太陽系外惑星と褐色矮星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 09:03 UTC 版)
「惑星の定義」の記事における「太陽系外惑星と褐色矮星」の解説
「太陽系外惑星」および「褐色矮星」も参照 1992年までに、恒星の周囲を公転する惑星質量天体が400個以上発見されてきた。これらの惑星の多くは小さな恒星程度の質量を持つが、一方で惑星程度の小さな質量の褐色矮星も沢山発見されるようになった。 従来、核内で水素を燃焼させる能力を持つ天体を恒星としてきたが、褐色矮星は安定的に水素を燃焼させることができず、一生のうちごく短い時期に重水素を燃焼させるのみで、ほとんどの時期は自らエネルギーを生産していない。褐色矮星は通常、恒星と連星を形成しているのが一般的で、多くの褐色矮星は恒星の周囲を公転している。実際に、アリゾナ大学の天文学者アダム・ブロウズは、「形成の過程は違っても、理論的な観点から言えば、太陽系外の木星型惑星と褐色矮星は本質的には同じものである」と述べ、またシリウスBのような白色矮星も恒星ではなく惑星として扱うべきだと主張している。しかし現在の天文学会では、生涯のうちに核融合を起こすだけの質量を持つ天体は恒星として扱うのが支配的である。 しかし褐色矮星に関わる混乱は、これでは終わらなかった。Maria Rosa Zapatario-Osorioらは、若い星団の中で、13木星質量以下という、生涯に渡って核融合を起こさずまた他の恒星の周囲の公転もしていない多くの天体を発見している。これらは、現在の太陽系形成の理論では、惑星の軌道が不安定な時、惑星が恒星系から弾き出される可能性を予測していることから、「自由浮遊惑星」と呼ばれている。 しかし、これらの自由浮遊惑星は恒星と同じ過程で形成された可能性もある。低質量の恒星と大きな木星型惑星の組成に大きな違いはなく、大きさと温度以外では木星型惑星を恒星と区別する差はほとんどない。どちらの大気も大部分の水素とヘリウムに痕跡量の重元素で構成されている。一般に、恒星と惑星の最大の違いは形成過程だと言われている。恒星は、星雲のガスが重力により崩壊する「トップダウン」の過程で形成され、ほとんどが水素とヘリウムから構成されるのに対し、惑星は、若い恒星の周囲の周囲のガスや塵を降着させる「ボトムアップ」の過程で形成され、ケイ素または氷でできた核を持つとされる。現時点では、木星型惑星がこのような核を持つのか否かは不明である。もし木星型惑星が恒星と同じ過程で形成されることが実際に可能であるとすると、身近な木星や土星でさえ、惑星ではなく低質量の恒星と呼ぶべきではないかという疑問が起こってくる。 2003年、国際天文学連合は太陽系外惑星と恒星を定義付ける公式な声明を発表した。今日でも、これはこの問題に関する国際天文学連合の唯一の公式な声明である。2006年の委員会でも、この定義を変更したり、新しい定義に取り入れたりすることはしなかった。
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