第零話の登場人物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 15:59 UTC 版)
鑢 六枝(やすり むつえ) 虚刀流唯一の「六刀流」の剣士。情報が一切世に出ないことで謎めいている歴代当主と違い、情報が世に出すぎていることで謎に包まれている。「鑢六枝は強かった」に対して「弱かった」、「とてつもない大男だった」に対して「女子供だった」等、一つの情報に対して必ず対になる情報が存在している。 その実態は、六人で一人という規格外の存在。組織というわけではなくあくまで個人であり、後述する5人と1匹はすべて六枝本人である。「六刀流」と称されるのも、このため。傷だらけの大男はその事を知らず、金髪碧眼の女は「親として接する為に七花の前ではなるべく一人でいたんだろう」と推測した。 自分の可能性のすべてを引き出し、ありとあらゆる自分を実現できるため、鷹比等には「確率の悪魔」と呼ばれた。 尾張城地下の武器庫で、四季崎記紀の通常形変体刀を含む数多の武器を管理していたが、みぎりを通した幕府の命を受け鷹比等の討伐に乗り出した。 娘と息子を人間として育てようと思っており、鷹比等の討伐にはそのために平和な世の中を取り戻したいという思惑も絡んでいたが、当の鷹比等からは遠くないうちに考えが変わるだろうと指摘されている。私 体に刃物が刺さらない、筋肉の塊のような男。アニメ版に登場する六枝は彼だと思われる。 僕 遠目にはナナフシのように見える棒人間。刀は鞘に収まっていてこそが在るべき姿という価値観を持っている。 俺 上下左右どこから見ても、完全な球体に見える男。刀に鞘なんて必要ないという価値観を持っている。 拙者 千歳生きた老人のような子供。 あたし 血管に青い絵の具が流れているような青白い女。 儂 人間の頭を容易く砕けそうな牙を持つ、喋るまだらの犬。 飛騨 鷹比等(ひだ たかひと) 大乱の首謀者。天才であり、数百年先に情報媒体が進歩しつぶやきが一瞬で世界中に伝わるようになることを始め、様々なことを予見している。その天才性により飛騨城で唯一道に迷わないとされているが、膨大な目的がある為、何処に辿り着いてもやる事があるだけで迷ってはいると本人は述べている。 現在の改竄された歴史の修正を目的としている。現在の歴史がおかしいことに気付いているのが自分だけであり、他に誰もやるやつがいないのが理由らしい。しかし、実際は四季崎一族が改竄した歴史から旧将軍との対立によって生じた歪みを修正するために組み込んだ分水嶺である。本人も何者かの思惑が絡んでいることは察しており大根役者に徹していた。 現実に関して筋が通っていないのに物語として無理矢理筋付けられているような違和感を物心ついたころから感じており、人々が四季崎に与えられた役割でなく自由に行動できるようにするために大乱を起こしたが、一方で人間は他人の影響を受け動いているだけで自由なんてものは存在しない幻想だとも考えている。 自分の命も他人の命も駒としか考えておらず、使えるものはすべて利用する。千刀流の少女を六枝の足枷として利用した際は、感情が無い六枝の中でも特にそれが顕著な私を怒らせた。 幼い一人娘に相撲で負ける程弱いが、大乱の節目となる戦いには必ず参加し前線で戦うことを決めている。前述の弱さを火薬で補い自爆さながらの戦い方をし、命に関わるほどの大怪我を負っても顔色一つ変えず笑いながら戦っている。 生まれてから一度も嘘を吐いたことがない。最期に嘘を吐けば、娘の生き方を多少は変えられるとわかっていたが、たとえ世紀の大嘘吐きだったとしても家族に対して嘘は吐けなかっただろうと語られている。 首(くび) 飛弾鷹比等の参謀。参謀とされてはいるが実質は城を抜け出し前線に立とうとする鷹比等のお目付け役に近い。 