将棋用語一覧 と

将棋用語一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/01 15:46 UTC 版)

同(どう、おなじく)
同じ場所で駒を取ることを表す言葉で、「同歩」など、棋譜に駒を取ったことを表記する際に使用される。対局解説などでは「どう」と発音されるが、棋譜読み上げは「おなじく」が使用される。
投資する(とうし-)
(駒を)「使う」と同義の語。飛車角を自陣に打って受けに使ったり、金銀を打って囲いを補強したりする時によく用いる。
どうぶつしょうぎ
四種類の動物の名を付けた駒と簡略化された将棋ルールで対戦する将棋。将棋の普及を目的として開発された。
投了(とうりょう)
敗勢者が相手に負けを宣言すること。これによって対局が終了する。プロの棋戦では一般的に最後詰まされるまでは指さず、こうしたギブアップで勝負が付く。
投了の宣言が有効となる条件はルール上は明文化されていないが、コンピューター上ではないアナログの対局の場合、1「投了を意味する言葉を、相手に十分聞こえるがうるさくない範囲の大きさで明瞭に発すること」と、2「頭を短時間下げる動作、あるいは自分の駒台か盤の自陣に対して上から利き手で覆うようにして若干つかもうとする動作をすること」と3「投了の言葉を発する前か後に、軽く相手の方の見て相手の様子を視認すること」の3つが不文律として必要とされている。投了を意味する言葉は「負けました」または「参りました」が標準的である。それ以外の言葉もある程度許容されており、「ありません」「投了です」「これはいかんな」「降参」なども有効であり、その範囲は定まっていない。ただし、より公式的な大会では、「負けました」「参りました」以外だと相手に違和感を持たれる可能性がある。コンピューター上の対局では投了のボタンが用意されており、それを押すことで投了となる。頭を下げる動作をする場合、投了を聞いた相手が自分を見たときに頭が下がっている状態を確認できる程度の長さであればよく、頭を下げる角度も挨拶の会釈と同じか会釈より何となく強い/弱い程度でよい。ただし時間を長めにする人や角度をかなりつける人もおり、下限はあるが上限はあいまいである。投了した側が頭を下げているのを確認したら、その時点で相手も頭を下げる。あとから頭を下げる側の長さ、角度は投了する場合のそれと同じでよい。自分より一世代二世代下の子ども(15歳程度まで)に頭を下げられた場合は、こちらは頭を下げる時間を長めにとるのが不文律である。6歳~10歳程度の子どもの中には、大人に対局で負けたときに、半分はボーっとし半分は考えこんだ状態になったり、対局に対する意識がそれなりはあるが悔しがる方が先に来たり、叫ぶほどではないものの泣きだしたりする子どもが一定数いる。子どもがそのような状態になった場合の不文律も慣習的に用意されている。このような場合、そのまま対局を切り上げて(子どもの負けということにして)終わりにせずしばらくは待ち、そのあと、威圧的にならず冷淡でもなく冗談めかしたりでもない、「他に指す手がないんだろう、なら投了だ」「こういうふうになったらゲームのルール的にそうやるんだ」「対局の最後はどうするか分かってるな?最後の決定までやれ」というニュアンスの、若干誘導が含まれているがあくまで若干のレベルに抑えた説明を、対局者以外の別の大人がして介入する。ただしその場に対局者と子どもしかいない場合は対局者が介入する。