速度発電機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/05/12 19:11 UTC 版)
速度発電機(タコジェネレータ)は、車軸の回転速度(回転回数)を計測する装置である。これにより計測した回転数に車輪の円周長を掛けると移動距離を計算することができ、初期位置が与えられていればこれは絶対位置情報となる。ただし、厳密な絶対位置情報を得るためには、分岐器がある場所ではどちら方向に線路が開通しているかの情報を外部から与えられる必要があり、また線路の配置に関する情報のデータベースを保持しておく必要がある。 ATS-Pのように地上子から送られる情報に用いて速度制限を掛ける保安装置では、絶対位置情報ではなく地上子の位置からの相対距離に基づいて動作すれば十分であるので、初期位置や配線データベースなどの情報は必要ではない。一方で、ATACSやETCSのように無線を用いて制御するシステムでは、車上で計測した位置情報を無線で地上に送信して、他の列車との間隔制御や連動装置の動作、踏切の警報機の制御などに利用するため、絶対位置情報が必要となる。なお、ATS-P区間では速度照査の目的にのみ位置情報を使用しており、閉塞や信号機の制御のためには通常通り軌道回路が使用されている。 長所としては、地上に設備を必要とせず車上に簡単な装置を設置するだけで済むのでコストが安く、連続的に位置を検知することができて様々な制御への応用が可能であるという点が挙げられる。 一方短所としては、車輪の空転や滑走、あるいは車輪径の変化によって誤差が発生し、それが累積していくことによって列車位置の検知誤差が大きくなっていくことがあげられる。これを定期的にリセットするために、地上側に位置情報更正用地上子を設置することが多い。空転や滑走の補正論理を組み込むこともある。また地上に送信して制御に利用するためには、信頼できる地車間通信手段が必要である。
※この「速度発電機」の解説は、「列車位置検知技術」の解説の一部です。
「速度発電機」を含む「列車位置検知技術」の記事については、「列車位置検知技術」の概要を参照ください。
- 速度発電機のページへのリンク