外界宿の管理者
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ドレル・クーベリック[Drell Kubeli'k] 『愁夢の吹き手(しゅうむのふきて)』の称号を持つ男性のフレイムヘイズ。登場はVIII巻。直接的な戦闘力は欠けるものの、外界宿(アウトロー)の運営に優れた手腕を発揮し、戦闘以外で初めて名を馳せた『外界宿の革命児』。老いた外見と近代的な思考から『若きご老体』『若え爺さん』などと呼ばれる場面もある。『四神』からの呼称は『幻の涙』。 フレイムヘイズには珍しく、外見(契約時の年齢)は年老いている。神器“ブンシェルルーテ”はステッキ型。 スイスのチューリヒを拠点に、世界中の外界宿をフレイムヘイズの支援組織として主導する人物。欧州の要である外界宿『ドレル・パーティ』を運営し、『ドレル・パーティ』の中枢である幕僚団『クーベリックのオーケストラ』(組織の運営と財務、情報と統制、戦略部門を担っていた)の指揮者として、他のフレイムヘイズの活動を影から支えていた。 比較的近代になってから契約したため、集団で“徒”を討滅するという「若い」考え方を持つ。古来から独立独歩だったフレイムヘイズたちに組織化や情報交換の重要性を浸透させ、企業・財団の経営によって資金援助を行い、それまでただの溜まり場・隠れ家でしかなかった外界宿を本格的な『支援施設』にまで発展させた。更に「この世の本当のこと」を知らない人間をも組織運営に組み入れ運営を効率化、その規模を拡大させていった。ごく僅かながら、組織運営を通じ「この世の本当のこと」に触れた人間から新たなフレイムヘイズが誕生する、という思わぬ副次的効果も生まれていた。 ドレル自身のフレイムヘイズとしての能力は『幻術』。作中では自身と同じ姿の幻影を生み出している。 常に穏やかで落ち着いており、冷静な判断力と優れた分析力を備えている。また自身の意志を貫く強固さと、正しいと思ったら決して諦めない粘り強さを持ち合わせる。他のフレイムヘイズと異なり人間時代に豊富な社会経験を積んでおり、フレイムヘイズとしては「若い」ものの「人間」としては老成した精神の持ち主。 マージョリーから「フォン・クーベリック」と呼ばれており、ドイツ語圏出身と思われる(なお、彼の活動拠点であるチューリヒはドイツ語圏)。 約200年前、老齢ながら仇討ちのために契約した。契約直後からフレイムヘイズ同士の相互扶助を訴えるが誰にも聞き入れられず、仇討ちを成した後「厄介者を黙らせる手段」として外界宿の運営を任されるようになった。その後、その優れた経営手腕で、各地で独立運営されていた外界宿同士の連絡網を作って実績を上げ、他のフレイムヘイズからも徐々に認められていった。またフレイムヘイズの活動に必須の資金面と交通面において、それらを援助するための組織を立ち上げ、社会性に乏しいフレイムヘイズを支援する体制を整えた(S巻『マイルストーン』より)。 本編では、[仮面舞踏会]の作戦により“千変”シュドナイに『ドレル・パーティ』ごと襲撃され、かろうじて自身一人だけ脱出。勝てないことも逃げられないことも悟りながらシュドナイと戦い敗北、死亡した(VIII巻)。外界宿の一部機能は壊滅を免れたものの、中枢組織と指導者を失った影響で世界中の外界宿は大混乱に陥り、フレイムヘイズ側と人間側との内部対立を引き起こす事態にまで発展した。 アニメでは第2期に登場。原作と登場する時期が異なり、また建物ごと粉砕されシュドナイに抗戦することもなく死亡した。“虚の色森(きょのしきしん)”ハルファス[Halphas] ドレルと契約している女性の“紅世の王”。