残っていた音声は、操縦席客室乗務員とのやり取りだった。 182435秒頃:伊豆半島南部東岸上空静岡県賀茂郡河津町付近)を巡航高度24,000フィート (7,300 m) へ向け上昇中、23,900フィート通過したところで衝撃音が発生し客室高度警報音が1秒間3回鳴動した続いて機長が「まずい、なんか爆発したぞ」と発言直後オートパイロット解除され機体エンジンランディング・ギア等の表示)の点検が行われ、4つエンジンランディング・ギア等に異常がなかったが、航空機関士が「ハイドロプレッシャー油圧機器作動油の圧力)を見ませんか」と提案する2447秒:JAL123便が緊急救難信号スコーク7700」の無線信号発信信号東京ACC受信された。 25分:機長東京航空交通管制部羽田へ引き返すことを要求した無線交信の後、機長副操縦士対しバンク傾きそんなにとるなマニュアル手動操縦)だから」「(バンクを)戻せ」と指示。しかし、副操縦士は「戻らない」と返答したその際航空機関士油圧異常に低下していることに気づいた。この時機体は、垂直尾翼垂直安定板下半分のみを残して破壊され補助動力装置喪失油圧操縦システム4系統全て損傷及んだ結果操縦システム必要な作動油が全て流出し油圧使用したエレベーター昇降舵)やエルロン補助翼)の操舵不能になった。 2521秒:123便機長トラブル発生連絡とともに羽田空港への帰還22,000フィート (6,700 m) への降下無線要求東京ACCはこれを了承JAL123便は伊豆大島へのレーダー誘導要求した管制部は、右左どちらへの旋回をするか尋ねると、機長右旋回を希望した羽田空港緊急着陸迎え入れる準備入った2654秒:チーフパーサーは全客室乗務員対し機内アナウンス酸素ボトル用意指示した27分:異常発生からわずか3分足らずで航空機関士が「ハイドロプレッシャーオールロス(油圧全て喪失)」と発出コールアウト)した。 機長らは異常発生直後から墜落まで操縦不能になった理由把握できていない模様であった油圧系統全滅認識しながらも油圧での操縦試みていた。同じころ、客室気圧減少していることを示す警報音が鳴っているため、とにかく低空降下しようとした。しかし、ほとんどコントロールできない機体にはフゴイド運動ダッチロール生じピッチングヨーイングローリング繰り返したDFDRには機首上げ角度20度 - 機首下げ15度機体傾き60度 - 左50度の動き記録されていた。 27分2秒:東京ACC123便に緊急事態宣言する確認し123便から宣言出された。続いて123便に対してどのような緊急事態かを尋ねたが、応答はなかった。このため東京ACCJAL本社123便が緊急信号を発信していることを知らせる。 2831秒:東京ACC123便に真東に向かうよう指示するが、機長は「But Now Uncontrol(現在操縦不能)」と応答東京ACCは、このとき初め123便が操縦不能に陥っていることを知る。管制室のスピーカーがONにされ、123便とのやり取り管制全体共有される31分2秒:東京ACCからの降下が可能かの問い対し123便は降下中と回答東京ACC羽田空港より近く旋回の必要も最低限で済む愛知県西春日井郡豊山町名古屋空港緊急着陸提案するが、123便は羽田に戻ることを希望する航空機地上との無線交信は英語で行われているが、管制部は123便の機長負担考え母語ある日語の使用許可以後123便とは、ほとんど日本語交信された。 31分40秒:航空機関士対し客室乗務員から客室収納スペース破損した報告が入る。33分、航空機関士緊急降下(エマージェンシー・ディセンド)と酸素マスク着用提案35分、羽田空港ある日航のオペレーションセンターとの交信では航空機関士が「R5(機体右側最後部)のドアブロークン破損しました」と連絡している。 33分頃:JALカンパニーラジオ社内無線)で123便に交信求める。 