オフィス・ティンカーベルの人々
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「半分、青い。」の記事における「オフィス・ティンカーベルの人々」の解説
赤坂にある、秋風の自宅兼マンガスタジオ。鈴愛が入所する寮「秋風ハウス」が隣接している。 秋風 羽織(あきかぜ はおり) 演 - 豊川悦司 本名は美濃権太(みのごんた)。1989年時点で作品累計が5000万部超の、売れっ子少女漫画家。1992年時点では「月刊ガーベラ」に『チープスリル』が連載されている。美術大学を中退後、大阪で百科事典のセールスマンになるが、30歳手前の時に漫画家を志し退社。アルバイトをしながら投稿しプロになった経歴を持つが、常に担当編集者には恵まれず歩んできた。感情が高ぶると河内弁を発する。 1985年、S状結腸癌に冒されるが摘出手術を受け一命を取り留める。1989年から体調の不調を感じるも癌の再発を恐れ定期検診を受けずにいた。1990年に菱本の説得で受診し直腸癌の罹患が判明するが、早期段階のため内視鏡による摘出手術と2日間の入院で事なきを得る。 公には人物像はシークレットとされてきたが、実体は長髪でサングラスをかけ、黒い服を身にまとった、物事に強いこだわりを持つ気難しい中年男性(1990年時点で50歳すぎ)で、妻も家庭も持たず、かつて3頭の犬と1羽の兎を飼っていた。読者の顔を見たい動機で開催したトークショーを機に公に姿を公表する。 名古屋のトークショーで鈴愛が差し入れした五平餅を気に入り、彼女を楽屋に呼び入れる。その際に彼女が書いた漫画の原稿も見せられ、基礎を踏んでいない手法ながらも才能を見込んで弟子入りを誘う。 鈴愛がオフィス・ティンカーベルで働き始めて間もなく、鈴愛を「岐阜の猿」と呼ぶ。五平餅食べたさで鈴愛を誘ったことや、競争社会で殺伐とする「秋風塾」の潤滑油的役割を期待したメシアシとしての採用だったことを明かすが、彼女に食い下がられて、与えた課題を達成したことを認め、秋風塾の特待生にする。後に、ほかの2人とは違い、山を駆け回っていたリアルさが鈴愛の持ち味とも本人に語る。 秋風塾の3人に対しての漫画の指導は厳しい。一方、デビューが決まった裕子の将来を考え担当者との仲介や連載を紹介したり、破門になったボクテの原稿持ち込み先に陰で口利きしたり、鈴愛の連載作品のストーリー転換の打診を出版社側からされた際は、鈴愛の感性を尊重し拒んで作風を守るなど、面倒見は良い。1999年の鈴愛が漫画家を辞める時、「私の人生を豊かにした」と3人について語る。2010年時点でも漫画家を続けている。ユーコが好きな『A-Girl』の続編を彼女の生還を祈って、2011年の東日本大震災発生後の「月刊ガーベラ」に載せるため描く。3月28日には、律と鈴愛に宛てて速達で短い手紙を送る。 菱本 若菜(ひしもと わかな) 演 - 井川遥 秋風の有能な女性秘書(マネージャー)。気難しい秋風も、彼女の言うことだけは素直に聞く。美人で、ファッションはピンクハウス系。 中学は親元を離れて全寮制。お茶の水女子大学を首席で卒業後、大手出版社である「散英社」に入社。27歳時に妻子持ちの編集長と恋に落ちるが、出世のために彼が手のひらを返し失恋。社内に居づらくなったところを担当する当時中堅漫画家の秋風に雇用された過去を持つ。 普段はクールで冷静な性格だが、怒ると早口で言葉をまくし立てる癖を持つ。また、正人の「鈴愛の彼氏」という冗談に「先を越されるとは」と発言したことから、独身で恋人もいないことが示唆されている。鈴愛と涼次の結婚式の時に撮影されたビデオでも同様の発言をしている。 鈴愛を陰で「五平餅」とあだ名するが、秋風の創作にいい刺激になる存在ではないかと思っている。 小宮 裕子(こみや ゆうこ)→浅葱 裕子(あさぎ ゆうこ) 演 - 清野菜名 秋風の若手アシスタントで秋風塾生。「ガーベラ漫画セミナー」の特待生。鈴愛と同年齢。愛称は「ユーコ」。 実家は世田谷区の裕福な家柄で、自身も小学校からずっと私立の一貫校の女子校で学んだ。小学生の時に骨折して入院した際に看護婦から『ユー・メイ・ドリーム』を教えてもらい、以降お気に入りの楽曲にしている。これが縁で看護婦を将来の夢としていたが、母がフランスかぶれで厳しい毒親であることから反対を恐れて言い出せずにいた。後に母は再婚していることもあり、1990年の時点では自身と軋轢が生じていた。特に好きな秋風作品は『A-Girl』。 