シャアを取り巻く人々
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 05:00 UTC 版)
「シャア・アズナブル」の記事における「シャアを取り巻く人々」の解説
周囲への影響力 シャアは、そのずば抜けた実力で部下からは絶対的な信頼と畏怖を受けており、後にはその出自も加わって絶大なカリスマ性をも身につけている。これによって第二次ネオ・ジオン抗争では多くの新生ネオ・ジオン兵士を魅了した。 シャアが反乱で消息を絶ってからも彼の影響は少なからず残り、特にスペースノイドの間にはシャアを連邦の圧政に対抗した英雄と見なす傾向もあった。『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』では、シャアの地球を保全するという思想を受け継いだマフティー・ナビーユ・エリン(正体はハサウェイ・ノア)なる人物が登場する。『ガイア・ギア』ではかつての宇宙移民者独立運動のリーダーとして伝説化しており、シャアの体細胞を分割して作られたクローンの「アフランシ・シャア」が主人公として登場する。 宇宙世紀0110年、サナリィにおいてガンダムF90が開発。2号機にはシャアの戦闘データがプログラムされた疑似人格コンピューター「C.A」が搭載されている。 友人関係 一年戦争時は復讐を第一に考えて行動していたため、これといった友情を育んではいなかったきらいがある。その中でガルマ・ザビはシャアの親友とされているが、その真偽は未だに明らかにはされていない。シャアはガルマのことを「いい友人だった」と語っているが、事実を見るかぎりガルマとの交友はザビ家への復讐の足掛かりであり、彼の謀殺に至る行動の裏の心情は不明なままである。 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、「復讐の後になんの高揚感もなく、ただ自分を信じていた友を裏切ったという空しさだけが残り、自分に嗤ったのです」とキシリアに告げるシーンが追加されている。また、士官学校時代からのガルマとの交流も詳細に描かれている。なお、真のシャア・アズナブルとの交際は打算に裏打ちされたものでしかなく、アニメ版ではシャアの正体を知った上で接近するリノ・フェルナンデスを謀殺するなど、その他の友情の芽は敢えて摘んでいた。 『逆襲のシャア』では、シャアがライバルとして認めたのはアムロ・レイだけである。 劇場版『Ζ』では、エゥーゴの一員であるヘンケン・ベッケナーのエマ・シーンに対する恋愛成就を陰で応援しており、二人への親愛を見せている。テレビ版でもアムロやブライト他、エゥーゴ関係者とは腹蔵のない会話を交わしていた。 ジオン時代から部下からは尊敬と信頼を集めており、エゥーゴでもカミーユ・ビダンとは強い信頼関係を培うと共に、自分とアムロのような過ちを踏んで欲しくないと願った。しかし、その願いも虚しくカミーユはパプテマス・シロッコとの戦いの果てに精神が崩壊し、ハマーンとの決別と共にネオ・ジオン再興の原因の一つにもなる。 指導者としてはブレックス・フォーラ准将を尊敬しており、その死に立ち会った際には涙を見せて悲しんでいる。アクシズ時代を描いた『若き彗星の肖像』では、マハラジャ・カーンの無血によるスペースノイドの独立自治という理想に惹かれ、彼の指導する穏健派に協力していた。彼の死後、シャア本人は幼い頃に暗殺された父の面影をマハラジャに重ねていたと自己分析している。 第二次ネオ・ジオン抗争では、アムロと互角に戦って勝つことが自身にとって真の勝利であると定義し、サイコフレームの技術を意図的にアナハイム・エレクトロニクスのフォン・ブラウン工場へと流出させνガンダムに搭載させている。 女性関係 ララァ・スンの類稀な才能が、シャアがニュータイプの能力に興味を見出した原点である。そして戦場で、シャアの目の前でララァがアムロとニュータイプ同士の共感を起こし、戦闘の結果死亡したことがアムロとの確執の一因である。彼女を亡くしてから14年後に「ああ…私を導いてほしかった…」と回想しており、シャアの中でララァを失った悲しみは未だに癒えず、未練な気持ちを引きずっていた。 エゥーゴ所属中、レコア・ロンドと一時期に接触はあったが、彼女の想いを受け止めることはできなかった。 ハマーン・カーンとは共にニュータイプ主導の世界を望んだが、その方針の違いが原因で決別してしまった。『若き彗星の肖像』では、そのハマーンの親しい友人であったナタリー・ビアンキと恋仲になると共に、彼女はシャアの子を身籠もっていたが、後に暗殺されることとなり、ハマーンが彼女を見殺しにしたことやミネバ・ザビを「偏見の塊」に育てたことが決別の一因にもなる。 第二次ネオ・ジオン抗争時の副官ナナイ・ミゲルはシャアの愛人であった。 天才的なNTとしての力を発揮し始めたクェス・パラヤはかつてのララァ・スンを想起させ傍に置いていたが、彼女の求めていた父親代わりにはなれなかった。 シャアは様々な女性と重要な関係を持っているが、これらは家族を失い愛に餓えた反動ではないかと言われてもいる。 ザビ家との因縁 父ジオン・ダイクンを暗殺したといわれるザビ家への憎しみは強く、父の同志ジンバ・ラルが彼と妹アルテイシアに口癖のように吹き込んだ謀殺説はシャアの行動の根幹として残った。 