異常発生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 02:53 UTC 版)
「アロハ航空243便事故」の記事における「異常発生」の解説
ハワイ標準時13時25分、AQ243便はホノルルへ向けてヒロ空港を出発した。副操縦士が操縦を担当し、有視界飛行条件下で飛行した。 離陸して順調に上昇したAQ243便は、予定の飛行高度2万4000フィート(約7300メートル)で水平飛行に移った。その直後の14時(ハワイ標準時)頃、大きな破壊音とともに胴体の前方上側の外壁が吹き飛んだ。機長が振り返るとコックピットのドアがなくなっていて、客室の天井があるべきところに空が見えた。減圧への対処として両パイロットとFAAの同乗者は酸素マスクを着用した。コックピットは激しい風騒音に襲われ、パイロット間のコミュニケーションは手信号(ハンド・シグナル)で行われた。 減圧が発生した際の通常手順は、可能な限り速やかに高度を落とすことである。機長は即座に操縦を取って代わり、スピードブレーキを使用して緊急降下を開始した。降下時の速度は指示対気速度 (IAS) で280ないし290ノット(時速約519 - 537キロメートル)だった。機長によると「舵が効きにくい傾向があった」ものの操縦は可能であった。 減圧発生時にシートベルト着用サインは点灯中で、乗客は全員着席していた。客室乗務員の一人は座席5列目のあたりに立っていて、目撃した乗客によると胴体左側の穴から瞬時に外に吸い出された。2列目に立っていた客室乗務員は破片が頭に当たり床に倒れた。彼女は重度の脳震盪と頭部裂傷を負った。15列から16列目にかけて立っていた客室乗務員は、床に倒されて軽度の打撲を負った。彼女は床を這いながら通路を移動して乗客を落ち着かせた。 乗客は座席から身動きできなくなった。外壁が失われたことで乗客の眼前に空が、眼下には海が広がった。倒れた客室乗務員が飛ばされないように、周囲の乗客は手を伸ばして掴んだ。乗客同士で体を支えあう場面もあった。死を覚悟して家族宛に別れのメッセージを書きつけた乗客もいた。 機長は乗客用の酸素マスクを作動させたものの、胴体分離に伴い客室への配管が破壊されて、乗客は酸素供給を受けることはできなかった。
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