かつては真庭毒蛇という名を持っていたが、忍の身分を捨てた際に名も捨て、現在は首という通称で呼ばれている。その通称は首から上が刀になっているという異形に由来する。真庭忍軍に属していた時代、頭領でこそないもののそれに見合う器の持ち主として鷹比等四天王と合わせ真庭毒組と呼ばれていた。 六枝の見立てでは、黒鍵や慚愧に負けず劣らない実力を持つとされている。 右腕(みぎうで) 鷹比等四天王の一人。真庭忍軍出身の元忍者。かつての名は真庭毒鶴。右肩から先に腕が無く、代わりに刀が生えている。 鷹比等の命令によって鑢みぎりを誘拐した。左腕、左足、右足よりも数段上の実力を持ち、首と比べても遜色がない。 大乱後は真庭忍軍に復帰した。金髪碧眼の女は冗談めかしてはいるものの、傷だらけの大男と戦った十二頭領の中に紛れ込んでいた可能性を述べている。 右足(みぎあし) 鷹比等四天王の一人。真庭忍軍出身の元忍者。かつての名は真庭毒鰒。掛け値なく恐ろしい忍法を使う。 左腕、左足と共に、因幡砂漠で鑢六枝に三方挟撃を仕掛けた。 左腕(ひだりうで) 鷹比等四天王の一人。真庭忍軍出身の元忍者。かつての名は真庭毒蟻。掛け値なく恐ろしい忍法を使う。 右足、左足と共に、因幡砂漠で鑢六枝に三方挟撃を仕掛けた。 左足(ひだりあし) 鷹比等四天王の一人。真庭忍軍出身の元忍者。かつての名は真庭毒蜘蛛。掛け値なく恐ろしい忍法を使う。 右足、左腕と共に、因幡砂漠で鑢六枝に三方挟撃を仕掛けた。 錆 黒鍵(さび こっけん) 錆家の女剣士。見た目は5歳以下だが、実年齢は30歳以上で息子もいる。 「死神」「剣聖の中の剣聖」等と呼ばれる歴史上最強の剣士。将軍家に仕える十一人に一人で匹敵し、ただの素振りで地を割り天を裂き全てを吹き飛ばす暴風を生み出す。歩いて数日かかるほど遠距離にいる相手に、爆散する威力の突きを当てることができる。一人で国一つ滅ぼせる力を持つため幕府からも危険物扱いされていた。またあまりの強さのため、後世の剣士たちのやる気を削ぐことになりかねないため記録に残されるはずではなかった。 全刀「錆」の特性により、棒状のものなら何でも剣として使うことが出来る。本人曰く、ただの木の枝でも伝説の勇者の剣と同等の性能となるらしい。四季崎に関する因縁を息子の代まで引き継がせたくないと思っている。 語尾に「にゃん」と付ける口癖があるが、鑢七実を最初で最後の本気で戦える相手と見做した際は、変な口癖を止め半年に渡って戦い続けた。この戦いは鷹比等の起こした大乱よりも激しかったらしいが記録には残されていない。全刀流奥義・完全刀一 はっきり描写されず、不明。 ゆる 飛騨鷹比等の妻で容赦姫の母。華やかな美貌に反して、質素な服とも呼べない荒い布のようなものを纏っている。大乱の結末はわかっているが、鷹比等とともに最後を迎えようと思っている。 鑢 みぎり(やすり みぎり) 六枝の妻。徹尾家の一人娘。 鷹比等曰く「悪意の塊」。切腹の見物を始めとする常人には理解できない趣味を持ち、その悪名は場所によっては将軍よりも有名。美貌の持ち主でもあり言い寄る男もいるが、「あんたの内臓が見たいから切腹をして」と必ず口にするため結婚相手がおらず、徹尾家の計らいで六枝と見合いをして結婚した。結婚の理由は六枝が前述の台詞を言われ、実際に切腹したことにときめいたかららしい。右腕に誘拐された際には、自分の子供たち(特に七実)が殺されなかったことを残念がり、六枝を困らせたいと自らすすんで誘拐に協力した。 飛騨城の地下牢で鷹比等の娘である黒髪の少女と「幸せと成功は別物」「成功したければ幸せになることは諦めなければならない」ということを語り合った。 鑢 七実(やすり ななみ) 六枝の娘。七歳。 六枝が英雄になるところを見ようと健気に後をつけていた。六枝を見失い彷徨っていたところ、たまたま六枝を狙っていた黒鍵を見つけ、半年にわたり戦いを繰り広げた。 