3533秒:123便からR5のドア破損したとの連絡があった後、その時点で緊急降下しているので、後ほど呼び出すまで無線聴取するよう求められJAL了承した37分:機長ディセンド降下)を指示する機首は1,000m余りの上昇や降下繰り返すなど、不安定な飛行続けた38分頃、これを回避するためにランディング・ギア降ろそうとするが、油圧喪失のため降ろせなかった。 40分:航空機関士提案で、バックアップシステムを用いてランディング・ギア降ろした機体富士山東麓北上し山梨県大月市上空急な右旋回をしながら、高度22,000フィート (6,700 m) から6,000フィート (1,800 m) へと降下その後羽田方面に向かうものの、東京都多摩市付近上空左旋回し群馬県南西部山岳地帯へと向かい始める。機体ロール軸振幅縮小して多少安定した4044秒:東京ACCが、123便と他機との交信分けるため専用無線交信周波数割り当て123便に周波数変更求めたが、応答はなかった。 4154秒:逆に123便を除く全機に対してその周波数変更するよう求め交信指示があるまで避けるように求めた。だが一部航空機通常周波数交信続けたため、管制部は交信をする機に個別指示し続けた45分36秒:航空無線傍受していた横田基地123便の支援乗り出し、英語で123便にアメリカ空軍用意した周波数変更するよう求めたが、123便からは「Japan Air 123、Uncontrollable(JAL123便、操縦不能)」と応答した東京ACCが「羽田コンタクトしますか(東京APC交信するか)」と123便に尋ねるが、123便は「このままお願いします」と応答した46分:機長が「これはだめかも分からんね」と発言。やがて機体山岳地帯上空へと迷走していく。47分頃からは彼らの中でも会話頻繁になり、焦り見え始めていた。右、左との方向転換繰り返し指示される中で、操縦している副操縦士に対して機長が「山にぶつかるぞ」と叫ぶなど、緊迫した会話数回記録されている。この時機体は6,000フィート (1,800 m) 前後さまよっていた。48分頃には航空機関士が、操縦する副操縦士に「がんばれー」と励ますとともに、たびたび副操縦士補助をしていた様子記録されている。機長機首下げ指示に対して副操縦士は「今舵いっぱい」と返答している。 4710秒:123便は千葉県木更津市レーダーサイト誘導するよう求め東京ACC真東へ進むよう指示し、「操縦可能か」と尋ねるが、123便は「アンコントローラブル(操縦不能)」と応答した。この時、東京ACC管制官123便との交信中に「ああっ」という叫び声聞いたとされる49分:機首39度に上がり速度108ノット (200 km/h) まで落ちて失速警報装置作動したこのころから機体安定感崩れ何度も機首の上下げ繰り返したこの間機長が「あーダメだ。終わったストール失速する)」と発言するまでに追い詰められながらも、諦めことなく「マックパワー(最大出力)、マックパワー、マックパワー」などと指示していた。 49分:JALカンパニーラジオで3分間呼び出し行ったが、応答はなかった。 50分:「スピード出てます スピードが」と困惑する副操縦士機長が「どーんといこうや」と激励発言機長の「頭下げろがんばれがんばれに対して副操縦士は「今コントロールいっぱいです」と叫んでいる。機長が「パワーピッチコントロールしないとだめ」と指示エンジン推力により高度を変化させる操縦始めた思われるが、左右出力差で方向変えた形跡見当たらなかった。速度頻繁に変化し不安定な飛行続いたため、副操縦士速度に関して頻繁に報告をしている。 51分:依然続くフゴイド運動抑えるために電動フラップ出され53分頃から機体安定し始めた5330秒東京ACC123便に交信求めるが、123便は「アンコントロール(操縦不能)」と応答横田管制は「横田基地緊急着陸受け入れ準備入っている」と通知5345秒東京ACCが「周波数119.7に変えてください」と、東京APC無線周波数へ変更するよう求め123便は了承した54分:クルー現在地を見失い航空機関士羽田現在地尋ね埼玉県 熊谷市から25マイル (40 km) 西の地点であると告げられるその間、しばらく安定していた機体機首が再び上がり速度が180ノット (330 km/h) まで落ちた出力操縦桿操作機首下げ試みた機首は下がらなかった。 