鈴愛と出会った当初は、無口で表情は乏しく、オフィス・ティンカーベルの職場環境を「3K」と評し、「秋風は危険な香り」と忠告する。また、家族愛や人間関係に恵まれて育った鈴愛に嫉妬し、甘え上手な調子者である性格を指摘して取っ組み合いの喧嘩となるが、やがて彼女の努力や人柄を受け入れて謝罪し、打ち解ける。 大御所の原稿が落ちた穴埋めで、「月刊ガーベラ」1992年4月号に小宮裕子名義で『5分待って』が読み切りで掲載され、秋風塾の中では最初にプロデビューする。その夏には同社の週刊青年漫画誌「ビッグイブニング」での連載が決まる。 秋風からは「ドラマに向いている」と評される一方で、1995年『5分待って』は145話時点で読者人気投票で下から2番目となり、担当編集者から残り3回での打ち切りが告げられる。以来スランプに陥り、主要部分の執筆をアシスタントに任せ、着飾って頻繁に夜遊びに出かけるなど荒んでいく。やがて合コンで知り合った浅葱と結婚してインテリアコーディネーターを目指すことを決め、漫画家を引退。同年8月27日に挙式する。 1999年の時点では長男(クウちゃん)がおり、子供の誕生を機に実母と和解している。2003年末、夫の仕事の都合で仙台に転居することを鈴愛らに告げる。2007年に看護学校に入学。看護師になり、2010年時点では仙台にある海が見える病院に勤務していたが、2011年3月11日の東日本大震災の津波で被災し死去。享年40。戒名は『慈温厚裕大姉』。 藤堂 誠(とうどう まこと) 演 - 志尊淳 秋風の若手アシスタントで秋風塾生で、「月刊リリー」の佳作常連者。 ゲイの美青年で愛称は「ボクテ」(「僕って」が口癖のため)。高校生時代はコミケで活躍し「金沢の鬼才」と呼ばれていた。実家は「藤堂呉服店」だが、両親に漫画家への夢やゲイであることを理解されず疎遠になっている。特に好きな秋風作品は『海の天辺』。秋風からは「天才」と評されている。 鈴愛がオフィス・ティンカーベルに来た当初から親切に接し、一緒にスイーツ食べ放題に行く条件でカケアミの技法を教える。 裕子にデビューを先を越され、さらに実家から家業の後継や縁談のために帰省を促されて焦り、プロデビューを持ちかける黒崎と接触する。しかしネームに行き詰まり、鈴愛の作品『神様のメモ』のネームを譲ってもらい、お色気風に漫画を仕上げて「月刊アモーレ」に寄稿、1992年7月号に読み切り掲載される。この件で秋風から破門を言い渡され、オフィス・ティンカーベルを去る。時同じくして、自身の投稿作品『女光源氏によろしく』が1992年の「ガーベラ大賞新人賞」を受賞するも秋風が辞退させる。 破門後は、改めて他社でのメジャーデビューを目指し少女漫画雑誌「月刊リリー」を有する丸山出版へ原稿の持ち込みを始める。やがてBOKUTTE名義の『女光源氏によろしく』が講談館出版で連載、映画化もされ、1995年時点では、女子高生からサインを求められるほどの人気漫画家となっている。なお酒は弱く、飲みすぎるとからみ酒になってしまう。 鈴愛の漫画が本当に好きであり、『一瞬に咲け』が読み切り掲載された際はネーム譲渡の罪滅ぼしも兼ねて、新宿二丁目の友人らの協力を得てアンケート葉書を散英社へ大量に送る。鈴愛との交流は続き、ユーコと共にたまに会いに来ている。『女光源氏によろしく』が連載17年目となった2010年、描き尽くして別の作品も描きたくなり、改めて『神様のメモ』のアイデアを下さいと鈴愛に直接頼み、許可を得る。 中野 演 - 河井克夫 秋風のベテランアシスタント。繁忙期のみ秋風を手伝う。プロの漫画家であり、『青空列車』は「月刊ガーベラ」の後ろの方に掲載されることがある。野方とまとめて「中野方」と呼ばれる。 野方 演 - 猫田直 秋風のベテランアシスタント。プロのフリーアシスタントで、繁忙期のみ秋風を手伝う。中野とまとめて「中野方」と呼ばれる。2000年時点で中野に好意を寄せている。 ツインズ 演 - MIO、YAE 鈴愛がメシアシでなくなったため、1990年にオフィス・ティンカーベルに雇われた双子のメイド。1999年春時点で28歳。 ユカ 演 - 藤松祥子 1995年時点の鈴愛のアシスタント。 マル 演 - 佐藤睦 1995年時点の鈴愛のアシスタント。 小柳 演 - 芹沢尚哉 1995年時点の裕子のアシスタント。
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