オセアニア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 00:20 UTC 版)
概要
オセアニアは六大州中 最小の州であり、その小さな陸地面積のうちオーストラリア大陸が86%を占め、さらに島々の中で最も大きなニューギニア島とニュージーランドを含めると98%にもなる[1]。残りは、太平洋の中に点在する小さな島々であり、それがオセアニア(大洋の州)との州名の由来にもなった。これらの諸島は陸地面積こそ小さいものの、マレー・ポリネシア系民族が独特の航海術によって隅々まで植民しており、独自の海洋文明を築いていた。
2018年時点でオセアニアの人口は約4150万人である。
地域区分
一般的に、オセアニアはオーストラリア大陸、メラネシア、ミクロネシア、ポリネシアの4つの地域に区分される。 メラネシア、ミクロネシア、ポリネシアの3地域の名称は、ヨーロッパ人探検家たちによる命名が始まりである。1756年、フランス人探検家シャルル・ド・ブロスが「多くの島々」を意味するギリシャ語の「ポリネシア[注 1]」を太平洋全島々の総称として用いたのがはじまりである[2]。その後、同じくフランスの探検家ジュール・セバスティアン・セザール・デュモン・デュルヴィルがオセアニア島嶼部を3地区に分けることを考えだし、1831年にパリの地理学会で公表した。現在は、この案を基本的に踏襲している。「メラネシア[注 2]」はギリシャ語で「黒い島々」を意味し、「ミクロネシア[注 3]」はギリシャ語で「小さな島々」を意味することから名づけられた[2]。
オセアニアを区分する新しい概念として、近オセアニアと遠オセアニアがある。これらは、1973年にロジャー・カーティス・グリーンとアンドリュー・パウリーによって提唱された区分で[4]、人類集団史に基づいたものである[5]。近オセアニアはおよそ45,000万年前に人類が到達した地域で[5]、その範囲はニューギニア島、ビスマルク諸島、ソロモン諸島(ただし、サンタクルーズ諸島を除く)を含み、場合によってはオーストラリア大陸を含める場合もある[6]。遠オセアニアは3,500年以内に人類が定住した地域を指しており、その範囲は近オセアニア以外のオセアニアの島々、すなわちミクロネシア、サンタクルーズ諸島、バヌアツ、フィジー、ニューカレドニア、ポリネシアを含む[6]。
地理
オセアニアは、南西端にある一つの巨大な陸塊であるオーストラリア大陸と、オーストラリアの北に位置するニューギニア島と同じく東に位置するニュージーランド南北島というやや大きな2つの島、そしてその北から東にかけて広がる広大な太平洋と、その中に点在する無数の小さな島々からなる。この島々は、もっとも北に位置しほとんどが小さな環礁からなるミクロネシア、オーストラリアとミクロネシアの間に位置し、ニューギニア島を含み、やや大きな火山島や標高の高い島々が多数を占めるメラネシア、そしてオセアニアの東半分を占め、ニュージーランドやハワイ諸島などの大きな島々から小さな環礁までさまざまなタイプの島々が広大な海域に点在するポリネシアの3つの地域に区分されている。
地質学的には、オーストラリア大陸はいわゆる安定陸塊であり、東端を南北に走るグレートディバイディング山脈のみが古期造山帯に属する。これに対し、ニューギニア島からメラネシア全域を通りニュージーランドまでは環太平洋造山帯に属し、火山活動が活発な地域である。しばしば大きな地震が起きる。ハワイ諸島は太平洋プレートの中心に位置しているもののホットスポットであり、非常に活発な火山活動が今もなお続いている[7]。
気候的には、オーストラリア大陸の大部分は亜熱帯高気圧に覆われるため、非常に乾燥した砂漠気候となっている。ただしグレートディバイディング山脈の東側および南側には十分な降雨があり、北がサバナ気候、中央部が温暖湿潤気候、南部およびタスマニア島が西岸海洋性気候、南西部が地中海性気候となっていて、オーストラリアの人口の大半はこの地域に居住する。また、大陸南西端のパース周辺は大陸西部としては例外的にやや湿潤であり、地中海性気候となっている。太平洋上の島々やニューギニア島は緯度の低いことや海からの水蒸気が大量の降雨をもたらすため、多くは熱帯雨林気候となっている。ただし、降雨量は火山島とサンゴ礁島では異なり、火山島の方がより多い降雨に恵まれることが多い。これは海からの風は火山島にあたって大量の降雨をもたらすのに対し、標高の低いサンゴ礁島ではそういったことが起こらないためである。また、サンゴ礁島は地質が石灰岩であるため土壌の透水性が高く、少ない降雨も多くがすぐに地中に浸透してしまうため、水資源の確保が困難な島々が多い。
ニュージーランドは降雨量は多いものの緯度が高いために気温が低く、全島が西岸海洋性気候となっている[8]。
注釈
出典
- ^ 小林泉ほか 1990, p. 65.
- ^ a b c 棚橋 2005, p. 178.
- ^ a b 棚橋 2005, p. 180.
- ^ Green & Pawley, 1973, "Dating the Dispersal of the Oceanic Languages"
- ^ a b “遺伝学:太平洋地域の人類集団の祖先を読み解く”. nature asia. 2021年9月8日閲覧。
- ^ a b Steadman, 2006. Extinction & biogeography of tropical Pacific birds
- ^ 菊地・小田 2014, pp. 2–3.
- ^ 菊地・小田 2014, p. 7.
- ^ 小野 2010, pp. 50–52.
- ^ 棚橋 2005, pp. 180–181.
- ^ 『地球を旅する地理の本 6』 1993, p. 189.
- ^ 『地球を旅する地理の本 7』 1993, p. 210.
- ^ 江戸 2010, pp. 64–67.
- ^ 高橋 2005, pp. 184–187.
- ^ 丹羽・石森 2013, p. 2.
- ^ a b 通年平均。
- ^ CIA World Factbook
- ^ ヴィクトルほか 2007, p. 27.
- ^ 菊地・小田 2014, p. 30.
- ^ 菊地・小田 2014, pp. 106–107.
- ^ 柄木田 2005, pp. 209–210.
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