対局者とは別に親がその場で見ているときは、親は基本的に子どもの味方の側であって中立ではないので、よほどの場合を除いて別の大人に任せるようにする。そして子どもが最低限の妥当な投了の所作をした場合には、対局者の大人は相手の子どもによる対局の遅滞を問題にせず、通常よりも長く角度はやや強めに頭を下げて「ガキがガキなりに見せた勇気の分は敬意を表してやろう」という態度を(子どもは気にしていないであろうが)見せる。しかしそれを口に出して褒めはせず通常の対局と同じように自然に閉局せねばならない。
遠い(とおい)
玉と攻め駒の距離が離れていること。
トーチカ
ミレニアム囲いの別名のひとつ。
遠見の角(とおみのかく)
相手の陣地から離れた場所へ打ち込むが、自陣の守りよりも攻撃を主眼として睨みを利かせる角のこと。
通る(とおる)
  1. 自分の飛角香の利きにいる自分の駒が動くことで飛角香の利くマスが増える、相手の駒に利きが当たるようになる<例>「歩がのびて香車が通る1四歩はいつかはさしたい手です」
  2. 相手が対処するか対処しないかどちらでもよさそうな手(玉の方面から離れている駒に駒取りになる手、歩どうしがぶつかる手、今すぐ駒がぶつからないが圧迫してくる手)を自分が指し、相手がその手に対処せず手抜きで別の手を指して形勢が相手有利に傾くとき、その相手の手の前の自分の手を「通らない」という。逆に自分の手に相手が対処する方を選択した場合か、自分の手に相手が対処せず何かをさして形勢が今よりも悪くならない、あるいは自分に有利になる場合を、自分の手が「通る」という。<例>「相居飛車の常套手段である8八歩の手裏剣ですね。今なら一目は通りそうですが、あ、先手取りました。早指しですからそれは通らないと主張するのはリスキーでしたかね」
  3. (中盤の途中から終盤の最初のほうの段階で、「攻めが通る」で用いて)その攻めの手順を継続しても互角以上の局面が維持されることをいう。<例>「うーん、乱暴そうに見えましたが角切りから攻めが通っているように見えますね。棋聖のほうは見切りをつけて攻めあう順をメインに長考なさっているのでしょうか」
咎める(とがめる)
相手の緩手、疑問手などを見逃さず、それをきっかけとして動くこと[1]。〈例〉「伸びすぎた歩を咎める」
と金攻め(ときんぜめ)
敵陣にと金を作り、そのと金を動かして相手の囲いを形成している金・銀などを取りにいくこと。相手にとっては犠牲を払ってと金を盤上から消しても、自分が打つ時には歩としてしか使えないため、非常に強力である。
~得(どく)
【接尾語】自分の駒の数が、相手より単純に多い状態になっていること。「銀得」(ぎんどく)、「桂香得」(けいきょうどく)のように言う。歩以外の駒に損得がない場合は、歩の数について「一歩得」(いっぷどく)、三歩得(さんぷどく)のように言い、あるいは枚数を表さずに単に「歩得」(ふどく)とも言う。反対語は「~損」(ぞん)。
特別将棋栄誉賞(とくべつしょうぎえいよしょう)
将棋界で1000勝を達成すると贈られる賞。
独走銀(どくそうぎん)
玉頭銀
毒まんじゅう(どく-)
駒が取れて有利に働くように思えるが、少し考えてみるとその手順で形勢が大きく悪くなってしまうことがわかる場合に、その取れそうな駒を毒まんじゅうという。〈例〉「ここで桂馬を飛車で取ると毒まんじゅうにかかるんですね」[14]
土下座の歩(どげざのふ)
相手の位勝ちなどの緩和を狙い、持ち駒の歩を自陣二段目に控えて打って局面を収めること。

