主要な成果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 06:35 UTC 版)
COROT による系外惑星探査では、多くの重要な成果が得られている。 CoRoT-1b: COROT が初めて検出したこの惑星はホットジュピターである。その後のさらなる解析で、この惑星は可視光で二次食が検出された初めての系外惑星となった。これは COROT の観測によって得られた高精度の光度曲線によって可能となった検出である。 CoRoT-3b: この天体は木星質量の22倍の質量を持ち、褐色矮星と惑星の中間的な性質を持っているように思われる。発見の3年後に太陽系外惑星エンサイクロペディアの所有者によって提案された惑星の定義では25木星質量より軽いものを惑星としており、CoRoT-3b はそのカタログの中では系外惑星として分類されている。2010年8月には、主星である CoRoT-3 の光度曲線に、CoRoT-3b の潮汐力による恒星の変形に伴う変光と、相対論的ビーミングによる変光の効果が検出されたことを報告する論文が出版された。 「惑星の定義#太陽系外惑星と褐色矮星」も参照 CoRoT-7b: この惑星は1.7地球半径・7.3地球質量を持つ天体であり、地球に近い組成や密度を持った岩石惑星の初発見例である。公転周期は20.5時間と非常に短い。主星の CoRoT-7 はほぼ太陽型星であり、CoRoT-7b は恒星半径のわずか6倍という極めて近い位置を公転している。強い潮汐力の影響によって自転と公転の同期が発生し、常に同じ面を恒星に向けていると考えられる。その結果として常に昼である半球と常に夜である半球の間には極端な温度差が発生する (2200 K と 50 K)。また昼側の半球の大部分は巨大な溶岩の海が広がっていると考えられる。夜側には水と二酸化窒素の氷が多く存在している可能性がある。この惑星系は COROT を含めた一連の観測によって初めて2つのスーパー・アースが発見された系でもあり、ひとつはトランジットを起こす CoRoT-7b、もう一つはトランジットを起こさない CoRoT-7c である。後者は質量が地球の8.4倍、軌道周期は3.79日であり、視線速度法によって発見された。また、3つ目の惑星 CoRoT-7d が存在する可能性も指摘されている。 CoToT-8b: この惑星は0.22木星質量であり、海王星と同じ分類である。 CoRoT-9b: 高温過ぎない惑星の初発見例である。質量は木星の 80% であり、軌道は水星のものと類似している。太陽系にある惑星と似た温度を持つトランジット惑星としては初めての発見例である。また発見時点では、HD 80606 b に次いで2番目に長い軌道周期を持つ系外惑星であった。 CoRoT-11b と CoRoT-2b: この2つの惑星の半径はそれぞれ木星の1.4倍と1.5倍であり、膨張した惑星である。この半径の大きさは理論的には解明されていない。 CoRoT-15b: 恒星の周りを公転する軌道にある、確実に褐色矮星であることが分かっている天体である。 CoRoT-10b、CoRoT-16b、CoRoT-20b、CoRoT-23b: これら4つのホット・ジュピターは、軌道長半径の小ささから考えると大きな潮汐力を受けて円軌道化されるはずであるにも関わらず、軌道離心率が大きな軌道を持つ。これらの観測事実から、潮汐力による天体内部でのエネルギー散逸の効率を決めるパラメータ Q p {\displaystyle Q_{\rm {p}}} への制約が得られている。 CoRoT-22b: この惑星は質量が土星の半分未満であり、サイズも小さい。 CoRoT-24b と c: この2つの質量はそれぞれ木星の0.10倍と0.17倍であり、このような小型の惑星2つが COROT によって発見されるのは2例目である。2つの惑星は海王星サイズであり、COROT によってトランジットする惑星が複数個発見された初めての例でもある (CoRoT-7 系の2つの惑星は片方がトランジットをしていない)。
※この「主要な成果」の解説は、「COROT」の解説の一部です。
「主要な成果」を含む「COROT」の記事については、「COROT」の概要を参照ください。
主要な成果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/24 03:21 UTC 版)
2018年の5月に、これまで発見された中で最も公転周期の短いX線パルサー連星を発見した。パルサーと恒星が互いに公転する連星パルサーであるが、公転周期はわずか38分であることが分かった。 2019年8月21日に、これまで観測された中で最も明るいX線バーストを観測した。SAX J1808.4−3658と呼ばれるいて座方向にある11000光年先の中性子星からのバーストであり、この天体はもともと最初に発見されたX線ミリ秒パルサーと知られている。 MAXIが発見したX線新星4つと恒星のフレア6つの追観測をNICER運用開始からの1年間で行った。2018年6月5日に発見されたMAXI J1727−203は報告からわずか70分でNICERが追観測された。 2020年には中性子星の持つ特徴のうちマグネターと呼ばれる強大な磁場を持つ性質と、電波パルサーと呼ばれる周期的に電波を発する性質を併せ持つSwift J1818.0-1607と呼ばれる稀な天体を発見した。 臼田宇宙空間観測所や鹿島宇宙技術センターの電波望遠鏡と協働し、かに星雲の中心にあるパルサーについて巨大電波パルスと呼ばれる電波での増光の際に同時にX線でも明るくなる様子を2017年以降15回も観測した。鹿島宇宙技術センターの電波望遠鏡はこのあと2019年の台風15号で大破・運用終了し、最後の観測成果の1つとなった。 ブラックホールからのX線の観測も行っており、2018年からは200回以上にわたりりゅう座の1ES 1927+654と呼ばれる銀河にあるブラックホール周囲からのX線が激しく増減光する様子をとらえた。 2021年には、eROSITAなど他のX線望遠鏡と共同で、可視光線での観測では静穏だと考えられていた複数の銀河でX線では銀河中心のブラックホールによる爆発的な増光が周期的に起こっていることが発見された。