炎の色は薄いオレンジ色。 落ち着きがなくやや子供っぽい性格。ドレルと、ドレルが築いた『ドレル・パーティ』を大事に思っていたようで、侮辱されると「ムキー!」と怒っていた。契約者のドレルをシュドナイに砕かれたが、ドレルが死亡前に言い聞かせたため、契約者の仇討ちのための顕現は行わずに“紅世”へ帰還した(VIII巻)。 新世界が創造された後に、新世界が創造されるまで“紅世”で尻込みしていた“王”たちを説得して新世界へ渡らせ、自身も新世界へ渡り来て秩序派の“王”の一人として活動している模様(外伝『ホープ』)。 ソロモン72柱の1柱である悪魔の名にハルファスがある。 ピエトロ・モンテベルディ[Pietro Monteverdi] 声 - 川田紳司(ドラマCD) 『无窮の聞き手(むきゅうのききて)』の称号を持つ男性のフレイムヘイズ。名前は以前からたびたび登場しているが、本人の初登場はSII巻『ヤーニング』。 黒髪と口元の髭を整えた垂れ目の美男子。薄紫の上下スーツ、黒地に赤線のストライプシャツ、細い銀ラメのネクタイと靴という、常軌を逸した服装を見事に着こなす伊達男である。神器“ゴローザ”は懐中時計型。 イタリアのジェノヴァを拠点に、フレイムヘイズの交通支援を全世界規模で統括する人物。数十名から成る運行管理者集団『モンテベルディのコーロ』を主宰する。 初対面の女性には必ず口説き文句から始める、陽気で気さくな性格であり、契約する“王”センティアのことを「僕のおふくろ」と呼ぶ。 マティルダは『明朗明敏』と形容していたが、マージョリーやレベッカからは『馬鹿』呼ばわりされていた。シャナからは『お喋り男』と形容されていた。 明確な描写はないが、その役割から交友関係はかなり広いと思われる。しかし女性を口説いては失敗し、懲りずに次の口説き方を予告するため、女性陣からは一様に警戒されていた模様。 詳細は明らかでないが、数百年前には自身の復讐を遂げ、同様の仲間を集めて『コーロ』を主宰し、後進の指導と地中海の船の手配を引き受ける顔役となっていた模様。『大戦』最終決戦の数年前には、フレイムヘイズの駐屯地でマティルダを口説いていたが無視された。その後はカムシンやヤマベと行動を共にしていた模様。近代になりドレル・クーベリックが外界宿を組織化した際に、『コーロ』も外界宿の一部門として組織に組み入れられ、活動規模も全世界へと拡大した。『コーロ』自体が元々扶助組織としての性質を持っていたことや、陽気で気さくな者の集まりであったことから、「後輩」であるドレルの下に就くことにも特に不満や抵抗はなかった模様(SII巻『ヤーニング』より)。 19世紀末期から20世紀初頭にかけて太平洋海域での活動を活発化した海魔(クラーケン)たちに対し、外界宿に強い影響力を持つ『クーベリックのオーケストラ』と結束、対処に当たっていた(XV巻より)。それと前後する時期、20世紀前半にヨーロッパで勃発した対[革正団]戦争では最も忙しかった模様。 本編開始の二年前、ヴィルヘルミナを『コーロ』へ招待し、“徒”の運び屋グループ[百鬼夜行]が中央アジアに密かに確立していた輸送ルートの襲撃と当面の断絶を依頼した(SII巻『ヤーニング』)。その後に、ゾフィー・サバリッシュの紹介状を持ってやって来た『贄殿遮那』のフレイムヘイズ(=シャナ)に、オーストリアの森に陣取っていた“紅世の王”オオナムチの討滅を依頼した(外伝『ヴァージャー』)。 ドレル率いる幕僚団『クーベリックのオーケストラ』壊滅からやや遅れて、『コーロ』ごと[仮装舞踏会]に殲滅された模様。“珠漣の清韻(しゅれんのせいいん)”センティア[Sentia] 声 - 堀越真己(ドラマCD) ピエトロ・モンテベルディと契約している女性の“紅世の王”。