野獸派とは? わかりやすく解説

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やじゅう‐は〔ヤジウ‐〕【野獣派】

読み方:やじゅうは

フォービスム


フォーヴィズム

読み】:フォーヴィズム
【英】:FAUVISME
別称】:野獣派

野獣派。20世紀初頭のフランス絵画運動で、絵画における純粋な色彩高揚目指した。理論的な運動というよりは交友関係の中から自然発生的に生まれ代表的な画家としてはマティスルオードランヴラマンクデュフィ、ヴァン・ドンゲンなどがあげられる1905年、この画家たちサロン・ドートンヌ一室を強い原色奔放な筆触作品飾ったのを批評家ルイ・ヴォークセルが『ジル・ブラス紙上に「野獣フォーヴ)の」と揶揄したのが名称の起りとされる。この画家たちアカデミーの公式芸術当時だ行なわれていた印象主義反発し主観的な感覚表現するために自然の秩序をこえて自由に色彩用い色彩オーケストレーション交響)によって色彩統一しようとした。フォーヴィズムはファン・ゴッホ流れをくむ表現主義傾向と、ゴーガンにつながる造型的、装飾的意図内在する1908年から09年頃自然に解消した

フォーヴィスム

(野獸派 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/29 07:42 UTC 版)

フォーヴィスム: Fauvisme、野獣派)は、キュビスムと並び20世紀初頭に大きな影響力をもった絵画史上の変革運動、またはその流派。伝統的な写実主義における色彩体系や明暗からは離れた感覚主義的な絵画を特徴とする。原色の大胆な使用と荒々しい筆遣いが目立ち、たとえば樹の幹を赤くといったことがもなされた。アンリ・マティスのほか、ジョルジュ・ブラックモーリス・ド・ヴラマンクらがその一員として知られる[1]

歴史

1905年パリで開催された展覧会サロン・ドートンヌに出品された一群の作品の、原色を多用した強烈な色彩と、激しいタッチを見た批評家ルイ・ボークセル(: Louis Vauxcelles: Louis Vauxcelles)が「あたかも野獣(フォーヴ、fauves)の檻の中にいるようだ」と評したことから命名された。

象徴主義の画家で、当時エコール・デ・ボザール(官立美術学校)の教授をしていたギュスターヴ・モロー[注 1]がフォーヴィスムの画家達の指導者であった。彼が弟子達に主張したのは、形式の枠組みの外で物事を考え、その考えに従うことであった。主な弟子達は、この運動の中心人物であるアンリ・マティス[2]アンドレ・ドランらであった。

フォーヴィスムはキュビズムのように理知的ではなく、感覚を重視し、色彩はデッサンや構図に従属するものではなく、芸術家の主観的な感覚を表現するための道具として、自由に使われるべきであるとする。ルネサンス以降の伝統である写実主義とは決別し、目に映る色彩ではなく、心が感じる色彩を表現した。世紀末芸術に見られる陰鬱な暗い作風とは対照的に、明るい強烈な色彩でのびのびとした雰囲気を創造した。

フォーヴィスムに分類される主要な画家は、以下のとおり。

フォーヴィスムに影響を与えた画家として、明るく強烈な印象の色彩を使用するポール・ゴーギャンフィンセント・ファン・ゴッホ点描ジョルジュ・スーラポール・シニャックに代表される新印象派の画家達、またポール・セザンヌ等が挙げられる。

日本への影響

オトン・フリエスルーアン」(1908)

フォーヴィスムは日本にも大きな影響を与えている。オトン・フリエスの弟子として坂田一男宮坂勝が挙げられ、現在の日本美術史にも影響を与えたとされる。

その他、1992年から1993年にかけて『フォーヴィスムと日本近代洋画』(愛知県美術館京都国立近代美術館東京国立近代美術館)という展覧会が開催されており、その展覧会では次の21名の作家が取り上げられた。

脚注

注釈

  1. ^ 「刺青のサロメ」などの作品がある巨匠。マティスに「君は絵を単純化するために生まれてきた」と的確なアドバイスをしている。

出典

  1. ^ 世界大百科事典 「フォービスム」閲覧日 2025/8/29 https://japanknowledge.com/psnl/display/?lid=102006434600
  2. ^ マチス」『日本大百科全書(ニッポニカ)』https://kotobank.jp/word/%E3%83%9E%E3%83%81%E3%82%B9コトバンクより2023年1月30日閲覧 

関連項目

参考文献



「野獣派」の例文・使い方・用例・文例

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