速度照査パターン制御
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 13:35 UTC 版)
「自動列車停止装置」の記事における「速度照査パターン制御」の解説
車上DBにおいて対応路線の基本情報をすべて保持しているため、線区最高速度、曲線・分岐・下り勾配等による速度制限は、諸情報による補正および列車自体の最高速度を含めて常時速度照査を行っている。各種の制限速度に掛かる時は制限速度までの減速パターン、制限区間内での制限速度パターンとの照査を行う。また、臨時徐行箇所については、その前方に電源ケーブルレス地上子を設置してそこから速度制限情報を送信し、車上側で受信後、車上DBのからの情報を元に、速度制限箇所までの速度照査パターンと速度制限箇所での速度制限を行う。 信号機によるパターン生成に関しては、信号機が停止現示の場合には、有電源地上子が信号機までの距離情報を送信し、車上側で受信後、そこまでの速度照査パターンを発生させる「一発パターン制御方式」と一発パターン制御方式に加えて、信号機が停止現示以外の場合には、有電源地上子が車上に内方次位の信号機(停止現示以外を現示した信号機の次の信号機)までの距離情報を送信し、車上側で受信後、そこまでの速度照査パターンを順次更新しながら発生させる「常時パターン制御方式」がある。 駅(信号所)手前での分岐器速度制限機能(分岐器までの速度照査パターンを発生させる)を有しており、また、駅での3つ以上の進路がある場合には、確定した進路の駅場内にある分岐器や曲線等での速度照査パターンを残す(それ以外の進路用のパターンは照査パターンからは消去する)ために、駅手前の地上側に進入番線確定用地上子を設置して車両側に送信する。 生成された速度パターンに接近すると車上装置にパターン接近警報が現示される。それでも速度を緩めずに主パターン(非常パターン)に接触した場合、非常ブレーキが自動的に作動する。 前述のとおり、ATS-Dx地上子との通信がエラーになった場合には、車上装置の発生済みパターンはそのまま保持され、ATS-Sxによる制御に自動的にダウンする。ただし、絶対位置確定地上子や進入番線確定地上子など重大な影響のある地上子についてはエラー発生で非常ブレーキを作動させる。ATS-Dxの車上装置のうち、速度発電機やDSP回路などDx専用の系統に障害が起きたがSx(共振周波数によるアナログ処理)が生きている場合も、自動的にATS-Sxによる制御にダウンする。また、前述の自列車位置補正については、各地上子を通過するごとに、その絶対位置情報と車上装置での積算位置(速度発電機による)とのずれが一定値以上(ATS-Dxの試験では±5 m以内)を超えると警告ランプを表示し、これが2度連続発生した場合には非常ブレーキを作動させる。
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