炎の色はマリンブルー。 明るくも野太い声で話す“王”。ピエトロからは「僕のおふくろ」と呼ばれており、大らかな母親のような性格をしている。新世界で人化した姿は、野太い声と恰幅の良さが見事とすら思える中年女性。 ドレルが戦死してからやや遅れて、[仮装舞踏会]の攻勢によってピエトロも戦死したことで、“紅世”へ帰還した模様(XII巻)。 シャナたちが新世界へ旅立った後、新世界へ渡り来て秩序派の“王”の一人として活動しており、混沌期に大活躍だったシャナと坂井悠二をレベッカに対して褒めていた模様(外伝『ホープ』)。新世界へ渡り来てから数年後の初夏には、新世界のイタリアのジェノヴァで中立のスタンスを保つ外界宿『ピエトロの食堂』の店主として、シャナとベルペオルの顔合わせの場を提供し、『色盗人』への対策などの協議にも立ち会っている(短編『クイディティ』)。 ローマ神話の神の一柱に、小さい子供に意識・認識を齎す(もたらす)同名の女神が登場する。 ナム 『玉紋の騎手(ぎょくもんのきしゅ)』の称号を持つ女性のフレイムヘイズ。神器は名前のない手綱型。 中央アジアの外界宿[故崖窟]の管理者で、[故崖窟]は中央アジアの重要拠点の一つであった模様。 顔や手足を包帯で、全身を衣服で覆い、一切の肌を見せない小柄な女性と言う、飛び抜けて謎めいた人物。知己の者たちからは、気のいい老婆の討ち手だと思われていた。またナムと契約していた“王”の真名・通称・能力は伏せられ、また“王”自身は喋るところを三千余年は見せなかった模様。 ピエトロや[百鬼夜行]のパラからは「親愛なるナム婆さん」、ヴィルヘルミナ・カルメルからは「ナム婆様」と呼ばれていた。フィレスとヨーハンら『約束の二人』とも親しくしていた模様。 その正体は、太古の『大縛鎖』創造の儀式阻止の戦いに参戦し、カムシンからは『手綱打つ少女』と形容された少女のフレイムヘイズ。その戦いでナム本人はイルヤンカと交戦の末に戦死するが、その瞬間に創造神“祭礼の蛇”が両界の狭間に引きずり込まれたため、その余波で、分解する体から遊離したナムの意思総体だけが巻き込まれて両界の狭間に引き込まれ、ナムの体が抜け殻としてこの世に残った。以後、空っぽのナムの体を契約した“王”である“曠野の手綱”が神器である手綱で覆い、動かしていた。なお、ナムの意思総体は『詣道』に出現した最古のフレイムヘイズたちの成れの果てである色付く影たちの中に混じっていた。外伝『フューチャー』でマージョリーが語っていた「狭間に意識総体を呑み込まれたのに契約を保ち得たフレイムヘイズ」とはナムのことである。 本編開始の二年前には、カシュガル近郊で消息を絶ったデデを捜索する為に出発する劉陽を見送った。 XIV巻でのヴィルヘルミナの回想にて、ほぼ一年ぶりに訪れたという描写と廃墟の中に人間の白骨死体があった。本編開始の直前に、“壊刃”サブラクが『約束の二人』とヴィルヘルミナを誘い込むための罠として外界宿[故崖窟]を利用するために、正面から攻め込まれて外界宿ごと殲滅された。“曠野の手綱(こうやのたづな)” ナムと契約していた女性の“紅世の王”。炎の色は若草色。 三千余年もの間、通称を持たず、語る声を聞かれたこともない、謎めいた“王”。これも名前のない、手綱型の神器に意思を表出させていた模様。カムシンからは『風巻き奔る龍馬』と形容されていた。 本編開始の直前に、サブラクの襲撃によってナムの体と神器が破壊されたことで、“紅世”へ帰還したと思われる。
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