ザビ家の末弟ガルマとは友情を育み、同時に次兄ドズル(『THE ORIGIN』では次兄はサスロで、3番目の兄がドズル)からも信頼されていたが、ガルマを守れなかった一件で左遷されて以降はドズルとは接触を絶った。しかし『若き彗星の肖像』では、ドズルはアクシズにおいてシャア専用のMAゼロ・ジ・アールの開発を推進している。キシリアは本人曰く四歳くらいの頃に遊んであげていたこともあり、シャアがキャスバルであることを知りながら懐刀として麾下に置いていた。 シャアは、ガルマ謀殺の後はザビ家への復讐よりはニュータイプへの関心を強め、自身もニュータイプ能力を開花させるに至った。テレビ版最終話のア・バオア・クーにおいて、妹セイラに「敵はザビ家ではなかったの?」と聞かれ、「ザビ家打倒なぞ、もう、ついでのことなのだ、ジオンなき後はニュータイプの時代だ」と返答している。しかし、シャアは結局ア・バオア・クー内部での混乱に乗じて直接キシリアを手にかけている。 ザビ家の遺児にして、かつての上官ドズルの娘であるミネバ・ザビには、まだ赤ん坊であったことやザビ家への復讐に区切りをつけたことで害意を持たず、普通の子供としての育成に協力し、ミネバからはハマーン以上に信頼されていた。だが、ハマーンが彼女を「ザビ家の統治がスペースノイドひいては人類のため」として傀儡君主に育てたことへの怒りが、ハマーンとの決別に繋がる。後にシャアはグリプス戦役終盤に彼女を連れ出し、スウィート・ウォーターでの暮らしのなかでハマーンの刷り込みを解消した。その後の彼女との関係は語られていない。 『THE ORIGIN』ではシャアのザビ家に対する復讐への行動理念は、全く別の解釈がされている。本編(テレビ版)では父の死に対する復讐であったが、『THE ORIGIN』では母の死に対する復讐になっている。『THE ORIGIN』原作者の安彦良和は、映画『逆襲のシャア』を克明に見ていないと前置きした上で、シャアが怪しいメッセンジャーになったと感じていた。父の死に対する復讐では、シャアのこれだけ歪んだ心性をしていることに説明がつかないと思えた。そこで本編(テレビ版)には名前も登場しない母親を登場させ、シャアの中で幼児期の強烈なトラウマを作った。だから『THE ORIGIN』のシャアはマザコンでずっと幼児性を引きずっていると安彦氏は表現している。それを踏まえて『THE ORIGIN』でのシャアは母と引き離されたことから母親への愛情を渇望する傾向にあった。そしてザビ家の刺客に襲われ、それに追い打ちをかけるかのようにサイド3で母が死亡したことが、まだ少年であったシャアの精神を摩耗させ、疑心暗鬼の彼にザビ家と無関係な男を殺そうともさせた。結果として、彼は復讐のため面持ちの似た本物のシャアに成り済ましてサイド3へ潜り込み、両親の復讐劇に身を投じた。 なぜこのようなシャアの過去をパラレル作品である本作で作り出したかについて、原作者の安彦良和いわく「シャアが本来ネガティブな存在であるはずなのに、『機動戦士Ζガンダム』以降はいつの間にかポジティブな人物にされていると感じていた。デザインを担当していたから『Ζ』の絵コンテを読んでいたが自分はシャアが何をしたいのか掴むことが出来なかった。シャアが主役っぽく動き出すことで物語が破綻してきているように感じた。だからシャアは反面教師にならなければいけないキャラクターであるから、シャアはヒーローだと思っているファンの誤解を解くために過去を描いてみた。」ということである。そして漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、編集部が「いっそ一周して第一話に戻るまでやりましょう」と言い出したのもあって、結局過去編で6巻分も使うことになったのだと言う。 シャアの子孫 『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』では、ハマーン・カーンの侍女であるナタリー・ビアンキ中尉がシャアの子を身籠もるが、ハマーンの嫉妬による裏切りにより母子ともに死亡した。 なお、『機動戦士Vガンダム』に登場する主人公ウッソ・エヴィンの母親ミューラ・ミゲルと、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場するシャアの恋人であった女性ナナイ・ミゲルは、両者ともファミリーネームが「ミゲル」であることから、ファンの間ではウッソはナナイとシャアの子孫(孫もしくは曾孫)では? と噂された。『ガンダムエース』誌にて「シャアの末裔説」の存在について公式な書籍で初めて言及された[要出典]。ここでは、ナナイ・ミゲル (Nanai Miguel) とミューラ・ミゲル (Myra Miggell) の「ミゲル」のアルファベットの綴りが違うことが言及され、ウッソとミューラがシャアの末裔ではないかという指摘は富野監督から否定されている。
※この「シャアを取り巻く人々」の解説は、「シャア・アズナブル」の解説の一部です。
「シャアを取り巻く人々」を含む「シャア・アズナブル」の記事については、「シャア・アズナブル」の概要を参照ください。
- シャアを取り巻く人々のページへのリンク