※この「主要な成果」の解説は、「NICER」の解説の一部です。
「主要な成果」を含む「NICER」の記事については、「NICER」の概要を参照ください。
主要な成果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/11 21:28 UTC 版)
「XMM-Newton」の記事における「主要な成果」の解説
XMM-Newtonは、地球から100億光年の距離にある大質量の銀河団XMMXCS 2215-1738、70億光年の距離にある銀河団2XMM J0830を発見した。SCP 06F6という天体は、2006年2月にハッブル宇宙望遠鏡 (HST) によって発見されたが、2006年8月に行われたXMM-Newtonによる観測によって、超新星よりも2桁明るいX線が検出された。
※この「主要な成果」の解説は、「XMM-Newton」の解説の一部です。
「主要な成果」を含む「XMM-Newton」の記事については、「XMM-Newton」の概要を参照ください。
主要な成果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 15:20 UTC 版)
CMSでも精度や細部において違いはあるものの概ね同じ結果が得られており、結果の再現性が確認されている。 標準模型の精密測定・検証 W/Z生成事象、トップクォーク対生成事象などの主要なプロセスから、複数の電弱ボソンおよびトップクォークの生成事象といったレアプロセスまで幅広いチャンネルの生成断面積を測定し理論計算との比較を行なっている。また主要過程においてはスペクトラム測定 (運動量、ジェット数など) も幅広く行なっている。TeVスケールに到るまで標準模型が非常にリーズナブルに現象を記述できていることを確認しており、さらにこれらの結果を理論家にフィードバックすることによって計算の改善・標準模型の理論不定性の縮小にも貢献している。一方でLEPやTevatronなどで観測された2σ前後のanomalyの追証も行っており、例えばLEPで示唆されたW→µνとW→τνの崩壊分岐比のずれは、2020年にトップクォークの崩壊を用いた測定により否定された。 ヒッグス粒子の発見と測定 1950年代のヒッグス機構の提唱や、その後のゲージ理論の繰り込み可能性の研究の発展により存在が確実視されて以降も、やや運の悪い質量領域にいたためにLEPやTevatronの探索をギリギリでかいくぐってきたヒッグス粒子をCMSとともに発見した。2012年7月の段階で候補となる新粒子の発見が発表され、その後質量・スピン・パリティーなどの量子数や崩壊分岐比の測定結果から標準模型のヒッグス粒子であることがCMSとの結果と合わせて2013年3月に結論づけられた。 発見当初は光子対への崩壊過程とW/Zボソン対へ崩壊過程のみ確認されていたが、2014年にタウレプトン対、2018年にボトムクォーク対への崩壊も発見され、また同2018年にttH生成過程も発見されトップクォークとの結合も確認されている。 一方でヒッグスの性質の測定も引き続き行われており、特に崩壊分岐比と微分断面積測定が精力的にやられている。 今の所全ての測定結果が標準模型の予言と無矛盾である。 新物理への制限 TeVスケールに新物理を予言するモデルが多数ある中、LHCの陽子陽子衝突はそれらを直接プローブする数少ない (ほとんどの場合唯一の) 実験であり、ATLASでも幅広い新物理・新粒子をカバーした探索プログラムを持っている。これまで現在のところ標準模型の予測から大幅に逸脱するデータのパターンは観測されておらず、標準模型の驚異的な正しさを確認するに止まっているが、同時に代表的な新物理模型・理論に強力な制限をつけている。例えば超対称性理論の強い動機の一つである階層性問題解決のための軽いスカラートップは典型的なシナリオにおいて1TeVまで棄却されている。 また同様の理由で支持される軽いヒッグシーノもRun2の2015-16年のデータを用いた結果でLEP以来となる制限を更新した。 他にもW'/Z'といった拡張された標準理論から生じる重いゲージボゾン, 右巻きニュートリノ, vector-like quarkやheavy vector tripletなどの重いエキゾチックフェルミオンの探索や, 一般的な重い共鳴状態の探索, 典型的なダークマター模型が予測する粒子 (DMやmediatorなど) の探索が行われており, 理論模型に対してCMSとともに最も強い制限を与えている。 重イオン衝突における光子散乱過程の確認 荷電粒子同士の電磁気力を通じた「かすり散乱」は実効的に光子対の衝突として扱うことができる。その断面積は荷電粒子の陽子数の2乗に比例するため、重イオン衝突におけるかすり散乱 (ultra-peripheral collision: UPC) によって光子対衝突を効率よく発生させることができる。光子・光子散乱過程は標準模型では電磁ゲージ対称性によるループ内の寄与の相殺により発生確率が著しく抑制されていることで知られているが、この重イオンUPCによって2019年にATLASにおいて初めて観測が確認された。これは量子電磁気学の精密検証の重要なマイルストーンである。
※この「主要な成果」の解説は、「ATLAS検出器」の解説の一部です。
「主要な成果」を含む「ATLAS検出器」の記事については、「ATLAS検出器」の概要を参照ください。
- 主要な成果のページへのリンク