見よう見まねを見稽古にまで昇華したいと思っているが、それには無人島に監禁される位の過酷な環境が必要だと悟っている。 汽口 慚愧(きぐち ざんき) 心王一鞘流十一代目当主。齢七十を超える老人。 木刀を使っているが、相手に真剣で足を縫い付けられていると錯覚させる程の気迫を放つ。一歩も動くことなくただの素振りで互いに触れることなく、六人同時の六枝の攻撃を防ぐほどの実力を持つ。 鷹比等に関係ない所で、自分の意思で大乱に参加すれば犠牲者が遙かに少なくなり期間も遙かに短くなるという鷹比等の言葉を受け、六枝の前に立ちはだかった。孫娘が将棋でも指して平和に暮らせる世の中を望んでいる。 心王一鞘流が大乱に関わったのは六枝との一戦のみであったため、記録では参戦していなかったことになっている。 彼我木 輪廻(ひがき りんね) 仙人。記紀より数世代前の四季崎によって筋書きに組み込まれた。 飛騨鷹比等の苦手意識を反映し、鷹比等自身となっている。鷹比等と語り合い、大乱を起こした鷹比等自身も四季崎の掌の上で踊らされているだけの可能性があることを示唆した。鷹比等と彼の娘に関して、ある約束をした。後の歴史に大きな影響を与えることになるこの約束は飛騨鷹比等が歴史に対して起こした最後の革命であり、これを機に反乱軍の勢いは急速に衰え、大乱は終結に向かうことになる。 容赦姫(ようしゃひめ) 飛騨鷹比等の一人娘。 飛騨城の地下牢で鑢みぎりと語り合い悪影響を受ける。鷹比等は心に深く刻まれ今際の際に思い出すと推測している。 否定的な童女 金髪碧眼の少女。この国には似つかわしくない容貌だが、不思議と着物が似合っている。 暗黒城で鷹比等の前に現れ、鑢六枝が狙っていることを伝えた。因幡砂漠では焼け焦げる程の日差しの中を上半身裸で日焼け一つせず現れ、六枝を驚愕させた。忍法の使用を確認された際は、自身は真庭忍軍でも滅亡した相生忍軍でもないと否定している。 千刀流の少女 護神三連隊の二番隊長の一人娘。 家も焼け落ち、死体の絨毯となった出雲の戦場跡地で父親を探し彷徨っていた際に、六枝と出会う。七実と七花に年齢が近いこともあり、僕は養子にとってもいいと考えていた。 六枝と鷹比等の戦いに巻き込まれ足枷として利用されるが、六枝に守られることで生存した。錆黒鍵の天災のような斬撃を受けた際に無意識に奪刀しており、あたしはその素質から後に七実と七花の障害となる可能性を考え殺そうとするが、それをしたら人じゃないと思い直し見逃した。 四季崎 記紀(しきざき きき) 完成、そしてその先にある完了を目指したが決して完全を目指そうとはしなかった。完全を目指すことは闇に堕ちることと等しいと考え、「究極はあっても完全はない」というのが口癖だった。彼にとっての刀とは切るものではなく、時代を区切るものである。 彼我木輪廻は、この世界に生きている人間で四季崎一族の筋書き通りに動いていない人間はいないと述べている。 鑢 五幹(やすり いつみき) 修行中に若くして死んだ、虚刀流五代目当主。 金髪碧眼の女 かつて否定姫と呼ばれていた。 否定的な童女は四季崎一族の別の子孫であり自分は大乱に関わっていないと述べているが、六枝と鷹比等のことを懐かしんでいる節もあり真相は定かでない。鷹比等と六枝をそれぞれ「真実に拘りすぎた」「彼より弱い刀を他に知らない」と評価している。 鷹比等の娘が選んだ刀が、鷹比等同様に幕府に刃向かい傷だらけの容貌となったことに因縁を感じており愛憎は理解できなくもないと述べ、自分が愛憎を感じるのは先祖と右衛門左衛門だけと呟いている。 傷だらけの大男 六枝の息子。かつて鑢七花と呼ばれていた。 茶屋で団子を食べながら二十年前の話を聞かされた。
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