繰り込み
繰り込み
繰り込み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 05:29 UTC 版)
ファインマン・ダイアグラムにおいてループとして表される高次の輻射補正は、場の量子論の計算で無限大の発散項として現れる。この発散を回避する操作が繰り込みである。このとき、繰り込みによって導入されたエネルギースケールに依存して結合定数や質量が変化する。 結合定数のエネルギースケール依存性はベータ関数によって記述される。結合定数をg、エネルギースケールをμとして、ベータ関数は以下のように定義する。 β ( g ) = μ ∂ g ∂ μ {\displaystyle \beta (g)=\mu \,{\frac {\partial g}{\partial \mu }}} このようにエネルギースケールに依存する結合定数は有効結合定数、あるいは走る結合定数と呼ばれ、これらの理論は繰り込み群によって記述される。 結合定数が十分小さく扱える領域において、ベータ関数は摂動論のような近似的な方法で計算される。このとき、ベータ関数は結合定数の級数として展開され、高次の項の寄与(高次のループ)は無視される。 φ4理論において、1次の摂動におけるベータ関数は以下のように計算される。 β ( g ) = 3 16 π 2 g 2 + O ( g 3 ) {\displaystyle \beta (g)={\frac {3}{16\pi ^{2}}}g^{2}+O(g^{3})} この結果より、φ4理論のベータ関数は常に正である、すなわち、φ4理論はエネルギースケールの増加に比例して結合定数が増加する理論であることが分かる。この結合が十分に強いとき、この結果は有限エネルギーにおけるランダウ・ポールの存在を示唆している。しかし、強結合領域では摂動論が適用できないため、ランダウ・ポールを記述するためには非摂動的な方法が必要となる。 場の量子論において結合定数がエネルギースケールに依存するとき、連続極限(運動量カットオフを無限大にする極限)をとることで、その場が自由場と等しくなる場合がある。このとき、結合定数が0となるので、伝播関数は自由場のそれと等しくなり、相互作用は無いものとみなされる。この理論は、カットオフを取り除かずに成立する有効理論であると解釈される。この性質はtrivialityと呼ばれ、φ4相互作用においては、5次元以上の時空(D≧5)で成り立つことが証明されている。D=4の場合におけるtrivialityの存在は、厳密な証明はされていないが、数値計算によって十分な証拠が確認されている。この議論はヒッグス機構と関連しており、ヒッグス粒子の質量の上限を指定する要因の一つである。
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繰り込み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/12 10:27 UTC 版)
ワールドシートと名付けられた 2次元の多様体が求められる弦理論に、このモデルが適合することが明らかとなっている。この一般化された繰り込み性の価値は、ダニエル・フリーダン(英語版)(Daniel Friedan)により示された。理論が摂動論の主要項のオーダーで λ ∂ g a b ∂ λ = β a b ( T − 1 g ) = R a b + O ( T 2 ) , {\displaystyle \lambda {\frac {\partial g_{ab}}{\partial \lambda }}=\beta _{ab}(T^{-1}g)=R_{ab}+O(T^{2})~,} という形の繰り込み群方程式を持つことを、彼は示した。ここの Rab は対象多様体のリッチテンソルである。 このことは、固定点を持つ対象多様体のアインシュタイン場の方程式に従うリッチフローを表している。摂動論のこのオーダーでの共形不変性は、量子補正のために失われることはなく、このモデルの量子場理論は正しいくりこみであることを認めると、そのような固定点の存在は適切となる。 さらに非線型な相互作用を追加すると、フレーバーカイラルアノマリーは、WZWモデルとして結果する。このモデルはくりこみ性を保存し、テレパラリズム(英語版)(teleparallelism)も考えに入れた赤外固定点(英語版)(infrared fixed point)を導き、捩れテンソルを含むフローの幾何学を議論することとなる ("geometrostasis")。 詳細は「リッチフロー」を参照
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