誤り率
誤り率
誤り率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/22 02:58 UTC 版)
あるシンボルが送信された際にエラーを起こす確率密度関数はガウス関数によりモデル化される。平均値は、送信した値から求められ、その分散は次式で与えられる。 σ N = ∫ − ∞ + ∞ Φ N ( f ) ⋅ | H r ( f ) | 2 d f {\displaystyle \sigma _{N}=\int _{-\infty }^{+\infty }\Phi _{N}(f)\cdot |H_{r}(f)|^{2}df} ただし、 Φ N ( f ) {\displaystyle \Phi _{N}(f)} は帯域中のノイズのスペクトル密度で、Hr (f)はhr (f)で表されるフィルタのインパルス応答の連続フーリエ変換である。 誤りを生じる確率は次式で与えられる。 P e = P e / H 0 ⋅ P H 0 + P e / H 1 ⋅ P H 1 + ⋯ + P e / H L − 1 ⋅ P H L − 1 {\displaystyle P_{e}=P_{e/H_{0}}\cdot P_{H_{0}}+P_{e/H_{1}}\cdot P_{H_{1}}+\dots +P_{e/H_{L-1}}\cdot P_{H_{L-1}}} ただし、 P e / H 0 {\displaystyle P_{e/H_{0}}} はシンボルviが送信された後、誤りが生じる条件付き確率であり、 P H 0 {\displaystyle P_{H_{0}}} はシンボルv0を送信する確率である。 もし、全てのシンボルを送信する確率が同一であるなら、次の式のようになる。 P H i = 1 L {\displaystyle P_{H_{i}}={\frac {1}{L}}} もし、全ての確率密度関数を、送信される電圧のとりうる値に対して、同じ図表上にプロットするのであるなら、次のような図が得られる(下の図はL=4の場合)。 1つのシンボルが送信された後、誤りが生じる確率はガウス分布関数において他のシンボルに対応する振幅となる部分の面積に相当する。これは、図のシアン色の部分である。もし、ガウス分布におけるこの部分の面積1つをP+と定義するなら、合計の面積は 2 L P + − 2 P + {\displaystyle 2LP^{+}-2P^{+}} .となる。したがって、誤り率の合計は次の形で表される。 P e = 2 ( 1 − 1 L ) P + {\displaystyle P_{e}=2\left(1-{\frac {1}{L}}\right)P^{+}} ここで、P+.の値を計算する。この計算のためには、基準点を変更する。下に示す関数の面積は変わらない。ここでは、次の図に示す様な状況を考える。 これでは、どの様なガウス分布関数を仮定しようと関係なく、我々が計算する面積は同一となる。我々が求める値は次の積分で与えられる。 P + = ∫ A g ( 0 ) L − 1 ∞ 1 2 π σ N e − x 2 2 σ N 2 d x = 1 2 erfc ( A g ( 0 ) 2 ( L − 1 ) σ N ) {\displaystyle P^{+}=\int _{\frac {Ag(0)}{L-1}}^{\infty }{\frac {1}{{\sqrt {2\pi }}\sigma _{N}}}e^{-{\frac {x^{2}}{2\sigma _{N}^{2}}}}dx={\frac {1}{2}}\operatorname {erfc} \left({\frac {Ag(0)}{{\sqrt {2}}(L-1)\sigma _{N}}}\right)} ただし、erfc()は相補誤差関数である。これらの結果を全てまとめると誤り率は以下の式で表される。 P e = ( 1 − 1 L ) erfc ( A g ( 0 ) 2 ( L − 1 ) σ N ) {\displaystyle P_{e}=\left(1-{\frac {1}{L}}\right)\operatorname {erfc} \left({\frac {Ag(0)}{{\sqrt {2}}(L-1)\sigma _{N}}}\right)} この式より、送信信号の最大振幅を増やすか、系の増幅率を増加させることで、誤り率を低減することが容易に可能であることが分かる。一方でシンボル中のビット数(振幅のレベル数L)を増やしたり、ノイズのパワーが増加すると、誤り率が増加することが分かる。 この関係は、シンボル間の干渉が存在しない場合、すなわち、g(t)がナイキストの関数である場合に有効である。
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