真核生物 真核生物の起源

真核生物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/14 15:45 UTC 版)

真核生物の起源

青字は細菌、緑字は真核生物、赤字が古細菌。左は古細菌を単系統とする説(3ドメイン系統樹)、右はエオサイト説。矢印はEF-1α/Tuに挿入が発生した地点を指す。エオサイト説の場合挿入は1回で済むが、3ドメイン系統樹の場合、2系統で同じ挿入が独立して起こったと仮定しなければならない

真核生物の起源は論争のある分野である。真核生物は少なくとも2種以上の生物が合体して誕生したことはほぼ定説となっており、ミトコンドリアはαプロテオバクテリア、葉緑体はシアノバクテリアに由来する説が有力である。

一方で、真核生物本体の起源には定説がなく、2018年現在、真核生物の本体は古細菌の姉妹群であるとする3ドメイン説が有名である一方、古細菌そのものとする2ドメイン説(エオサイト説)も支持を集めつつある。前者の立場では、古細菌に近い生物から真核生物が誕生したとし、後者はヘイムダル古細菌のような特殊化した古細菌から真核生物が進化したとする。いずれにせよ20億年前までには真核生物が成立したと考えられている。

最も古い真核生物の化石は、27億年前の地層から検出されたステランと呼ばれる真核生物に由来する有機物質である。また、真核生物の化石そのものも21億年前の地層から発見されている。ただし、これらの化石が真に真核生物由来かどうか、なお議論の必要がある。

新しい分類

五界説では、真核生物は動物、植物、菌類、原生生物の4つのに分類されていた。例えば、原生生物の分類体系であるLevine et al. (1980)は、国際原生動物学会の合意して図鑑や百科事典などに取り入れられていた。しかし近年では、分子系統解析などの研究成果を受け、真核生物の新しい分類体系が発表されている。例えば、動物と菌類は同一の系統に含まれるとしてオピストコンタにまとめられている。

現在広く受け入れられている分類体系として、国際原生生物学会(ISOP)による分類体系が存在する。この体系は2005年に発表され[2]、2012年[3]と2019年[4]に2度改訂されている。以下に2019年に出版された改訂版(Adl et al., 2019)の概観を表に示した[4][5]

Domain 生物の例
CRuMs

CRuMs

マンタモナス Mantamonas
コロディクティオン類 Collodictyonidae
Rigifilida
アモルフェア

Amorphea

アメーボゾア

Amoebozoa

ツブリネア類 Tubulinea アメーバ属ナベカムリ
Evosea 変形菌タマホコリカビ類アーケアメーバ
Discosea アカントアメーバ
Obazoa アプソモナス類 Apusomonadida
Breviatea
オピストコンタ

Opisthokonta

(ホロゾア Holozoa) 後生動物襟鞭毛虫
真菌微胞子虫、ヌクレアリア
ディアフォレティケス

Diaphoretickes

Microheliella
Ancoracysta
Rappemonads
テロネマ類 Telonemia テロネマ
ピコゾア Picozoaピコビリ藻
アーケプラスチダ

Archaeplastida

灰色藻類 Glaucophyta
紅藻類 Rhodophyceae
緑色植物 Chloroplastida 陸上植物緑藻
クリプチスタ Cryptista クリプト藻Palpitomonas
SAR

Sar

ストラメノパイル Stramenopiles 褐藻珪藻など不等毛藻類、 卵菌サカゲカビラビリンチュラ
アルベオラータ Alveolata 繊毛虫アピコンプレクサ渦鞭毛藻
リザリア Rhizaria 放散虫有孔虫ケルコゾアネコブカビ類
ハプチスタ Haptista ハプト藻有中心粒類
ディスコーバ Discoba ユーグレノゾアヘテロロボサ、 ジャコバ類、 ツクバモナス
メタモナス類 Metamonada トリコモナスなどパラバサリアランブル鞭毛虫
マラウィモナス類 Malawimonadidae
アンキロモナス類 Ancyromonadida
ヘミマスティゴフォラ Hemimastigophora スピロネマ
Meteora

真核生物は、アモルフェアとディアフォレティケスの2つに大別される。さらにそれらは、スーパーグループと呼ばれる大きな系統群を含む。スーパーグループの1つであったエクスカバータは、その単系統性が不明なためメタモナス類、Discoba、Malawimonadidaeの3つに解体された。オピストコンタ、アプソモナス類、Breviateaは単系統群を形成すると考えられ、Obazoaと呼ばれる。

真核生物の系統関係の解明は現在も進展中であるため[6]、上記の分類体系は今後も改訂が続いていくと考えられる。




  1. ^ Adl, Sina M.; Simpson, Alastair G. B.; et al. (2012), “The Revised Classification of Eukaryotes”, J. Eukaryot. Microbiol. 59 (5): 429–493, http://www.paru.cas.cz/docs/documents/93-Adl-JEM-2012.pdf 
  2. ^ Adl, Sina M.; Simpson, Alastair G. B.; Farmer, Mark A.; Andersen, Robert A.; Anderson, O. Roger; Barta, John R.; Bowser, Samuel S.; Brugerolle, Guy et al. (2005-10). “The New Higher Level Classification of Eukaryotes with Emphasis on the Taxonomy of Protists” (英語). The Journal of Eukaryotic Microbiology 52 (5): 399–451. doi:10.1111/j.1550-7408.2005.00053.x. ISSN 1066-5234. http://doi.wiley.com/10.1111/j.1550-7408.2005.00053.x. 
  3. ^ Adl, Sina M.; Simpson, Alastair G. B.; Lane, Christopher E.; Lukeš, Julius; Bass, David; Bowser, Samuel S.; Brown, Matthew W.; Burki, Fabien et al. (2012-09). “The Revised Classification of Eukaryotes” (英語). Journal of Eukaryotic Microbiology 59 (5): 429–514. doi:10.1111/j.1550-7408.2012.00644.x. PMC: PMC3483872. PMID 23020233. http://doi.wiley.com/10.1111/j.1550-7408.2012.00644.x. 
  4. ^ a b Adl, Sina M.; Bass, David; Lane, Christopher E.; Lukeš, Julius; Schoch, Conrad L.; Smirnov, Alexey; Agatha, Sabine; Berney, Cedric et al. (2018-09-26). “Revisions to the Classification, Nomenclature, and Diversity of Eukaryotes” (英語). Journal of Eukaryotic Microbiology: jeu.12691. doi:10.1111/jeu.12691. ISSN 1066-5234. PMC: PMC6492006. PMID 30257078. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jeu.12691. 
  5. ^ 矢﨑, 裕規; 島野, 智之 (2020-02-29) (日本語), 真核生物の高次分類体系の改訂―Adl et al. (2019)について―, 日本動物分類学会, doi:10.19004/taxa.48.0_71, https://doi.org/10.19004/taxa.48.0_71 2020年3月24日閲覧。 
  6. ^ Burki, Fabien; Roger, Andrew J.; Brown, Matthew W.; Simpson, Alastair G.B. (2020-01). “The New Tree of Eukaryotes” (英語). Trends in Ecology & Evolution 35 (1): 43–55. doi:10.1016/j.tree.2019.08.008. https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0169534719302575. 


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