5425秒:123便は東京APC現在地尋ね、「羽田から55マイル (89 km) 北西で、熊谷市から25マイル (40 km) 西」と知らされた。 5501秒:機長副操縦士フラップ下げられる尋ね副操縦士は「はいフラップ10(度下がっている)」と返答しフラップ出し機体水平に戻そうとした。 55分5秒:東京APCから123便に対し、「日本語にて申し上げます」と前置きし、「こちら(羽田)のほうは、アプローチレディ (approach ready) になっております。尚、横田調整して横田ランディング (landing) もアベイラブル (available)になっております羽田横田緊急着陸可能の意)」と知らせ航空機関士が「はい了解しました」と応答、これが123便と地上との最後交信となった。その直後東京APCが「インテンション (intention) 聞かせてください」と、123便に今後意向尋ねた応答はなかった。その後東京APC横田管制123便に対して呼び出し行ったが、応答はないままだった。 5512秒フラップ下げた途端南西風あおられ機体は右にそれながら急降下し始める。5515秒から機長機首上げ指示43秒、機長が「フラップ止めな」と叫ぶまでフラップ最終的に25度まで下がり続けた45秒、「あーっ!」という叫び声記録されている。50秒頃、機長の「フラップみんなでくっついてちゃ駄目だ」との声に混じって副操縦士が「フラップアップ、フラップアップ」と叫びすぐさまフラップ引き上げたがさらに降下率上がったこの頃高度は10,000フィート (3,000 m) を切っていた。 5600秒頃:機長パワーフラップ上げるよう指示する航空機関士が「上げてます」と返答する07秒頃には機首36度も下がり、ロール角最大80度を超えた機長最後まで「あたま上げろー、パワー」と指示し続けた56分7秒頃:わずかに機首上げて上昇し始めた5614秒:クルー必死努力空しく機体降下し続け対地接近警報装置GPWS)が作動。高度3000mから、1600mまで降下していた。 5623秒:23秒の直前には「PULL UP上昇せよ)」との警告音とともに機長の「もうダメだ」とも聞き取れ叫び声記録されていた(報告書では機長発言は「判読不能」とされていた)。右主翼機体後部尾根樹木接触し衝撃で第4エンジン脱落した。このとき、機首上げるためエンジン出力上げたことと、急降下したことで、速度340ノット (630 km/h) 以上に達していた。接触後、水切りのように一旦上昇したものの、機体大きく機首下げ右に傾き始め、その角度70度にも達した5626秒:機体は傾いたまま右主翼先端稜線激突し衝撃で右主翼先端わずかに残る垂直尾翼水平尾翼、第1・第2・第3エンジン脱落。この時の衝撃反動で、右主翼稜線引っかかる形で機体前のめり反転した5628秒: 稜線激突した衝撃電源落ちフライトレコーダーボイスレコーダーの記録はここで途絶える5630秒動力尾翼失った機体高天原山群馬県北東斜面にある尾根にほぼ裏返しの状態で衝突墜落した墜落時の衝撃によって、機体前部から主翼付近構造体原形とどめないほど破壊され離断した両主翼とともに炎上した機体客室後部後部分離し、山の稜線超えて斜面滑落ていった客室後部尾根への激突免れて斜面に平行に近い角度着地し樹木なぎ倒しながら尾根斜面滑落して時間をかけて減速したこのため最大衝撃小さくそれ以外部位比較して軽度損傷とどまり火災発生しなかった。これらの要因によって、客室後部座席座っていた乗客4名は奇跡的に生還できた。 57分:横田管制123便に「貴機は横田北西35マイル (56 km) 地点におり、横田基地最優先着陸できる」と呼びかけ東京ACC123便に横田基地周波数変更するよう求めたが、既に123便は墜落していた。 八ヶ岳横岳より見た秩父山地墜落地点

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