線区(路線)最高速度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/07 03:36 UTC 版)
「鉄道の最高速度」の記事における「線区(路線)最高速度」の解説
全国新幹線鉄道整備法にて定義される新幹線については以下のとおり。2016年現在、東北新幹線320 km/h、山陽新幹線300 km/h、東海道新幹線285 km/h、北陸新幹線と九州新幹線と北海道新幹線が260 km/h、上越新幹線240 km/h となっている。新幹線における最高速度や制限速度は自動列車制御装置によって制御される。 山形新幹線、秋田新幹線には踏切もあり、法的には新幹線ではなく、新幹線乗入区間以外(在来線改軌区間)での最高速度は130 km/h である。 東北新幹線のうち大宮駅以南のルートでは曲線半径600 mから2,000 mの急カーブが連続し、線形上の制約により最高速度は110 km/hとされた。同区間は2021年3月13日ダイヤ改正で130 km/hに引き上げられた。 東海道・山陽新幹線の主力であった700系は、東海道区間270 km/h、山陽区間は騒音基準をクリアできないため300 km/h とはならず285 km/ hとされていた。なお同車の設計最高速度は340 km/h である。2007年からN700系が導入され、2010年3月13日ダイヤ改正以降すべての定期「のぞみ」が山陽区間でも300 km/h を出せるようになった。 東海道新幹線で全列車を285 km/hで走らせるにあたり、100系は騒音基準をクリアできないため220 km/hでの運転に留まり、東海道新幹線では2003年までに置き換えられ、その多くが寿命よりも早く廃車となった。 旧日本国有鉄道(現在のJR各社)の在来線において、各路線の該当する線路種別ないし線路等級に基づく最高速度。線路種別が制定された戦前から戦後にかけては特別甲線(1級線)でも95 km/h であったが、151系・153系電車などの新性能電車が出揃った1958年(昭和33年)から東海道本線で特例を適用して110 km/h へ、さらに1968年(昭和43年、いわゆるヨンサントオ改正)から東北本線・高崎線・上越線・信越本線(宮内 - 新潟間)・北陸本線・山陽本線で120 km/h へと引き上げられた。 120 km/h 線区・区間は1970年代以降、鹿児島本線・常磐線・総武本線(快速線開通時)・中央本線・函館本線・信越本線(高崎 - 長野間)・阪和線・大和路線などへと拡大した。いずれもこの時点では、120 km/h 運転が行われたのは特急形電車(185系を除く)と181系気動車による特急列車のみである。その後、立体交差の湖西線 (130 km/h) 、国鉄分割民営化後に開業した海峡線 (140 km/h) などでこれを上回る速度での走行が開始された。 民営化以降、地平路線でも各地の主要幹線で、特急列車のみならず一部の普通列車(おもに快速列車)についても120 - 130 km/h 運転が行われるようになった。これは通勤形・近郊形電車や一般形気動車の飛躍的な性能向上(後述)に負うところが大きい。首都圏の一例としては、今や元々貨物線であった品鶴線でさえも、横須賀線や湘南新宿ライン、相模鉄道直通の列車が最高速度120 km/h で走る。 2017年現在、特急列車以外で130 km/h 運転が行われる路線および列車は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の常磐線(E531系電車)、西日本旅客鉄道(JR西日本)の琵琶湖線・湖西線・JR京都線・JR神戸線(223系及び225系電車の新快速)、JR西日本・四国旅客鉄道(JR四国)の瀬戸大橋線・予讃線(5000系・223系5000番台の快速マリンライナー)などが挙げられる。 私鉄ほど細分化されていないが、電化・非電化の違いや、複線か単線かを始めとした線路規格、閉塞方式などの差に起因して区間ごとに最高速度が変わる路線もある(大糸線、室蘭本線、宗谷本線、山陰本線、日豊本線など多数)。東海道本線一つ取っても、現在はJR東日本の戸塚 - 小田原間および品鶴線区間とJR東海の豊橋 - 米原間が120 km/h、JR西日本の米原 - 神戸間が130 km/h、それ以外(垂井線、美濃赤坂線などの支線を除く)が110 km/h と区間によって異なってきている。また、列車種別や車両によって最高速度が異なるケースも多々みられる。 国鉄によって計画され、第三セクター智頭急行によって開業された智頭線においても、「スーパーはくと」が130 km/hで運転されている。 以下は、私鉄各社が路線・区間・列車種別・使用車両ごとに届け出、認可を受けたうちの、路線ごとの最高速度。私鉄では戦後間もない1947年に近畿日本鉄道(大阪線・山田線)が、1949年に京阪神急行電鉄(神戸本線・京都本線)が110 km/h の運輸省認可を取得。まだ高性能車(国鉄呼称では新性能車)は登場しておらず、電車はすべて吊り掛け駆動、また多くが自動ブレーキの時代であった。以降阪神電気鉄道(阪神本線。1954年、高性能車登場時。ATS導入後は106 km/h)、名古屋鉄道(名古屋本線、1961年)、東武鉄道(伊勢崎線・日光線、1962年)、小田急電鉄(小田原線、1963年)が順次110 km/h運転を開始した。以上6社のうち初めの3社が標準軌、のちの3社が狭軌である。なお当時、阪急神戸本線と阪神本線は軌道法準拠で架線電圧も600 V であった。 近鉄は1988年に私鉄で初めて120 km/h 運転を開始、現在は大阪線・志摩線などの一部区間で130 km/h 運転を行っている。その他では1990年以降、東武(日光線)、京浜急行電鉄(本線の一部、大半が通勤形電車)、名鉄(名古屋本線・常滑線・空港線。名古屋本線のみ通勤形電車を含む)、南海電気鉄道(空港線)が120 km/h、阪急電鉄(神戸本線・京都本線)が115 km/h へと最高速度を引き上げた。 新規に開業した北越急行ほくほく線では、2002年から特急「はくたか」において最高160 km/h 運転が実施され、2010年からは京成電鉄成田空港線でも「スカイライナー」で大手私鉄で初めで160 km/h 運転が実施された。2015年現在まで160 km/h はJR在来線にも類例が無く(ただし北越急行は第三セクターでJR車両(681系・683系)が直通運転された)、新幹線以外の鉄道としては北越急行と京成の両社が国内で歴代最速となっている。北越急行の特急は2015年3月13日限りで廃止となり、160 km/h運転をおこなうのは京成電鉄のみとなった。また、これも第三セクターであるが、つくばエクスプレスは高規格の新線であり、路線の性格上、全車両が通勤形電車ながらも130 km/h 運転を行っている。 2010年現在、大手私鉄では西武鉄道 (105 km/h) と相模鉄道 (100 km/h) と阪神電気鉄道(106 km/h)のみ営業最高速度が110 km/h 未満である。上記以外の京王電鉄(京王線、相模原線)、京阪電気鉄道(京阪本線)、西日本鉄道(天神大牟田線)はいずれも110 km/h となっているほか、東急電鉄は田園都市線に加えかつて高速運転のイメージから程遠かった東横線、あるいは準大手私鉄の山陽電気鉄道でも最高速度110 km/h 運転が行われている。ただし、東武や小田急などでも通勤形車両による列車は100 km/h に留まっており、有料特急の格付けを尊重して序列を付けた形となっている。また、京王(井の頭線)や阪急(宝塚本線)などは主要路線でも線形が主因となって運転速度に較差があり、経営的には費用対効果も無視できず、一概にどの会社が高速化に熱心であるとは言い切れない。
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