発生確率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 06:08 UTC 版)
航空事故を引き起こすリスク、事故確率の多寡は、航空会社や、その運航地域によって異なる。また(大雑把な傾向としては)先進国では低く、経済的な余裕のない発展途上国では高い傾向が見られる。だが国によって決まるのではなく、各航空会社、一社一社ごとに大きく異なる。 アメリカの国家運輸安全委員会 (NTSB) の行った調査では、航空機に乗って死亡事故に遭遇する確率は0.0009%である。米国内で自動車に乗って死亡事故に遭遇する確率は0.03%なので、その33分の1以下の確率となる。 NTSBによる1983年から2000年にかけての航空事故データ集計によれば、航空事故における死亡率が最も低いのは1998年の飛行距離100万マイルあたりの死亡率0.0001%である。下記に見るように、飛行時間、飛行距離、出発回数(departure、便数)ごとに割合は異なる。 NTSBによる航空事故調査(1983〜2000年)10万飛行時間あたりの事故発生率0.146%(1992年)〜0.315%(1983年) 10万飛行時間あたりの死亡率0.006%(1998年)〜0.098%(1989年) 飛行距離100万マイルあたりの事故発生率0.0036%(1992年)〜0.0076%(2000年) 飛行距離100万マイルあたりの死亡率0.0001%(1998年)〜0.0024%(1989年) 10万出発回あたりの事故発生率0.228%(1992年)〜0.475%(1997年) 10万出発回あたりの死亡率0.009%(1998年)〜0.144%(1989年) 日本の文部科学省による1983年~2002年の国内事故統計に基づく推計では、今後30年以内に航空機事故で死亡する確率は0.002%で、交通事故で死亡する確率(0.2%)の100分の1以下となった。 航空事故における輸送実績1億人キロあたりの死亡乗客数は0.04人である。これは東京─ニューヨーク間約1万キロを12万5,000回往復して死亡事故に遭う確率となり、週に1度往復したとすると2,404年に1度という計算になる。また、10万飛行時間あたりの死亡事故件数は0.07件であり、これは飛行時間10時間のホノルル─福岡間を14万3,000回往復して事故に遭う確率となり、週に1度往復したとすると2,750年に1度という計算になる。 航空事故の死者数と自動車事故による死者数を比較すると、自動車事故が航空事故を遥かに上回る。1998年の全世界での航空事故による死亡者数は909人であった。これに対して米国の自動車事故による死亡者数は4万1,967人(1997年)、日本の自動車事故死は10805人(1998年)、ドイツの自動車事故死は8,547人(1997年)、フランスの自動車事故死は7,989人(1997年)であり、国際航空運送協会広報部長I・グラードは「米国1国の車による1年間だけの死者の数でも、ライト兄弟が初飛行に成功して以来の航空機事故の死者よりも多い」と述べている。 2005年の航空事故による死者数は1015人だった。 オランダの航空事故調査機関アビエーション・セーフティー・ネットワークによれば、2015年の航空機事故は560件、死亡事故は16件であった。これは485万7000回に1件の確率であり、1日1回飛行機に乗ったとして1万306年に1回の可能性となる。 2017年の死亡事故は地域間ターボプロップ機の2件、死者は13人、旅客機の死亡事故はゼロで、航空業界の記録上最も安全な年となった。 2019年は航空事故件数86件、うち死亡事故8件、死者数は257人だった。 2020年は新型コロナウイルスの世界的流行で運航数が前年比42%減少したが、航空事故件数は40件、うち死亡事故は5件、死者数は299人だった。半数以上がイラン軍によるウクライナ国際航空752便撃墜事件での犠牲(死者176人)で、5月のパキスタン国際航空8303便墜落事故では98人が死亡した。 オランダの航空コンサルティング会社To70によれば、大型飛行機の死亡事故率は100万便あたり0.27件で、これは370万回の飛行回数ごとに1回の割合である。 こうしたことから、航空機は様々な交通手段の中でも最も安全な手段のひとつとされる。ただし、事故の最大要因が人的要因であること、ダイヤの過密化、航空機の大型化などを考慮すると、将来における航空機事故による人的被害の大幅な減少は期待できないとも指摘されている。 安全度ランキング 2019年1月にAirlineRatingsが発表した「世界で最も安全な航空会社20社」というランキングでは、以下の航空会社がランクインした。 ニュージーランド航空(スターアライアンス) アラスカ航空 全日本空輸(スターアライアンス) アメリカン航空(ワンワールド) オーストリア航空(スターアライアンス) ブリティッシュ・エアウェイズ(ワンワールド) キャセイパシフィック航空(ワンワールド) エミレーツ航空 エバー航空(スターアライアンス) フィンランド航空(ワンワールド) ハワイアン航空 KLMオランダ航空(スカイチーム) ルフトハンザドイツ航空(スターアライアンス) カンタス航空(ワンワールド) カタール航空(ワンワールド) スカンジナビア航空(スターアライアンス) シンガポール航空(スターアライアンス) スイス国際航空(スターアライアンス) ユナイテッド航空(スターアライアンス) ヴァージン・アトランティック航空ヴァージン・オーストラリア なお、パイロットの飲酒問題が起きたJAL(日本航空)と、多額の損失を出したエティハド航空はランク外である。 危険度ランキング 一方、同社による評価で最低レベルの1つ星または2つ星となったのは(つまり「危険」と判定されたのは)、 アリアナ・アフガン航空 カーム航空 ブルーウィング航空 トリガナ航空 の4社だった。 航空事故はさまざまな要因が複合して事故に至るものであり、多くの航空機や人命を失った航空会社に安全性の問題があるとは必ずしも言い切れない。たとえば一機の事故としては史上最多の死者を出した日本航空123便墜落事故の場合、その原因は過去に製造元が機体に施した修理のミスだった(異論も存在、当該項を参照の事)。また、アメリカ同時多発テロ事件においてはハイジャックにより4機が犠牲になった。
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