トップ棋士(-きし)

プロ棋士の中の少数の棋士を漠然とさす語。決まった定義はないが、公式タイトルを数個獲得、ここ数年~10年近く順位戦A級かB級1組中位か上位、竜王戦の決勝トーナメントに進出しある程度上位で終わることが頻繁にある、タイトル戦挑戦が頻繁にある、からおおよそこのあたりとイメージされる人をさす。その時点での純粋な棋力がランク化できたとした場合のそのランクのトップ層をさすわけではなく、名誉称号の面と棋力の面を併せ持つ語である。タイトルにはまだ縁がないが勝ちまくる、実際には強い若手棋士は含まない。具体的には、2024年6月の時点では、藤井聡太、豊島将之、永瀬拓矢、渡辺明、広瀬章人、佐藤天彦、稲葉陽、糸谷哲郎、菅井竜也、斎藤慎太郎、山崎隆之、佐々木勇気、中村太地、羽生善治、佐藤康光、もう少し大きめにとると前記に加えて、久保利明、千田翔太、近藤誠也をおおよそさす。

女流棋士については、2024年の時点では福間香奈西山朋佳の二強状態が長らく続いているため、トップ棋士という語を使うことはほぼない。

飛び駒、飛び道具(とびどうぐ)
飛車や角、香車など遠くまで利きが利く駒と、駒を飛んで利きが利く桂馬の俗称。
取り込む
相手の囲いの中に自分の駒を前進させて崩すこと。
鳥将棋、禽将棋(とりしょうぎ)
江戸時代に指されていたとされる変則将棋の一つ。
取る
自身の手番の際、盤上の相手の駒の位置に自分の駒を進出すると、相手の駒を自身の持ち駒にすることができる。将棋ではこの行為を「取る」という。
撮る将
将棋イベントなどでプロ棋士の写真を撮るのを専門とする将棋愛好家[2]
頓死
最善手で対応していれば詰まなかった王手に対し、応手を間違えて詰まされてしまうこと[1]。または詰めろをうっかり見落としたために詰まされること。「トン死」と表記されることが多い。

注釈

  1. ^ 『日本将棋用語事典』p.7では、味の良し悪しはそれぞれ0.5ポイントくらいのプラスまたはマイナスがある、ともしている。
  2. ^ 本来の日本語としては「歩で叩く」の方が自然だが、将棋界では「歩を(使って)叩く」と言う習慣がある

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al 『日本将棋用語事典』
  2. ^ a b c d e f g 『将棋語辞典』
  3. ^ 『日本将棋用語事典』p.23
  4. ^ 『日本将棋用語事典』についてはこの項目の他、p.47「緩手」も参照。
  5. ^ 羽生善治が2010年度NHK杯テレビ将棋トーナメントに解説役として出演した際に説明。
  6. ^ 『日本将棋用語事典』p.69
  7. ^ 「あ!駒柱できました」2度の出現に解説陣「珍しいですね」 広瀬章人八段は「これはきっと“使われる”(笑)」/将棋・ABEMAトーナメント”. ABEMAニュース. 2023年5月30日閲覧。
  8. ^ 羽生善治氏が説く、「三手の読み」で未来を切り開く方法”. ログミー. 2013年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年3月9日閲覧。
  9. ^ 『日本将棋用語事典』 pp.92-93 「痺れました」、「痺れる」
  10. ^ a b 松下 1970, p. 24.
  11. ^ 修司, 相崎. “72歳現役棋士、桐山清澄九段に聞く「中原誠さんとの東西決戦で嵐になった日」のこと | 観る将棋、読む将棋”. 文春オンライン. 2020年7月30日閲覧。
  12. ^ 松下 1970, p. 26.
  13. ^ 将棋 多面指しでプロと交流”. ニュース和歌山 (2017年11月18日). 2018年3月9日閲覧。
  14. ^ 藤井聡太20歳「はっきり苦しい」王座戦で八冠ロード窮地→「毒まんじゅう」サク裂…《評価値6%》から大逆転の「6四銀」はナゼすごい?”. NumberWeb. 2023年6月27日閲覧。
  15. ^ タイトル100期か無冠転落か。羽生竜王VS広瀬八段、竜王戦七番勝負の展望は?(両者インタビューあり)|将棋コラム|日本将棋連盟”. www.shogi.or.jp. 2019年6月10日閲覧。





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「将棋用語一覧」の関連用語

将棋用語一覧のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



将棋用語一覧のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの将棋用語一覧 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS